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【えっ⁈億単位⁈】意外と知らない鉄道の遅延とお金の話

 季節の変わり目となり雨や雪の日も多くなりましたね。

 とくに冬から春になる今の時期は冷たい空気と暖かい空気がぶつかり合い雨雲ができるため、雨だけでなく雪の予報も見かけます。そうなると都市部(とくに首都圏)の鉄道網は大きな影響を受けてしまいます。遅延や運転見合わせでダイヤが乱れてしまったり、最悪の場合には運休も起こります。

 豪雪地帯である北陸や東北地方ではもともと耐雪の設備が備わっていますから、影響はある程度ねら抑えられるようになっていますが、雪など滅多に降らない地域はそうもいきません。

 今回は電車が遅延したときの経済への影響についてです!

みんな困る!電車の遅延!

 このブログを読んでくださっている方の中には鉄道を使って通勤されている方もいらっしゃるかもしれません。私も学生時代の通学だけでなく、証券マンになってからも通勤や外回りで使用し、鉄道には大変お世話になった1人です。

 鉄道は多くの方に様々なシーンで利用されており、非常に便利な交通機関です。しかし、遅延や事故による運転見合わせに巻き込まれてスケジュールが狂ってしまったり、予定を変更せざるを得ない状況になってしまったり…という経験がある方も少なくないでしょう。経路を変更したことで、追加の出費が発生して…なんてこともあるかもしれません。

遅延による経済的損失額は…⁈

 少し前のものになりますが、とあるネットニュースの記事で鉄道の遅延による経済的損失額の試算をしているものを読んだことがあります。

 その記事によれば、国土交通省の公表している資料をもとにして東京都で平日に発生している鉄道の遅延に限り損失額を試算した結果、一人当たりの年間経済的損失の合計は8万1681.6円となり、資料内では影響を受ける利用者数を一万人として数値を出しているため、そこに合わせると、さらに×10,000となり、損失額はなんと年間で8億1681万6000円となっていました。

 これはあくまでも東京都に限定しているため、東京まで利用しない乗客(例:東京の手前の川崎駅や大宮駅で下車してしまう)は含まれていませんから、実際はもっと大きな額になることでしょう。

なぜ損失額が大きくなるのか?

 億単位に及ぶと考えられる経済的損失が発生する一因としては、電車が遅延すると、迂回する方が出てくることが挙げられます。

 公益財団法人鉄道総合技術研究所によると、電車の遅延により迂回(うかい)を選択した方の35%が、追加で料金を支払っていました。先ほどの例えで挙げたように経路変更で振替輸送を使わずに追加で出費をしている方が多くいて、電車の遅延にあった方の3分の1ほどが、金銭的損失を被っていることになりますね。本来不要な料金を一定数の方が支払っていることは、経済的損失の金額が大きくなる一因といえるでしょう。

 また、近年では直通運転の拡大により遅延の影響が路線を超えて広範囲に及ぶようになったため、一箇所で発生した遅延が首都圏の複数の路線に広く影響することも、損失額拡大に拍車をかけています。

 ただし、今回は損失という負の面からクローズアップをしましたが、経済全体でみると必ずしも損失だけとは言えません。

 例えば、運転見合わせになった際には、駅構内で長い時間を潰すこともありますから、当初は買うつもりはなかったコーヒーショップでコーヒーを買ったりする客も増えるでしょう。振替輸送の経路では予定の時間に間に合わない客は、タクシーを使う可能性もあります。そうなると、客としては経済的に損失ですが、タクシー会社としては思いがけない利益になります。鉄道の遅延によって、本来なら発生しなかったお金の移動が起こるのです。

 投資の際の企業研究でもそうですが、『Aから見たB』と『Bから見たA』というように、二つの側面から影響を考えることが経済をより知る手がかりとなるのです!

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