スナック忘れな草~グランプリ・2024函館2歳S・本命馬と買い目~
トップ画像引用:ORICON NEWS
■ 圭右と佳祐
2024年7月12日(金)午後7時
-東京都某区 スナック忘れな草-
「やはりサイン発信のための登録だったのかもしれませんね・・」
マスターがパソコン画面を見ながら言った。明日の函館メイン、函館2歳ステークスのことだ。登録馬の50音順でトップにいた、アースミューズの名前がないという。
<函館2歳S 登録馬 50音順トップ3頭>
アースミューズ
ヴーレヴー
エメラヴィ
「どういうサインがあったんでしょうか?」
真一郎が問うと、マスターが答えた。
「サザンですよ。アースミューズの中には『アミューズ』がありますが、これはサザンオールスターズの所属事務所の名前です。2頭目のヴーレヴーは、彼らのヒット曲『YaYa(あの時代(とき)を忘れない)』に出てくる歌詞。そして、2頭目のヴーレヴーと3頭目のエメラヴィは、いずれも『桑田牧場』というわけです」
アースミューズ(アミューズ→サザン)
ヴーレヴー(YaYa・桑田牧場)
エメラヴィ(桑田牧場)
タコ社長が感心したように言った。
「なるほどなあ。サインのためにひっそりと登録し、本番には出てこない・・・サインっぽいな」
「函館記念のプレゼンター、岡田結実ちゃんともつながるわ!」
ギョニ子がポンと手を叩いて言った。
「岡田結実ちゃんの父は『ますだおかだ』の岡田圭右。サザンの桑田佳祐の『佳祐』から、人偏と示偏を取ると、岡田圭右の『圭右』になるじゃない?」
みんながおおという声を挙げた。漢字をよく見ると、確かにそうなっている。
岡田圭右(プレゼンター岡田結実の父)
桑田佳祐
佳祐=イ圭+ネ右
「そうなると・・・」
麗子ママが言った。
「一番怪しいのはサンドされたヴーレヴーかしらね?」
みんながうんうんと頷いた。
50音順仮出馬表のヴーレヴーからすると、上にはサザン所属事務所のアミューズ、下には桑田牧場がいることになる。そして、自身はサザンの曲であり桑田牧場なのだ。
■ ファインチョイス
5分後、ヴーレヴーにプラスとなるネタを見つけたのは、タコ社長だった。重賞インフォメーションの過去優勝馬、ファインチョイスがサインを発信しているという。
「重賞インフォメーションっつうのは、紹介しているデータはほとんどが過去10年のものだ。ところが今年紹介された過去優勝馬は、紹介データに合致しているとはいえ、過去10年からはずれる2011年の馬なんだ・・・その理由は、ズバリ『連覇』だと思うぜ」
重賞インフォメーション
函館2歳S 過去の優勝馬
2011 ファインチョイス
(中1週→過去10年の好走データと一致)
領家政蔵調教師
前年2010年 マジカルポケットに次ぐ連覇
2024 函館2歳S
6-09 ヴーレヴー
(浜中俊・勝てば昨年のゼルトザームに次ぐ連覇)
2011 函館2歳S
6-09 ファインチョイス
領家政蔵・6枠9番で連覇
2024 函館2歳S
6-09 ヴーレヴー
浜中俊・6枠9番で連覇 ?
みんなからなるほどという声が挙がり、函館2歳ステークスの本命馬は9番ヴーレヴーとなった。
スナック忘れな草
函館2歳S 単複バトル勝負馬
9番 ヴーレヴー(浜中俊・連覇)
■ 締めの味噌汁
15分後、スナック忘れな草の店内には味噌汁のいい匂いが漂っていた。締めに麗子ママが作ってくれたものだ。
「うーん、最高!シンプルな塩むすびに、なめこのお味噌汁。そしてきゅうりのぬか漬け。日本人でよかったわーって瞬間よね」
ギョニ子が指についたご飯粒を、ひとつひとつねぶり取りながら言った。タコ社長も同意する。
「胃袋に味噌汁が染みわたるぜ! やっぱり締めは汁物だよなあ」
真一郎が言った。
「くろたんさんにも、塩むすびとお味噌汁、食べさせてあげたかったですね」
麗子ママはその言葉を聞き、もう一回ご飯を炊いておくわと準備を始めた。
■ くろたん登場
噂をすればなんとやらで、そこに現れたのはくろたんだった。ノーコスプレ、ダンディくろたんだ。
「みなさん、例の馬の話で盛り上がってたんじゃないですか? ・・・ おや、なんといい匂い!味噌汁ですね」
そう言ってくろたんは、鼻をくんくんと鳴らした。麗子ママが言った。
「いらっしゃいませ、くろたんさん。今、炊飯器をセットしたばかりだから、飲みながら待っててくださいね。お味噌汁は塩むすびと一緒に出しますから」
くろたんが頷いてタコ社長の右隣りに座ると、マスターが目の前にロックグラスを滑らせた。響のロックだ。くろたんはそれを、目でじっくり味わったあと、ひと舐めして満足そうに頷いた。
「やっぱりいい酒は違いますね・・・口に含んだ瞬間に、自分の体と同化するようだ・・・」
そう言ってグラスの琥珀色を眺めているくろたんに、マスターが申し訳なさそうに言った。
「くろたん、すみません・・・それ、響じゃなくて富士乃森でした」
「ええ?でも響のボトルから入れてくれたじゃないですか?」
「嫌な客が来たときのために、響の中身を取り換えておいたやつです。富士乃森は、『Amazon ウイスキー 激安』で検索すると上位に出てくるウイスキーです」
そのやり取りを聞いていたギョニ子が、いたずらっぽい目をしてくろたんに訊いた。
「でもくろたんさん、これは響じゃないなってわかって飲んでたんでしょ?」
「も、もちろんですよ」
くろたんはしどろもどろになりながら答えた。
「安い酒はなんていうのかな・・・舌がピリリとしびれるというか・・・飲み口が悪いんですよ」
「あ、くろたん!」
マスターがふたたび、くろたんに申し訳ないと謝った。
「舌がピリリとしているのは、沢蟹がくろんたんの舌にしがみついているからです」
「沢蟹かい!!」
くろたんはそう言って、ハサミで舌を挟んでいた沢蟹をもぎり取り、床に叩きつけた。
「くろたんさん!沢蟹にそんなことしたら罰が当たりますよ!」
真一郎がくろたんを非難した。
「日本人の11人にひとりは、蟹が虐待されるのを見たくないはずです!」
「11人にひとり?・・・星座にかに座があるから、12人にひとりならわかるが・・・」
「日本人の約12人にひとりはかに座・・・あと、前世が蟹の人がいますから」
「前世が蟹!!そんなやついるかい!!」
「いるだろうが!」
くろたんと真一郎の会話に、割り込んできたのはタコ社長だった。
「だめだよ~~とか言いながらこうやって歩く芸人が!」
そう言ってタコ社長は、ぶらんと下げた両腕を一緒に左右に振りながら、両足を交差させるように横歩きした。
「欽ちゃんかい!! それはカニ歩き・・・じゃなくて欽ちゃん走り!!」
くろたんがピシャリと突っ込んだ。マスターが言った。
「欽ちゃんと言えば、相方が先週炎上してましたね・・・ヤマニンウルスなんて飛びます飛びますって言って」
「それは義●真!!二郎さんの画像を貼ってポストしてたやつな!! ほっとけよ、あんな元三流ジョッキー!!」
「んまあ、元三流ジョッキーですって! ヒソヒソヒソ・・・」
麗子ママが眉をひそめてギョニ子に同意を求めた。
「大きな声でひヒソヒソすな!!」
苛立っているくろたんに、マスターがマイクを渡して言った。
「さあくろたん。一曲歌って機嫌を直してください。みんなで聞いてみたいって話してたんですよ。くろたんが、100人以上の女性を口説き落としたあの曲を・・・」
マスターからマイクを受け取ったくろたんは、ニヤリと笑った。
「ああ。みなさんの本命馬の元になっているあの曲ですか・・・今日子ちゃん、麗子ママ。私の歌を聞いて、あそこがジンジンと熱くなってきても知りませんよ?」
そう言ってくろたんは、歌詞が映し出されたモニターを見上げ、情感たっぷりに歌い始めた。
はやりすたりに 命をかけた
浅はか女の わたしでも
青いうなじは 心意気
触れて下さい 後ろから
夜霧の ハウスマヌカン
刈りあげても 剃りあげても
夜霧の ハウスマヌカン
また 毛が 生えてくる
Uta-Net
・・・って『やや』かい!! 誰が本名小島八重子や! 誰がランバダで再ブレイクや!!」
そう言って投げるようにマイクを置いたくろたんに、タコ社長が二の腕をポンポンと叩きながら言った。
「腕をあげたね、くろたんさん! ほれぼれする突っ込みだぜ!」
ここでいつも鍛えられてるからねと言って、くろたんはマスターが入れ直した本物の響のロックをぐびりと飲んだ。
■ 結婚記念日
やっと本題に入れますよと言って、くろたんは説明を始めた。
「JRA-VAN公式のポスト。7月11日の真珠記念日に合わせ、シーキングザパールの紹介。みなさんが気になると話していた、パールステークス勝ちのエンパイアウエストにつながりますね」
JRA-VAN公式X
シーキングザ(パール)
函館記念
エンパイアウエスト
前走(パール)S1着
みんながうんうんと頷いた。
「そして久し振りの更新だった『うまうまな日々』。右回りと左回りについての説明・・・左回りのところで紹介されるレースが、昨年の秋天」
左回りレース画像
2023 天皇賞(秋)
函館記念と同じ「芝2000」
イクイノックス
「左回り・1着・1番人気・ルメール・東京」
函館記念(芝2000)
エンパイアウエスト(東京・1番人気・1着)
サンストックトン(東京・1番人気・1着)
チャックネイト(ルメール・1番人気・1着)
ハヤヤッコ(ルメール・1番人気・1着)
プラチナトレジャー(ルメール・1番人気・1着)
マイネルクリソーラ(東京・1番人気・1着)
「これだとさすがに数が多いですから、他のサインも絡めて絞り込む必要がありますね」
みんながなるほどと頷いた。
「次は新馬戦の動画、『破天荒な新馬戦』。登場するリフレイムは、みなさんが注目馬に挙げた、エンパイアウエストと同じ黒岩陽一厩舎です」
「破天荒な新馬戦」
2020.7/25 新潟メイクデビュー
1着:7−15 リフレイム (牝2・ 4番人気)
(木幡巧也・黒岩陽一・山口裕介)
函館記念
エンパイアウエスト
(黒岩陽一)・前走(パール)S
「さあ、まだ面白いのがありますよ。重賞インフォメーションのトップ画像。みなさんが桑田牧場ということで挙げていたエメラヴィです。この馬のデビュー戦は、天皇皇后両陛下の結婚記念日と同じ、6月9日でした」
重賞インフォメーション トップ画像
函館2歳S エメラヴィ
6/9 新馬戦 エメラヴィ
(横山武史)
「うまうまな日々」 画像レース
2023 (天皇賞) (秋)
この時の「ウマのそら」
CM 結婚式
秋天決まり目(6)−7−(9)
CM=ご成婚 6/9
JRA−VAN公式
シーキングザ(パール)=真珠婚
みんながおおという声を挙げた。
横山武史と言えば、藤田菜七子の結婚報道から出てきた、2023年函館スプリントステークス、キミワクイーンの鞍上である。
また、競馬学校騎手課程CMでは、エフフォーリアの秋天で横山和生と馬上でグータッチをしているところが使われており、その動画にはネイチャーポイントという、自厩舎根本康弘の管理する馬で初勝利を挙げた、藤田菜七子が出ているのである。
「こうやって聞いてみると・・・」
真一郎が言った。
「エメラヴィもなんだか来そうな気がしてきました。くろたんさんは、週初めにカルプスペルシュを推してましたが、本命はどっちなんでしょうか?」
「まあそれについては、Xでポストしますから楽しみに待っていてくださいよ」
くろたんはそう言ってニヤリと笑い、ドアのほうに歩き始めた。
その背中に、待ってと声をかけたのは麗子ママだった。振り返るくろたんに、コンビニの袋のようなものを渡す。
「おにぎりじゃなくて、せっかくだからおかずも詰めてお弁当にしてみたの。よかったら帰ってから食べてね」
「ほう。お弁当ですか!」
くろたんはそう言うと、袋の上から中を覗き込んだ。大きめの焼き鮭が乗っている弁当だ。
「またーー、昼はーーー、シャケ弁当~~~~♪ ・・って、『夜霧のハウスマヌカン』はもうええねん!!」
くろたんはそう言うと、夜霧に消えて言った。
■ 父はグランプリ覇者
10分間の休憩後、函館記念のプレゼンター岡田結実について、新しい見解を出したのは真一郎だった。
「岡田結実と言えば父が『ますだおかだ』の岡田圭右。これはいいですね?」
みんながうんうんと頷いた。
「『ますだおかだ』はM-1グランプリの覇者。グランプリと言えば宝塚記念と有馬記念・・・岡田結実からすると、『父がグランプリ覇者』というわけです!」
みんながおおという声を挙げた。
函館2歳S
5-07 サトノカルナバル(父キタサンブラック)
6-09 ヴーレヴー(父サトノクラウン)
8-13 エメラヴィ(父オルフェーヴル)
函館記念
8-15 チャックネイト(父ハーツクライ)
「今週の2重賞、『父がグランプリ覇者』は計4頭・・・函館記念のチャックネイトはまた考えるとして、函館2歳ステークスの3頭からなら、1頭削って2頭に絞れそうです!」
「どうするんでい?」
タコ社長が訊いた。真一郎が答える。
「『ますだおかだ』が勝ったM-1グランプリは第2回でした。第1回を優勝したのは中川家・・・つまり、岡田結実にとって父岡田圭右は『中川の次にグランプリを勝った』人ということになりま・・・」
「みなまで言うな!!」
タコ社長が真一郎を制した。
「ええと待てよ。中川公成(ただしげ)が勝ったのが有馬記念、ゴールドアクターだ。そんときの3着馬キタサンブラックは、翌年2着、翌々年ラストラン1着・・・つまりだ、ゴールドアクターとキタサンブラックの間の年・・・・・・・・」
数秒後、パンと膝を叩いてタコ社長が言った。
「サトノダイヤモンド!! 違うか?」
合っていますよと、真一郎はにっこりと頷いた。
岡田圭右(岡田結実の父)
M-1グランプリ覇者(ますだおかだ)
<M-1グランプリ>
2001 中川家
2002 ますだおかだ
有馬記念(グランプリ)
2015 ゴールドアクター(中川)公成
2016 サトノダイヤモンド
函館2歳S
5-07(サトノ)カルナバル
父キタサンブラック(グランプリ優勝馬)
6-09 ヴーレヴー
父(サトノ)クラウン(グランプリ優勝馬)
マスターがまとめた。
「岡田結実の父岡田圭右が示唆する『父がグランプリ覇者・サトノ』。これに合致する2頭が、サトノカルナバルとヴーレヴーということですね?」
みんながうんうんと頷き、単複勝負バトルの本命馬はヴーレヴーのまま、遊び馬券としてサトノカルナバルとの1点買いが決まった。
スナック忘れな草
函館2歳S 単複勝負馬
9番 ヴーレヴー
遊び馬券
馬連・ワイド:7-9 各1点