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Muhammad's Salvation

ぬいぐるみを抱きながらねじり鉢巻にメガネをかけたサロメを心配するのはメフィストやカミーノフランセスだけじゃない。

「サロメ、ちょっと休みな」
マンモンが声をかけるとサロメはムキになる。
「サロメ、兄さんたちがなんとかしてくれるから」
ベリアルが声をかけるとサロメはありがとうと言う。
「サロメちゃん、もう寝なさい。明日は英語のお勉強するんでしょ?」
銀岳が声をかけるとあとちょっとと言う。デビルと顔を見合わせてどうしたもんかとため息をついている。

「サロメ!サロメ!!ムハンマドさんからの提案なんだけどな、チャーター船を用意しようと思うんだ」
ムハンマドがドカドカとサロメの執務室に入ってきた。何事かとベリアルもマンモンも訝しげだったが銀岳とデビルは顔を見合わせてニヤリと笑った。
「え?処分しないの?」
「処分はしない。使い古された命たちはバフォメットによって強制されたからな。可哀想じゃないか!」
「そっか、そうだよね、、、」
サロメの筆が止まった。
「俺が船を用意したから、その船で北に向かわせる。そこでなら彼らも言いたいことを言えるだろう?」
「確かに!ムハンマドすごいね!!」
「おう、ムハンマドさんだからな。だからあとは俺に任せてサロメは寝なさい」
「うん、サロメちゃんは船の手配できないもんね。わかった!!寝る!ありがとうムハンマド」
「いいっていいって。今日も一日お疲れ様!」

サロメは安心してノートを閉じて寝る準備を始めた。
「兄さん、すごいな。使い古された命、全部許しちゃうのかな?」
ベリアルが銀岳にそっと聞くと、銀岳の代わりにデビルが答えた。
「北へ向かわせるんだよ、ベリアル。お前小さい時、北へ向かうって騙されてムハンマドに埋められたことあっただろう」
「あー、、、そういうことか」

ムハンマドはサロメに聞こえる大きな声で使い古された命たちに丁寧な連絡を始めた。
サロメは優しい。ムハンマドはサロメの気持ちを尊重するように上手に仕事を引き受けてくれたのだ。

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