自分の顔

 みなさんが初めて自分の顔を見たのはいつだろうか。これは、嘘か真実か曖昧な、不思議なお話である。

 小学三年生の頃。学校で、私は思った。
 「自分の顔って、どんななんだろう」って。
 家に帰ってから鏡で見てみようと思ったんだけれど、その日は結局、忘れちゃって、次の日、家の玄関にある鏡で自分の顔を見たような気がするんだけど。
 その時、私は知った。
「自分の顔、かわいくない・・・」
 自分の顔を見て、私はそんなことを思った。

 自分の顔を今まで見てこなかったわけがない。玄関に大きな鏡が置いてあるというのに。自分の顔が、そこにうつらなかったわけがないのに。お母さんが、私が自分の顔を初めて見る前、身だしなみをチェックするように言ったことがあったって言うし。だから、その時、初めて見たわけではなかったのかもしれない。だが、もしかしたら、自分の顔は見ていたものの、頭にこびりつくほどは見ていなかった、ということなのかもしれない。
 分からない。でも、少なくとも、自分の顔を小学三年生の時に初めて見たのは本当なのかお母さんに聞いてみたら、当時、お母さんに言ってきたって言っていた。
 嘘か真実か、よく分からない、不思議なお話である。

 
 


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