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スナック忘れな草~2019・NHKマイルC注目馬・兵庫チャンピオンシップ~

トップ画像引用:JRAホームページ


■ テーオーロイヤル

2024年4月28日(日)午後4時半
-東京都某区 スナック忘れな草-

「テーオーロイヤルは強かったなあ・・」

タコ社長が春天のレース動画を見ながら言った。終わったばかりの天皇賞(春)は、1番人気に支持されたテーオーロイヤルが、先行するマテンロウレオとディープボンドを直線でねじ伏せ、追い込んだブローザホーンに2馬身差をつける完勝だった。

「菱田裕二騎手は13年目にしてうれしいGⅠ初勝利。今月はGⅠジョッキー2名の引退がありましたが、こうやって少しずつ新旧交代が進んでいくのですね・・・」

マスターの言葉に、店内が静かになった。引退した2名の騎手には、さらなる活躍が期待されていた藤岡康太騎手も含まれているからだ。

そのとき、店に入ってくる男がいた。

■ 屁こき田プー太郎

その男は、ジャージのズボンの両ポケットにさつまいもを入れ、顔はうっすらと黄色い。天然の温泉に小一時間浸かっていたような、温泉玉子の匂いを毛穴から漂わせている。

「あ!くろ・・・じゃなかった、屁こき田プー太郎!!」

真一郎が言った。予想対決に敗れたくろたんが、約束を守ったのだ。

「男に二言はないのですよ。日にちがあく前に早めに来ようと思いましてね」

そう言って屁こき田プー太郎は、タコ社長の右隣りに座った。

そのとき、洗面器にシャンプーやせっけんを入れ、首にタオルを巻いた女性2人組が入って来た。温泉旅館のような浴衣姿だ。

「ええと・・ここ温泉ですよね?・・・温泉玉子のようないい匂いがしたものですから」

屁こき田プー太郎が発する硫黄臭に誘われてきたのだろう。麗子ママがここは温泉ではないことを説明すると、女性2人組は残念そうに帰っていった。麗子ママは、「ここは温泉ではありません」という貼り紙を店のドアに掲示した。

「屁こき田プー太郎・・・ちょっと長いわね。プー太郎でもいいかしら?」

ギョニ子がくろたんを見て言った。

「いいわけないだろ!」

くろたんが怒って言った。

「プー太郎なんて無職でブラブラしているみたいだ!」

「今日子ちゃん、プー太郎はさすがにダメですよ」

マスターがぴしゃりと言った。

「くろたんはあと数年で、実際に無職になるのですから」

「いらんこと言うな!!」

くろたんはマスターを睨みつけた。

「ええ?うそーー!!」

ギョニ子が目を丸くして言った。

「くろたんさんてもうそんな年だったの?あたしてっきり50代前半くらいかと思ってたわ!」

「おやおや。お上手なこと・・・まあでも悪い気分ではないですね。マスター、今日子ちゃんに何か飲み物を」

「いやあ俺もくろたんさんの活力あふれる立ち振る舞いには、いつも惚れ惚れしてたのさ!」

タコ社長が言った。

「きっと飲んでるものがいいんだろうと思って、今日は真似してこれをやってたぜ!」

タコ社長がカラカラと氷の音を立てたのは、くろたん御用達の栄養ドリンク凄十のロック、通称凄ロックだった。

「おやおや社長さんまで。マスター、社長さんに新しい眞露のボトルを」

くろたんがマスターにオーダーした。麗子ママが続く。

「あたしもくろたんさんの男の色気には、恥ずかしいんだけどいつもジュンジュンってあそこをどうしようもないくらい濡らしてたの・・・マスター以外でこんなことって初めて・・」

麗子ママはそう言って少女のように頬を赤らめた。

「ははは!さすがにそれは褒め過ぎですよ。マスター、ママにも何か飲み物を・・・ってええい!!やめんかい!!」

くろたんはカウンターを右の拳で強く叩いた。

「どいつもこいつも見え透いた嘘を!!誰がボトルなんかやるかい!!」

くろたんは、新しいボトルに名前を書こうとしていたタコ社長から、ボトルと油性ペンを奪い取ると、屁こき田プー太郎と大きく書いた。さすがにこれでは誰も手を出せない。

■ 出走馬情報サイン

「GⅠレースで出走馬情報サインが継続しています」

くろたんは、ジャージのポケットから出したさつまいもをかじりながら言った。皮はカウンターにぺっぺっと吐き出している。たちまちカウンターが、メジャーリーグのダッグアウトのようになった。

「障害レースや回避した馬などがいて7頭以下になった場合を除くと、8番目に掲載された馬のゼッケンの数字分、前後に移動した馬が馬券対象となっています」

JRAホームページ

「終わったばかりの春天を例にとると、8番目掲載が2番ゼッケンのサヴォーナ。そこから前後に2つ移動すると、対象馬がテーオーロイヤルとチャックネイトとなり、テーオーロイヤルが1着。これで5回継続中となります」

みんながおおという声を挙げた。

「NHKマイルCはどうなりますか?」

真一郎が訊いた。くろたんが答える。

「8番目はゼッケン7番のシュトラウス。そこから前後に7つ移動ですから、両隣の馬となり、対象馬はアスコリピチェーノとダノンマッキンリーとなります」

JRAホームページ

みんながうんうんと頷いた。

■ 藤岡康太騎手 追悼

「絞るならダノンマッキンリーでしょうね。こういうサインはできればないにこしたことはないのですが・・・」

くろたんは眉根を寄せ、凄ロックをぐびりと飲んだ。

「2006年より3月に移動したファルコンステークス。藤岡康太騎手の重賞初勝利は、そのファルコンステークスだったのです」

藤岡康太
2009 ファルコンS
ジョーカプチーノで重賞初制覇

2009 NHKマイルカップ
ジョーカプチーノでG1初制覇

2024 ファルコンS
1着 ダノンマッキンリー (北村友)
落馬負傷から復帰後、重賞初勝利

2024 NHKマイルカップ
ダノンマッキンリー (北村友)

JRAホームページ

「今年は、ジョーカプチーノ同様、ファルコンステークス覇者が勝つということですね?」

マスターが尋ねると、くろたんは深く頷いた。

「本当の意味での追悼があるなら、NHKマイルカップでしょうね・・・」

そう言ってくろたんは、男の哀愁を漂わせながら店を出て行った。今夜もセカンドストリートに行くのだろう。

■ 令和元年生まれ

麗子ママがさつまいもの皮を片付け終わったのを見計らい、マスターが言った。

「春天の2着馬ブローザホーンですが、この馬は数少ない令和元年生まれなんです」

天皇賞(春)
1着:7-14 テーオーロイヤル
2着:3-05 ブローザホーン
2019年5月10日生まれ=令和元年生まれ

「令和元年生まれって珍しいんですか?」

真一郎が訊いた。マスターが頷く。

令和元年は5月1日から始まりましたからね。これが、1月1日のスタート・・・いや、そこまで早くなくとも、新年度スタートの4月1日からでしたら、令和元年生まれの馬はもう少し増えていたはずです」

2024天皇賞(春)5歳馬

サリエラ
(2019年1月28日生まれ=平成31年生まれ)

ワープスピード
(2019年2月14日生まれ=平成31年生まれ)

ブローザホーン
2019年5月10日生まれ=令和元年生まれ)★

マテンロウレオ
(2019年4月22日生まれ=平成31年生まれ)

メイショウブレゲ
(2019年4月30日生まれ=平成31年生まれ)

ハピ
(2019年3月15日生まれ=平成31年生まれ)

みんながうんうんと頷いた。マスターが続ける。

「このように、春天には5歳馬が6頭出走していたわけですが、同じ2019年生まれでも、令和元年生まれはブローザホーンだけだったのです」

「メイショウブレゲなんて4月30日。平成31年最後の日・・・つまり平成最後の日に生まれた馬ね?・・・その隣にいたのがテーオーロイヤル。なんかありそうね?」

■ 勝浦正樹

マスターが頷いて答える。

「2019年を強調しているのかもしれません。発表になったばかりの、勝浦正樹騎手の引退式の画像をみてください」

JRAホームページ

「これは、通算900勝を達成したときのインタビュー時のものでしょう。これが、平成から令和に切り替わった2019年です。しかも、日付は11月3日でした」

競馬ブック

11月3日!?」

タコ社長がポンと手を叩いた。

「おいおい、昨年のNHKマイルCが11番3番じゃなかったかい?」

みんながおおという声を挙げた。マスターがにっこりと笑って頷く。

「さすがは社長さん。今それを言おうと思っていたところです」

2023/5/7(日)NHKマイルC
1着:6-11 シャンパンカラー
2着:2-03 ウンブライル

11→3 ≒ 11月3日明治天皇誕生日(文化の日)

日本時間同日朝 ※現地時間5/6(土)
ケンタッキーダービー
1着:メイジ

6着:デルマソトガケ
12着:マンダリンヒーロー

「ああ!前にもこんな話が出たわね!」

ギョニ子が過去のやり取りを思い出して言った。

「ええと、平成31年と令和元年・・つまり令和1年。ふたつの元号で『3.11』ってことよね?」

2019年=平成31・令和1
→ 31 1 → 3.11(東日本大震災)

「そういうことです!」

マスターがギョニ子のほうを向いて言った。

「2019年。平成最後のGⅠがフィエールマンの春天。令和最初のGⅠがアドマイヤマーズのNHKマイルCでした。ふたつの元号から示唆される『3.11』・・・勝浦正樹騎手の画像『2019年11月3日』はそれを補足するためのものでしょう」

JRAホームページ

みんながうんうんと頷いた。真一郎が言った。

平成最後の日に生まれた馬の同枠の馬と、令和元年生まれの馬で決まった春天。それもまた、2019年や『3.11』を示唆しているということですね?」

マスターが大きく頷いた。

天皇賞(春)
3-05 ブローザホーン 2着
(出走馬中唯一の『令和元年生まれ』)

7-14 テーオーロイヤル 1着
7-15 メイショウブレゲ
(2019/4/30生まれ=平成最後の日

→ 1.2着馬の枠で『平成から令和・3.11』を示唆

勝浦正樹騎手 引退式
画像:2019年11月3日 通算900勝
→ 『平成から令和・3.11』を示唆

■ アドマイヤマーズ

「さあ、そうなると令和最初のGⅠを勝った、アドマイヤマーズの戦歴を使ってくる可能性は高いと思います」

マスターが言った。

<アドマイヤマーズ>
1戦目:新馬戦 1着
2戦目:中京2歳S 1着
3戦目:デイリー杯2歳S 1着
4戦目:朝日杯FS 1着
5戦目:共同通信杯 2着
6戦目:皐月賞 4着

7戦目:NHKマイルC
8-17 1着(逆2
※2024天皇賞(春)正2取消

<ジャンタルマンタル>
1戦目:新馬戦 1着
2戦目:デイリー杯2歳S 1着
3戦目:朝日杯FS 1着
4戦目:共同通信杯 2着
5戦目:皐月賞 3着
6戦目:NHKマイルC 1着?

みんながおおという声を挙げた。

「ジャンタルマンタルがアドマイヤマーズと違うのは、中京2歳ステークスを使っていないことと、皐月賞がアドマイヤマーズの4着よりも1個上、3着というところだけです。1番人気濃厚ですが、現時点での本命候補でいいでしょう」

みんながうんうんと頷き、スナック忘れな草のNHKマイルC注目馬が決まった。

スナック忘れな草
NHKマイルC 注目馬
(外)ジャンタルマンタル
※平成→令和切り替わり年2019アドマイヤマーズのコピー

■ ボンドガール

10分ほどの休憩後、もう一頭気になる馬がいると発言したのは真一郎だった。『3.11』がキーナンバーならば、『9.11』を持つ同馬もあるのではないかという見解だ。

NHKマイルC
ボンドガール
(2021年1月19日生まれ)

1月19日をひっくり返すと『9.11』・・以前、イクイノックスの馬名が春分の日と秋分の日を表していることから、日本とアメリカの悲劇の象徴、『3.11』と『9.11』のことが話題になりましたよね?」

みんながああそう言えばと思い出した。マスターが言った。

「そうでしたね、しんちゃん!ボンドガールは1勝馬ですが、侮れないかもしれませんね」

「ボンドガールに注目するなら・・・」

ギョニ子が言った。

「土曜日の京都新聞杯、ベラジオボンドには馬券になってもらいたいわ!」

天皇賞(春)
ディープボンド 3着

京都新聞杯
ベラジオボンド ?着

NHKマイルC
ボンドガール ?着

みんながおおという声を挙げ、ボンドガールも注目馬に加えることとなった。

スナック忘れな草
NHKマイルC 注目馬
(外)ジャンタルマンタル
※平成→令和切り替わり年2019アドマイヤマーズのコピー

ボンドガール
(誕生日1月19日→『9.11』の象徴)
(ボンド馬名連チャン?)

■ 兵庫チャンピオンシップ

再度10分ほどの休憩を取ったあと、タコ社長が明日の兵庫チャンピオンシップを買ってみたいと言い出した。吉村誠之助騎手の父吉村智洋騎手がJRAの馬に乗るという。

3歳スプリントシリーズ 
農林水産大臣賞典第25回
兵庫チャンピオンシップJpnII

1-01 チカッパ(吉村智洋・中竹和也)

「まあ応援馬券みたいなもんで、サイン的な根拠はねえんだがな」

タコ社長はそう言って、頭をつるりとなでた。マスターが素早くパソコンを操作して言った。

「悪くないかもしれませんよ。今日、息子の吉村誠之助騎手は、正11番に二度騎乗がありました」

4/28(日)
京都5R【ダ1400
8-11 アマミツツキ 8着
吉村誠之助・正11

京都6R 芝1400
8-11 ナムラエデン 6着
吉村誠之助・正11

兵庫チャンピオンシップ【ダ1400】11頭
1-01 チカッパ(吉村智洋・逆11

みんながおおという声を挙げた。タコ社長が言った。

「よし!見せ場は作ってくれるかもな?チカッパからJRAの人気馬に流してみるぜ!」

みんながうんうんと頷き、スナック忘れな草の勝負馬券が決まった。

スナック忘れな草
兵庫チャンピオンシップ 勝負馬券
◎1番チカッパ
〇3番エートラックス
▲5番イーグルノワール
△6番エコロガイア
穴11番モズミギカタアガリ

3連単:1=(3.5)→(3.5.6.11)12点

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