finalvent読書会『ゴリオ爺さん』第2章 「聖カトリーヌの被り物」について

finalvent読書会『ゴリオ爺さん』第2章 で、ヴォートランが普通の人生なんてつまらないとラスティニャックに説くシーンで、「聖カトリーヌの被り物」という表現が出てくる。光文社版p149である。

そして妹たちは聖カトリーヌの被りもののお世話をすることになる。

ここには訳注がある。

このさき結婚する望みのない老嬢になることを意味する。聖カトリーヌは処女の守護聖人であり、当時はこの聖人の祝日である十一月二十五日に二十五歳を過ぎた独身女性に聖女像の被りものを取り替えたことから。

この注であっているのだが、「当時は」とも言えない面がある。現在でも、このお祭りは、カトリネット(Catherinette)として催しがある。

La Sainte-Catherine, une fête marginale toujours célébrée dans la mode
https://www.rtl.fr/actu/debats-societe/la-sainte-catherine-une-fete-marginale-toujours-celebree-dans-la-mode-7799548766

フランスでは最近でもやっていて、フランス人自身から私もこれについて、ひどい習慣だったと聞いたことがある。

同記事にもこうある。

C'est aussi l'avis d'associations féministes comme "Osez le féminisme" qui dénonce une mise en scène dégradante qui "perpétue des stéréotypes sexistes et enferme les femmes dans des rôles traditionnels, se marier et enfanter".

これは「Osez le féminisme」などのフェミニスト団体の意見でもあるが、下品な光景であると主張されている、いわく「性差別的な固定観念を永続させ、女性を結婚や出産といった伝統的な役割に閉じ込める」。

同記事より

一昔前までは、フランスでも25歳で結婚できない女性をある種嘲笑による社会的なリンチでもあったが、現代ではそこを逆手にって、こんなバカバカしい風習があると楽しんでしまう面もある。

昭和のころの日本でも「女性はクリスマスケーキ、25を過ぎると売れない」と、現代かすると唖然とするようなことが公然で語られもしたが、フランスも五十歩百歩であった。

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