finalvent読書会 初心者コースを始めます。課題本は、田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』 7/10

finalvent読書会 初心者コースを始めます。

初心者コースを思いついたのは、意外と少なからぬ人が小説を読む習慣をもっていないこと、そして、その結果でもあり原因でもあるのかもしれないけど、小説を読む能力、読書筋力的なものが弱っているのではないかと思ったこだ。もっと小説を読む人が増えてほしいと願ったからだ。

finalvent読書会の本コース、というか、メインのほうでは、これまで『トニオ・クレーゲル』『バートルビー』『ゴリオ爺さん』『嵐が丘』と読み進めてきた。このうち、長編と呼べるのは、『ゴリオ爺さん』『嵐が丘』で、これらは、それなりに読書筋力的ものを必要とする。そして、読書会では、このレベルの読書を維持して、『カラマーゾフの兄弟』『アンナ・カレーニナ』『失われた時を求めて』クラスの超大作にも挑みたいと思っている。

読書会を始めてみて思ったのは、長編小説が読める人は読めるものだなということ、同義反復的な言い方だが。読書会に参加されるかたの読みも深い。そしてなにより、小説を読むというのはこんなに楽しいというか、楽しさとも違う、充実感のあるものだなというのは感じる。

とともに、その裾野をもっと広げるというか、もっと、なんだろう、布教したい気がしてきた。

現在のメインの読書会はその視点からすると、ややハードルが高いようにも思えてきた。もう少し、読みやすいというか、短編を読む読書会があってもいいのではないか。

その意味では、とりわけ「初心者コース」なんて言わなくても、短編を読む読書会というのがあっていいと思うようになった。短編は短編で、多少読み方が違う。なにより、短編ならではの読書の面白さというのがある。

本来なら、その短編小説を読む能力は(と偉そうな言い方だが)、高校の現代国語で教えるといいと思う。が、私の想像では、これも居丈高な言い方だが、高校の国語教師に、短編を愛して伝えることができる人は少ないのではないか。私はもう老人になってしまったが自分の経験から、また4人の子供を大学に入れた経験からも、高校の国語教師が、短編小説の魅力というのを生徒に十分に伝えている印象はなかった。

(余談だが、私は子どもたちが小学生のころ、斉藤洋の本をよく読ませた。子どもたちも楽しんで読んでいた。親の贔屓目かもしれないが、それで読書力をつけていったように思う。斉藤洋の本は、小学生にお勧めしたい。そういえば、その前、それと並行して、原ゆたかの『かいけつゾロリ』シリーズは子供に読ませた。というか、普通に楽しんで読んでいた。)

短編の面白さに戻ると、メインの読書会で、当初、入り口的に考えていた、『トニオ・クレーゲル』と『バートルビー』だが、短編書的な面白さもあった。特に、『バートルビー』は短編と言ってもいいだろう。短編らしいキレが面白かった。これは、長編小説を目指す読書会とも少し違うかなとも思っていた。そこからなんとなく思っていた。

そうだ、短編の読書会がしたい!

率直に言って、短編は短編集で読むのだが、短編集というのは、それほど面白くもない作品もあるし、ここで短編の読書会といって、そこの一つを取り上げるのもコスパ悪いかなとも、思ってためらったが、いいんじゃないか。短編集の一つだけ読むのも、いい読書じゃないか。

では、どこから始める。これはもう、最高の作品から始めるしかない。それは、

田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』以外にないだろ!

なんど読み返したかわからない。なんど読んでも面白い。もちろん、文学だから、誰もが気に入るものでもない。だが、これは、ガッツンと文学だと思う。

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この小説は、ちょっと手を入れれば、高校の現代国語に収録されてもおかしくないし、実際高校生にお勧めしているサイトもある、が、高校はこれを勧めないだろう、高校教師でこれを勧める人も少ないのではないか。理由は簡単である。エロいからだ。

田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』は、すっげー、エロい小説であり、エロいというのは、小説のかけがえない価値である。

この作品、既読の人も多いだろう。なんせ、映画にもなったしアニメにもなったし、韓国映画にもなったし、つまり、それだけ、「読み」が再び芸術の活動になる。それだけの起爆性をもっている。

もう一つ、この作品のぶっちぎれているところは、おだやかに見えて、胡散臭いポリティカルコレクトをすっと凌駕していることだ。この小説のなかに浸る人は、あの胡散臭い正義を語る青年たちをもっと遠くに見るようになるだろう。私は、そうあってほしいと思っている。語られ、教条主義化された「正義」の胡散臭さを避けて、人が自身の倫理を持つのは、文学の課題を人が受け止めたときだけしかないと私は思っているから。

あと、言い忘れていましたが、読書会といっても、Slack を使うのがメインです。あと、ここでコメントや、自身のツイート(#ジョゼと虎と魚たち)やnoteなどのブログの参照リンクを教えてください。繋がりましょう!

Slack(リンク期限 7/19。以降また更新します)

#ジョゼと虎と魚たち

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