finalvent読書会 『ゴリオ爺さん』第3章 開始!

finalvent読書会 『ゴリオ爺さん』は第3週目、第3章に入りる。この章が『ゴリオ爺さん』のひとつの佳境、ヴォートラン物語とでもいう部分で、ヴォートランという人間の面白さ、そしてその存在が、フランス革命後のフランス社会にどのように反映されていたかという点でも興味深い部分になる。ただし、その分、ゴリオとラスティニャックの物語はやや後退するし、見方によっては、ヴォートラン、ゴリオ、ラスティニャックという軸それぞれに物語を整理することもできるだろう。が、そのあたりのごちゃごちゃ感も『ゴリオ爺さん』の面白さである。

この章の手引となるように、多少ネタバレを含むがあらすじをまとめておきたい。

第3章「トロンプ=ラ=モール/死神の手を免れた男」あらすじ

ラスティニャックもお金が尽き、ヴィクトリーヌ嬢の資産を狙うべく、悪漢ヴォートランとラスティニャックが彼女の資産継承者の兄を殺害する悪事を企んだその2日後の話が始まるのが第3章。

ヴォケール館でこれまであまり出番のなかった老男性ポワレと老女性ミショノーが、賞金稼ぎのためにヴォートランの悪事をちくろうと、動植物園のベンチで警視庁保安課長のゴンデュローという人物と話している。

警官ゴンデュローによると、ヴォートランは『不死身(トランプ・ラ・モール)』と呼ばれる脱獄徒刑囚ジャック・コランであるとのこと。コランは悪の仲間を組織し、脱獄囚の家族を支援しつつ、パリで窃盗などの悪事を采配しているが、日常は、ヴォートランの名で小市民になりすましている。だが、服をひん剥いて肩を見れば、囚人の烙印があるはずだ。それでトランプ・ラ・モールであることがわかる。

警官ゴンデュローはヴォートランの正体を暴いて彼を捕まえたい。そこで、ポワレとミショノーを使ってヴォートランを酩酊させ烙印を確認するよう指示する。彼らはそのスパイ活動の報奨金を交渉する。

変わって話はラスティニャック。ゴリオ爺さんの娘デルフィーヌとの腹いせ感もあってヴィクトリーヌ嬢も誘惑するが、ここでゴリオ爺さん登場。なんとラスティニャックとデルフィーヌのために棲家を買っていた。やばい、このままではヴォートランの悪事が進むとラスティニャックはあせり悪事を阻止せねばと思う、が、ラスティニャックを黙らせるようヴォートランも手を打つ。

宴会で睡眠薬入りの酒を飲まされたラスティニャックは寝落ち。ところが、ポワレとミショノーも、警官ゴンデュローにもらった毒薬をヴォートランに飲ませ、ダウン。かくしてヴォートランの正体発覚。捕物が始まる。ヴォートランは捕まり、覚醒するが悪びれることもない。ヴォケール館の人々もヴォートランに愛着があり、ミショノーとポワレを非難し、二人はヴォケール館を出ていく。

ヴォートランは捕らわれるも仕込んだ悪事は完遂。ヴィクトリーヌに資産が入ることになる。どうするラスティニャック!

ラスティニャックはだが、ゴリオ爺さんの思いを受けて、デルフィーヌを選択。彼女との棲家に移ることを決断。ボーセアン夫人から大舞踏会の招待状もくる。かくしてゴリオ爺さんの娘二人の確執が始まる。


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