「こどもの一生」観劇

本日、4月7日(木)18時開演のSexy Zone松島聡くん主演舞台「こどもの一生」を見て参りました!

場所は東京芸術劇場。勝利くんの「ブライトンビーチ回顧録」を見て以来になります。2階席でありながらステージもしっかり見渡すことができました😊

今回はあくまでも記録用なので自分が記憶している限りでの内容の振り返り、それを踏まえて考えたことを書き連ねようと思います。考察など高度なことは私には出来ないので…

ここからは盛大なネタバレを含みますので悪しからず…

ストーリー

舞台はあらゆる精神病に効果的な治療を行う特殊なクリニック。製薬会社社長が視察のためにその治療を体験しに行くところから始まります。聡くん演じる柿沼はその社長の秘書を務めており、横暴な性格の社長から日々なぶられていることが場面冒頭から伺えます。

そのクリニックでは患者たちに暗示をかけこども時代に戻ったように無邪気に遊ぶことで、あらゆるしがらみから解放されて心のケアに繋がると謳われており、その噂を聞き付けた人が柿沼達以外にも訪れていました。

強迫観念や万引きの衝動に駆られるなど、様々な症状を抱えた患者たち。柿沼もまたその一人で、社長から受ける過度のストレスのあまり、解離性障害を患っていました。柿沼のもう一人の人格はビールが好きで少林寺拳法などのスポーツに長けており、普段の控えめな性格とは大違いでした。

楽しく遊ぶ中で1人意地の悪い社長は周りとなじめず、他の患者たちや治療に当たる医師たちからも厄介者扱いを受けます。こどもへと退化した患者たちはそんな社長を一人仲間はずれにしようとあるいたずらを思いつきます。それは「架空の人物」をひとり作り上げて、さもその人が存在するかのようにその話題で持ちきりにすることで社長を会話の輪から外してしまおうというもの。その人物の性格や特徴をデータにまとめ、社長以外のこどもたちは楽し気に盛り上がります。

その作戦が成功し、ひとりぼっちになった社長。気を落とす中で、他のこどもたちが作った架空の人物のデータを発見し、その嘘に気が付きます。怒った社長は、ふざけ半分でその人物の特徴に「狂った殺人鬼」という要素を加えました。

その夜、一人の男がクリニックを訪ねてきます。その男はこどもたちが作り上げた「架空の人物」に特徴が何もかも当てはまります。口癖や性格に交友関係、もちろん殺人鬼の一面も…

最初の被害者は社長でした。風呂で男に溺れさせられ、意識不明になります。その次は看護師をナイフで一突き、そのまた次は院長の首をチェーンソーで切断、と被害はエスカレートしていきます。こどもたちは現実に存在しないはずの人物に動揺し、怯え、逃げ惑います。

しかしそれは患者たちが治療の過程で強い暗示をかけられたことによる集団幻覚だったのです。自分たちがその存在を認識し、肯定する限りその幻は消えないということにいち早く気が付いた柿沼は、もう一人の人格が得意とする武術と幻覚に惑わされない強い精神力を持ってその悪夢を打ち破ります。

幻覚相手だったということで亡くなったと思われた人々は当然無事でした。ほっとしたのもつかの間、社長だけが意識不明のままです。すべて幻覚だったのではないのか?いったいどこからが実際の出来事なのか?困惑し、絶望する柿沼なのでした。

感想

前情報としてホラーの部分があるとは聞いていましたが、想像以上にホラーでした。お化けや超常現象ではなく、生身の人間自身が引き起こすホラーというのが、自分の身にも起こり得るという観点からより薄気味悪さを感じさせられました。連続殺人のシーンやそれに伴うチェーンソーの音や銃声など、私は平気ですが苦手な人はトラウマものだろうな~と思いながら見ていました💦これから見に行かれる方は気を付けてください。

こうした怖さが引き立つのも、その前までのこども達が無邪気に遊ぶシーンがあってこそ。ごっこ遊びをしたり、追いかけっこをしたり、一緒にご飯を食べたり…個人的にはごっこ遊びの中でセーラームーンの名前が出てきたのが嬉しかったです。なりきるのがセーラームーンともう一人がセーラーちびムーンという、なかなかコアなところを責めてきていて笑ってしまいました。また、小学生が好きそうな下ネタにも下品だと分かっていながらくすっと笑ってしまいます。自分も一緒にあの頃へと戻っているような感覚になりました。

セットは至ってシンプルで、ステンレスのフレームのようなものを劇中でダンサーさんたちが場面展開のたびに動かしながら、椅子やテーブルに見立てていました。その無機質な感じが空間に不気味さを与えていたと思います。そしてその場面転換もただの配置換えではなく、ダンスをしながらというのが印象的でした。奇妙な世界観をより強めていたのではないでしょうか。時折差し込まれる映像も、空や雲などの風景から血糊や雷鳴などのおどろおどろしい表現まで効果的に使用されていました。

誰か一人がフィーチャーされる、主役が出ずっぱりになるという印象があまりなかったため、終盤までは柿沼が主役の意味とは…?と正直疑問に思っていました。しかし、自問自答を繰り返し、別の人格を用いながらも最終的に幻覚を打ち破るという大役が柿沼には待っていました。あの物語を終わりへと持って行ったのは紛れもない柿沼自身です。そんな柿沼、結局社長に対してはどういった気持ちが最も強かったのでしょうか。相当なストレスを感じているはずですが、どんなに周りに諭されても社長を完全に突き放すことはありませんでした。それはあくまでも柿沼の表の人格におけるものなのでしょう。裏の柿沼の時は唯一、社長に対して愚痴を吐いていました。私たちの知らない社長への相当な恩義があるのか、はたまたそれもただの思い込みなのか、柿沼は社長を決して見放すことが出来ないのです。さながらパートナーからDVを受けているにも関わらず別れられない人のような…(趣味の悪い例えですみません)。思い返せば最後の最後まで社長のことを気にかけていました。そんな柿沼と対照的に、社長の意識が戻っていないことに対してそれほど動揺していない他の人たちの姿もある意味ホラーだと思いました。


今回の振り返りはここまでになります。あまりにも衝撃的で考えさせられる内容だったため、思っていることを長々と書き連ねてしまいました。こんな素敵な作品に出合わせてくれた聡くんに感謝ですね!余談ですが、二回目のカーテンコールを終えてはける際に、セットにつまづいてしまう聡くんを見て、いつものおちゃめな姿を感じとてもほっこりしました😊(ケガしてなかったらいいな…)

今後もスタッフさん、演者さんすべての人たちが健康で、何事も起こらすに全公演完走出来ますように!


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