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【厄介者とは言わないで⁈】外から入ってくるもの=悪?

 みなさんは「外から入ってくるもの」と言われたらどんなイメージですか?

 部屋に入ってくる虫や花粉などはとても厄介ですね。

 部屋に限らず、もっと目線を広く国単位で考えてみましょう。コロナのように外から入ってくるウイルスや最近ではトコジラミといった虫…なども厄介です。

 『外から入ってくるもの=厄介者』というイメージが強くなりがちですが、必ずしもそうではないようです。

外から入ってくる『刺激』⁈

 冒頭でもいくつか例を挙げてみましたが、外から入ってくるものはどれも厄介者たちといったイメージが強いですね。

 身近な物でも、スマートフォンではiPhoneが国産のスマートフォンを駆逐してシェアを奪いました。

 このように外から日本に入ってくるものは、どれも良いイメージではありません。(決してAppleは悪いことをしているわけではないのですが…)

 ですが、投資の世界において外から入ってくるものは悪いことばかりではありません。

 日経平均株価がここのところ過去最高を更新していますね。テレビの報道などでは『新NISAの影響もある』とされていますが、あくまでも複数ある理由の一つに過ぎないと思っています。

 ここまで相場が動いているのは、やはり外国人投資家の存在でしょう。

 2022年のデータになりますが、東京証券取引所が発表する投資部門別売買状況によると、プライム市場(いわゆる1番上の市場)に上場している銘柄の売買代金ともに約7割を外国人投資家が占めているのです。

 ここのところの日経平均株価の上昇でも、やはり海外でも名が知られる企業の株価が上昇しており、外国人投資家がいかに大きく貢献しているかがわかります。

 日本人から見れば、日本国内の景気がそこまで良くはないこともあり日本企業はそこまで大儲けしている印象もなく、『そんなに日本株は買いなの?』と懐疑的にみている投資家もいます。

 ですが、海外の投資家からみれば日本企業は業績も悪くなく、大手企業の倒産リスクもそこまで高いわけではありません。さらに円安の影響もあってお買い得なので、日本市場に資金をどんどん投入しているわけです。日本企業はそれなりに魅力的なのです。

 外から入ってくる流れが国内の投資家を刺激して相場の上昇を後押ししている面もあるということです。

 『外から入ってくるもの=厄介者』とも言えないようです。

外来生物でも…

 話は経済から少し脱線してしまいますが、生物の話題を今日は一つご紹介します。

『外から入ってくるもの=厄介者』というイメージが強いのは、やはり外来生物の影響もあるでしょう。

 日本では、魚類や昆虫など様々な外来生物が生態系を脅かしています。外来生物は、日本古来の生物を捕食して駆逐するだけでなく、日本の在来種と交雑して遺伝的に在来種を駆逐してしまうものもあります。

 主に西日本の清流に生息する『オオサンショウウオ』もその危機に瀕する生物の一つです。オオサンショウウオは世界最大の両生類で、体長1メートルほどにもなる生物です。国の天然記念物に指定されています。

 しかし、人間によって持ち込まれたよく似た『チュウゴクオオサンショウウオ』が日本の川に入ってしまったために、交雑してしまい、日本古来のオオサンショウウオが遺伝的に絶滅する可能性があるのです。

 しかし、最近の調査によって意外な事実が明らかとなりました。

 チュウゴクオオサンショウウオを選別するために行われた調査の結果、日本に生息もしくは飼育されているチュウゴクオオサンショウウオの中に既に中国で絶滅し現存していないとされた種類がいたのです!

 今回の調査では、西日本で採取された個体と日本各地の水族館や動物園で飼育されている個体を調査しました。その結果、水族館と動物園で飼育されている二匹が既に中国では絶滅して現存していないとされていた種類のオオサンショウウオだったのです!

 どちらの個体も保護ではない目的(いわゆる商業販売)や違法な輸入(いわゆる密輸)のため日本に持ち込まれ、保護されて今に至る個体とのことです。

 通常であれば、外来生物のように厄介者という扱いになっていたであろう生物が、現地では絶滅していたために、この二匹は貴重な発見となりました。

 しかも、二匹ともオスの個体ですが、メスの細胞組織が冷凍保存されており、種の存続に光が見えてきたのです!

 本来の外来生物が、結果として『種の保護』になったという面白い事例です。

 投資の世界も、自然界でも、『外から入ってくるもの=厄介者』とは言い切れないのですね。(でも部屋に入ってくる虫は厄介者にかわりはありませんが…)

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