finalvent 読書会 『八十日間世界一周』が第2週に入ります。ゴールデン・ウィークがあって、読書が進んでない人もいるでしょう。でも、この作品は、非常に読みやすいので、今から読み始めても大丈夫でしょう、というか、今からでも。
一応スケジュールはこんな感じです。
スケジュール
第1週 5/1 〜 5/5 第1章 〜 第11章
第2週 5/8 〜 5/12 第12章 〜 第21章
第3週 5/15 〜 5/19 第22章 〜 第29章
第4週 5/22 〜 5/26 第30章 〜 第31章
第1章 〜 第11章の話題
さて、第1章 〜 第11章ですが、なぜ主人公のフォッグ氏と従者パスパルトゥーが 80日間で世界一周の旅に出たのかといういきさつから、スエズ運河、紅海を経て、インドに到着し、インド横断鉄道が途絶えていたというところまでです。
この『八十日間世界一周』を大人になって読む楽しみは、普通に面白いということに加えて、① ディテールに突っ込む、② 歴史を振り返る、があるでしょう。というわけで、そんなあたりの話題をいくつか書いてみます。
第3章の「レディング・ソース」
第3章の「レディング・ソース」については、以前、極東ブログに書いたことがある。世界の読者がこれを気にしていた。
極東ブログ『レディング・ソース(Reading Sauce)』 2011年11月21日
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2011/11/reading-sauce-6.html
問題は、レディング・ソースである。2010年BBCに記事があった。
「Reading's Cocks's Sauce to be recreated」
http://news.bbc.co.uk/local/berkshire/hi/people_and_places/newsid_9026000/9026651.stm
記事を読み進めると、さらに、トウガラシ、スパイス、塩、ニンニクも含まれるようだ。
論文もあった。
https://www.academia.edu/44467828/The_Celebrated_Reading_Sauce_Charles_Cocks_and_Co_Ltd_1789_1962
ホイスト
日本ではトランプゲームではストップ系、つまり、手札が空になると上がり、が多いが、西欧では基本的に得点で争う。
私は子供が4人もいたこともあり、トランプをよくやった。ホイストもやったが、それほど面白くはない、というか、この改良である、ハート(ブラッククィーン)、スペードなどが面白い。ホイストから発展したものにコントラクト・ブリッジがあるが、ちょっと難しい。
ホイストをお勧めしたいところだが、スペードのほうが類似のゲームとして現代的で面白いだろう。
光文社訳による説明追加
ムハンマド・アル=イドリースィーの説明が詳しい。
「托鉢僧」という訳語
「托鉢僧」という訳語が少し気になった。
光文社訳ではdes bayadères(インドの舞姫)の位置を変えている。托鉢僧はdes fakirsだが、これは針の上に寝る、ずっと片足立ち、太陽を見ているとか、へんてこな苦行僧をさすだろう。
セポイの反乱の説明が詳しい
光文社訳では世界史的な説明が詳しく補足されている。
光文社訳は現代の世界史の知識でだいぶ説明を加えたり、修正したりしている。とはいえ、「セポイの反乱」という用語は使っている。「インド大反乱」では文脈が変わるためだろう。
シャンデルナゴール
地理の説明でフランス人が作った街「シャンデルナゴール」が登場する。作者がフランス人だからだろうか。