おっさん教員と6人の弟子たち

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師弟の絆が運命を動かす! 冴えないおっさん教員と6人の訳あり学生の弱小研究室の下剋上ファンタジー!

あらすじ

 世界は終末を間近に控えていた。4大大陸のうちのひとつ「星の大陸」には伝説の大魔導士イクラクが作った7つの魔道具が眠るという。この「イクラクの七つ道具」を捜し研究する、星の大陸唯一最大の公立研究教育機関(通称:大学)にある「道具探索科」は長らく生徒の募集を止めていたが、大学上層部の協議により、生徒募集を再開することに。
 先任教授が目の前で死んだことに責任を感じトラウマを抱く無気力な道具探索科唯一の教員グレイアは、研究室に所属することになった6人の訳あり学生を指導し絆を深めるうちにそのトラウマを克服していく。さらにイクラクの七つ道具が彼らの元に集まり、終末を控えた世界は大きく変化していく。

1話 1000字

 「星の大陸」唯一にして最大の公立大学において、10年間学生を募集していなかった「道具探索科」の生徒募集再開を大学上層部が決定する。当該学科唯一の教員であるグレイアはそれに反対するが、大学上層部は生徒募集を再開しなければ、亡き先任教授の研究室を取り壊すと言う。敬愛する養父であり師匠の部屋を交渉材料に持ち出され、グレイアはしぶしぶ大学の決定を受け入れる。
 しかし道具探索科が研究対象とする「イクラクのの七つ道具」はグレイアが師匠である先任教授から引き継いだ「無限の魔力を湛える杯」以外発見されていないのが現実であり、大学の学生たちや世間は残りの道具の存在を否定する。当然これを研究する「道具探索科」のこともいらない存在として侮蔑の目(大魔導士イクラクの予言で語られる終末が近づいていることによる世間の諦めムードや、努力を冷笑する風潮や、享楽主義もこの侮蔑を後押ししてしまっている)を向けている。道具探索科の研究棟に出入りするスタッフはグレイアのみで、廃墟同然であった。当然、大学の新2年生もそんな道具探索科(グレイアの研究室)に所属しようとはしない。(研究室配属は2年生から)
 そんなある日、グレイアが師から受け継いだ「杯」が周辺の魔力異常を察知し、道具探索科の裏手にある実習用原生林から悲鳴が上がる。その悲鳴に亡き師匠の最期を重ねたグレイアは顔面蒼白になりながら悲鳴のする方へ駆け出し、魔獣の巣に囚われた学生6人を見つけ出す。「命懸けで」大学に入り魔導士として大成する夢のためにもこんなところで死ねない、と奮闘する彼らにかつての自分を重ねたグレイアは、かつて師匠の「”うちの”学生に手を出すな!」という言葉を自らも口にしながら魔獣を撃退して6人を救出。彼らは大学の学費免除が約束された特別入学枠で入学した優秀であるものの(それぞれに後ろ暗い経歴やトラウマがあるために)派閥意識の強い上級生から嫌がらせの対象になりながらもそれに抵抗出来ずにいた。この新2年生の6人の学生、ネプテラ、スクード、リギナ、バルバ、ツァレイ、シハーは、かつて親や師(教え導く者)に恵まれず苦労したことから、自分たちのために命を張ったグレイアと彼の「うちの学生」という言葉に目を輝かせ、グレイアに言う。「俺(私)先生の研究室に入りたいです」

2話以降 3000字

 道具探索科で行うのは、伝説の大魔導士イクラクの遺した文章やそれに関連する資料などから七つ道具のありそうな場所を特定、現地まで捜索に赴くこと。
 最初の実習として6人の学生はイクラクによって作られた大学の地下の、ダンジョンと化した巨大地下迷宮の探索を行う。探索開始早々に生徒たちと教員グレイアははぐれてしまう。ピンチと思いきや6人の学生たちは持ち前の魔法で迷宮の魔獣やトラップを相手に奮戦。最初はよそよそしかった彼らは次第に打ち解けていく。互いに助け合いながらグレイアの持つ七つ道具の一つ「杯」の援助も受けつつ、最初に決めたルートを探索するが、ダンジョンに住む大蜘蛛の巣を壊滅させた際に床に大穴を開け、探索ルートから外れてしまう。しかしその先でグレイアと合流、さらに地図にも載っていない地下迷宮のさらに下の階層に道を進んだ先でイクラクの七つ道具のひとつ「運命を結ぶ糸」を発見。ダンジョンの宝を奪わせまいと襲い掛かる敵を撃破し、「糸」は男子学生ネプテラを持ち主として認める。さらに「糸」の力を使った探索で大学地下迷宮の地図の完全版を作ったことで、グレイア率いる道具探索科の6人の学生は新年度開始早々、大学から「最優秀研究室賞」を貰う。(教員および学生の今後のキャリアにも大きくプラスに働く)さらに、終末予言でどことなく無気力と享楽主義が漂う世間も道具探索科に注目し、探索科メンバーは大学の傍にある学園都市の一躍有名人となる。
 自然と道具探索科はやっかみも受けるようになる。今年の「最優秀研究室賞」候補だった教員およびその学生たちが彼らを罠にかけて圧倒的に不利な状況で魔獣の巣に放り込む。それは、かつてグレイアの師匠でもある道具探索科の先任教授を殺した魔獣と似た姿をした魔獣の巣だった。目の前で死んだ師匠を思い出し身体を強張らせながらも教員として自分の学生をかばおうとして重傷を受けたグレイア。学生たちも彼を守ろうと戦う。特にネプテラが「運命を結ぶ糸」でグレイアの傷を縫い閉じ応急手当をする。道具探索科メンバーはなんとかこの戦いに勝利し、この一件を首謀した教授は査問にかけられ大学から追放となる。
 「先生が死ななくてよかった、無茶しないで」と泣く学生たちに、グレイアは自分の師匠であった先任教授がかつて、見たことも無い魔獣によって自分の目の前で殺されたことを語る。さらに「自分が学生たちのために命を張ろうとしているのは自分の学生が可愛いからというよりも、あの時自分をかばって死んだ師匠を後追いして死にたい気持ちゆえ。教員としての振る舞いも師匠のマネをしているだけでこれが正しいのか分からない」と語る。それでもいいから生きて自分たちの先生であってくれ、と懇願する学生たちにグレイアは観念したように笑い、それを受け入れる。
 探索や文献の調査を行い、大学のイベントなどをこなす日々の中で、6人の学生たちの出自にまつわるトラブルが発生するようになる。そしてその中で、グレイアは指導教員として学生たちを守り導き、探索科メンバーは半ば共依存じみた信頼関係を築く。
 スクードは大学祭の魔法の模擬試合で、かつて彼を大した理由もなく破門した在野の魔術師と戦うことになり、苦戦するもこれに勝利を収めて「今の自分には心から慕う師と仲間がいる、アンタはもう師匠じゃない」とかつての師に宣言する。
 夏休みに道具探索科メンバーがリギナの実家で行われるパーティーに招かれる。引っ込み思案で内気なリギナはその性格から家族や親族に見くびられがちだが、魔法の大家でもある彼女の実家で行われた勝負でイクラクの七つ道具のうちのひとつ「闇を照らす燭台」を見つけ出し、リギナはその主として選ばれる。これによって親族や家族を見返した彼女は、道具探索科メンバーを家族のように思っていると告げる。
 学園都市の祭りの仮装行列の最中、没落貴族の娘であるバルバが彼女の両親の手引きで身売りされそうになり、探索科メンバーがこれを救出。貧困にあえぐあまり人間としての一線を越えた両親にバルバは絶縁を突きつけ爵位を捨てることを宣言。さらに、人身売買業者が裏オークションで取引していた古物の中にイクラクの七つ道具のうちのひとつ「真実を写し万物を跳ね返す鏡」を見つけ、バルバの所有物となる。
 そんなある日、ツァレイが自分だけイクラクの七つ道具を持っていないことに焦りを覚え始める。彼はかつて自分が所属していた隣の大陸の暗殺者集団に七つ道具にまつわる情報と思しき文章が書かれた巻物があったことを思い出し、そこに戻る。身寄りのなかったツァレイは幼いころに暗殺者集団に拾われ育てられた優秀な暗殺者だったが、殺しの日々に嫌気がさして命懸けで逃げ出し、「星の大陸」のこの大学の特別入学枠で入学した学生だった。彼の置手紙や最近の彼の様子に悲壮なものを感じ取ったグレイアたちは「三者面談」と称して、七つ道具の力を使いながらツァレイの実家である暗殺者集団の本拠地までを迎えに行くことにする。しかし暗殺者集団が一度戻ってきた優秀な暗殺者を手放すよしもなく、戦闘になだれ込む。戦いのプロを相手に苦戦する研究室メンバーのため、ツァレイは育て親である暗殺団の長に彼らの助命を請い、その対価にツァレイは暗殺者集団への絶対服従を誓う。しかし最後の最後、仲間たちの言葉に「帰りたい」とこぼす。なんとか暗殺者集団からツァレイを連れて逃げ出し、さらにイクラクの七つ道具の情報を得てその場を離脱したグレイアたち研究室メンバー。
 その他、過激派宗教団体のご神体として祭り上げられていたシハーの過去の清算や、他の大陸でも「イクラクの七つ道具」に相当する道具があることが発覚するなどの事件を経て、彼らのもとに、これまで発見されなかった伝説の「イクラクの七つ道具」が全て集まることになった。
 しかし、これらを大学上層部がかすめ取ろうとし、探索科メンバーは無実の罪を着せられ一時的に拘束されることになる。実はグレイアの師匠である先任教授が死んだのも、大学上層部が秘密裏に作った改造魔獣による襲撃によるものであり、その目的は彼が持っていた七つ道具の一つ「無限の魔力を湛える杯」を奪うためだった。この七つの魔道具はいずれ来ると言われている、イクラクに予言された、世界に終末をもたらす大災厄に対抗するための道具である。大学上層部はこの道具を手に入れ、大災厄を乗り越えるための陣頭指揮を執ることで終末を乗り越えた世界で「星の大陸」全体を大学の影響下に置くことを考えていた。
 そんな中、ついに始まった終末の大災厄に探索科メンバーは命懸けで立ち向かう。絶体絶命のピンチに陥った学生たちをかばってグレイアは致命傷を負うが、その時初めて自分の師匠が「弟子の行く末を祈るような気持ちで、弟子が可愛くて仕方なくて」弟子をかばい、その結果として死んだことを悟る。教え子たちの未来を見られないことを悔やみつつも初めて教員らしいことができたと息絶えようとする。しかし6人の弟子たちはそれを許さず、運命を結ぶ糸でグレイアの傷を縫い閉じ、さらにその糸を自分たちの薬指に結び付けて「共に生きる運命」を結ぶ。「先生がこれまで教えてきた学生がどれだけ成長したか確認して」と言う弟子たちと、グレイアは共に背中を預けて戦い、この大災厄を撃退する。

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