【短編小説】半透明少年
教室が濁っている。
濁った言葉で空気が振動している。
その振動が耳に届くと不快だった。
僕の高校の日本史は騒々しい。授業中にイヤホンをつけているのがバレたようで、生徒が一人立たされていた。彼はサッカー部のキャプテンで、全身が浅黒く日焼けしている。
「ちょっと待って下さいよ~」と、彼は今日売れようとしている芸人みたいに、大袈裟なリアクションを披露していた。
先生も怒っているようには見えなかった。怒っているというよりは、ツッコミをしているという感じ。きっと教師としてのプライドよ