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スナック忘れな草~羊をめぐる冒険・2024NHKマイルC・注目馬~

トップ画像引用:群言堂


■ 初孫

2024年5月1日(水)午前9時半
-東京都某区 ギョニ子の勤務する病院-

ギョニ子が午前のバイタルチェックで訪れると、その患者はスマホを見ながらにんまりとしていた。60代の女性患者だ。ギョニ子が入って来たことには気づいていないようなので、ギョニ子はやや遠くから声を掛けた。人には見られたくないものを見ている可能性を考慮してのことだった。

「あら?看護師さん、全然気づかなかったわ」

ギョニ子に向けた顔は、先ほどスマホを見ていたときと同じ、眩しいばかりの笑顔だった。

「何かうれしいことがあったようですね?」

ギョニ子が尋ねると、患者は躊躇なくスマホ画面を見せてくれた。胎児のエコー写真の画像だった。

「娘がね、妊娠したのよ。今年の冬、とうとう私もおばあちゃんになるわ」

「うわー!おめでとうございます!」

患者の話によると、第一子である長男はいまだ独身で期待が持てず、第二子の娘が一昨年結婚し、今か今かと妊娠の知らせを待っていたところだという。

「初孫というだけでうれしいんだけどね。今年でよかったわ・・・来年の夏過ぎとかに報告が来てたら、素直に喜べなかったんじゃないかなと思うの・・」

どうしてですかと尋ねるギョニ子に、患者は不思議そうな顔をして言った。

「あら?来年の夏過ぎとかに妊娠したら、出産は再来年になっちゃうでしょ?再来年は丙午だもの。いくら迷信とはいえやっぱりねえ・・・」

「ヒ、ヒノエウマですか?」

頭の中で漢字に変換できず、音だけがギョニ子の耳に残った。ヒノエウマの意味を尋ねようとしたとき、病室をノックする者がいた。若い女性看護師だった。

「今日子さん、お話中すみません。午後に入院予定だった患者が、手違いでもう来てしまったんです。対応をお願いできますか?」

ごめんなさい続きはまたあとでと患者に言い、ギョニ子は廊下へ飛び出した。

■ 午→未

2024年5月1日(水)午後6時半
-東京都某区 スナック忘れな草-

真一郎とギョニ子が揃うのを待ちきれず、タコ社長はマスターに話題を振った。

「例のGⅠ優勝馬の馬番カウントアップ。まさかNHKマイルカップで15番はねえよな?」

タコ社長のいうGⅠ優勝馬の馬番カウントアップとは、大阪杯から続いている法則のことだ。優勝馬の馬番が、11番から順にひとつずつカウントアップしている。

大阪杯
11番 ベラジオオペラ

桜花賞
12番 ステレンボッシュ

皐月賞
13番 ジャスティンミラノ

天皇賞(春)
14番 テーオーロイヤル

NHKマイルC 15番1着?

11番→12番→13番→14番→15番?

「いや、頭から否定するのはどうでしょう。ここら辺で逆番に変化させて、『未(ひつじ)』を作るかもしれませんよ」

「それなんだよなあ・・」

タコ社長が腕を組んで眉間にしわを寄せた。『ベルサイユのけいばな』の假屋崎省吾。彼の名前『省吾』を『正午』と変換させたことから、桜花賞では『正午』にあたる『12番』を本命に指名することができたのだった。

ベルサイユのけいばな JRAFUN

<大阪杯~皐月賞『』>

大阪杯
11番 ベラジオオペラ

桜花賞
12番 ステレンボッシュ

皐月賞
13番 ジャスティンミラノ

11番→12番→13番11時から13時
→十二時辰(じゅうにじしん)の『午(うま)』の2時間

<皐月賞~NHKマイルC『未』>

皐月賞
13番 ジャスティンミラノ

天皇賞(春)
14番 テーオーロイヤル

NHKマイルC 
15番1着?

13番→14番→15番13時から15時
→十二時辰(じゅうにじしん)の『未(ひつじ)』の2時間

群言堂

「勝利ゼッケンカウントアップが14番まで進んだことで・・」

マスターが言った。

「NHKマイルカップでもなんらかのかたちで『15』が出るとなると、『十二時辰(じゅうにじしん)』の『未(ひつじ)』までもが連続で形成されることになります」

「この仮説をあながち無理筋と決めつけられないのが・・」

麗子ママが言った。

「今年アリエスステークスが新設されたことよね?」

マスターとタコ社長がうんうんと頷いた。

3/31(日)中山1 0R 
アリエスステークス新設
※意味:牡羊座

8-16 ドライゼ 1着
(田辺裕信・須貝尚介・社台RH)

タコ社長が言った。

「かたや十二支、かたや星座。違いはあれど『ひつじ』には違えねえ。今年『ひつじ』を示唆するレースが新設された・・NHKマイルカップで『ひつじ』が誕生したって文句は言えねえぜ」

マスターと麗子ママがうんうんと頷いた。みんな口にこそ出さなかったが、正逆15番が使われるのであれば、藤岡康太騎手のGⅠ初勝利、ジョーカプチーノの3番の出番はないのかもしれないと考えていた-

■ 八百屋お七

それから少し雑談していると、途中で合流していたギョニ子と真一郎が一緒にやってきた。ふたりはおしぼりで手を拭き、いつもの生ビールをグビグビと気持ちよくあおり、人心地ついた。

ギョニ子がその夜一本目の魚肉ソーセージにがぶりと食らいついたところで、麗子ママが今までの話の概要を話して聞かせた。

そのとき、ギョニ子が盛大にむせて目を白黒させた。飲み込みのリハビリの専門家である言語聴覚士の真一郎が、背中を叩くなどの適切な処置をして事なきを得た。魚肉ソーセージのかけらが喉に詰まりかけたらしい。

「今日子ちゃん、大丈夫ですか?」

マスターが眉根を寄せて尋ねた。タコ社長も心配そうだ。真一郎はまだギョニ子の背中をさすってあげている。麗子ママはカウンターをきれいにし、おしぼりを取り換えてあげた。

「・・・・うん、もう大丈夫。みんなありがとう!・・・・・ああでもびっくりした!午前中に患者さんから聞いたことを、ママの話で急に思い出したのよ!・・・ねえ、再来年の午年ってなんかヤバいの?」

ああそういうことかとタコ社長がすぐに言った。

「午年でやばいといやあ、丙午じゃねえか?なあマスター?」

「それよそれ!!ヒノエウマってその患者も言ってた!!・・・ていうかみんな知ってるの?これって常識?」

みんながうんうんと頷いた。真一郎がギョニ子のほうを向いて言った。

「ええと、再来年が丙午だったのは頭に入ってなかったけど、丙午自体は前から知ってたよ。縁起が悪いからってその年は出生率がぐんと下がるみたい」

タコ社長が補足する。

「八百屋お七な?江戸の大火の原因となる放火をした女だ。その女が丙午の生まれっつうわけさ」

マスターも頷いて補足する。

「そのことが原因で、丙午生まれの女は気性が激しく夫の寿命を縮める。そんな迷信となり後世に残ったようです」

「へえーー!そうなんだ!」

ギョニ子が大きく頷いた。手には二本目の魚肉ソーセージが握られている。

「んで、そのヒノエウマっていうのは何年に一回くらいあるの?10年に一回とか?」

やれやれなんにも知らないんだなと、タコ社長はあきれ顔になった。

「しんちゃん、おめえの出番だ。小学生でもわかるように教えてやんな!」

真一郎は頷くと、左を向いてギョニ子に説明しだした。

■ 十干と十二支

「ええと、普通干支っていうと子、丑、寅、卯、辰、巳・・の十二支のことを言うよね?」

ギョニ子が頷く。

「だけど本来は十干(じっかん)というものとのセットなんだ・・・ええと木、火、土とかの五行(ごぎょう)ってわかる?」

「ああ!あれでしょ?せり、なずな、ごぎょう、はこべら・・」

「それは春の七草!ええとママさん・・」

紙とペンをくださいと真一郎が言い終わる前に、察しのいい麗子ママはカウンターにそれらを置いた。真一郎はまず、6×3の横長の表を書いて、一番上の行のところに左から五行を、左端の列のところには上に兄、下に弟と書き、それぞれに読み仮名も振った。

「五行(ごぎょう)とは簡単に言えば森羅万象を構成する要素。これらの漢字は、7つの曜日で言ったら日と月以外の5つにあたるよね」

ギョニ子がうんうんと頷いた。

「例えば木の兄は『きのえ』と読み『甲』の字が、木の弟は『きのと』と読んで『乙』の字が当てられる。これら10個の組み合わせを『十干(じっかん)』と言って、毎年十二支とともにひとつがあてがわれるというわけ」

ギョニ子がうんうんと頷いた。タコ社長が補足する。

「ギョニ子!甲乙つけがたいって言い方するだろ?あれは十干のひとつ目が『』と書く『きのえ』、ふたつ目が『』と書く『きのと』から来てるんだ。1番目と2番目、どちらが優れているともいえねえ実力が拮抗した状態ってわけさ!」

「へえーー!社長さん物知り!」

ギョニ子が感心して言った。タコ社長ではなく社長さんと呼ぶあたり、本当に感心しているのだろう。タコ社長はうれしそうに、さらにうんちくを披露する。

「もっと言えば昔の通信簿は甲乙丙(こう・おつ・へい)の3段階評価とかがあったし、今でもいろんな書類には甲とか乙の欄があったりするぜ」

マスターも補足する。

「今日子ちゃん、阪神タイガースや高校野球でお馴染みの甲子園。あれも実は、『甲(きのえ)』かつ『子(ねずみ)』の年に誕生したところから来ているんですよ」

「そうなんだ!!あたしって今日だいぶ利口になったかも!!」

ギョニ子はそう言ってスマホのメモ機能にメモした。

■ 還暦

真一郎の説明は続いた。頭の中で計算してからこう書いた。

1966 丙午

「1966年が前回、つまり直近の丙午。丙だけ先にみると、十干というぐらいだから10年に一度丙の年が来る。セットとなる十二支はずれていくけどね」

1966(丙午
1976 
1986 
1996 
2006 
2016 
2026(丙午

「次に午ね。こっちは十二支だから、12年に一度同じものが巡ってくる。いわゆる年男、年女だね。これもセットとなる十干はずれていく」

1966(丙午
1978 戊
1990 庚
2002 壬
2014 甲
2026(丙午

「さてと。十干のと十二支の。1966年に一緒になったあとは2026年までダブってないよね?次に重なるのが、患者さんが言ってた再来年の2026年てわけ」

<丙または午の年 1966~>

1966(丙午)
1976 
1978 戊
1986 
1990 庚
1996 
2002 壬
2006 
2014 甲
2016 
2026(丙午)

「つまりだ!」

タコ社長が言った。

「丙午に限らず、自分が産まれた年の十干と十二支がぴったり重なるのは、60年後、自分が60歳になる年が最初ってわけだ。だからそれを暦(こよみ)が還る(かえる)で還暦っつうこったな!」

「ああ、なるほどねえ!」

ギョニ子がポンと膝を叩いた。マスターが補足する。

「つまりは最小公倍数ですよ。10と12の最小公倍数は60でしょ?」

「サイショコ・・え、なに?」

ギョニ子の顔がまた不安げな顔になったので、こりゃダメだとみんなが笑った。

■ 柴田善臣

5分ほど休憩したあと、マスターが言った。真一郎がギョニ子にいろいろと説明している間、話したくてうずうずしていたことだ。

「いやでも今日子ちゃん。とてもいい話題を持ってきてくれました。JRAの騎手の中でただひとり、再来年還暦を迎える騎手がいます。つまりは丙午の1966年生まれというわけです」

「え!?そうなの?」

ギョニ子がマスターのほうを見て言った。マスターがパソコンの画面をギョニ子に見せた。そこには、先週JRA最年長勝利記録を更新した、柴田善臣騎手についての記事が載っていた。

うま屋ギガ盛り

柴田善臣(1966年7月30日生まれ)
現役唯一の1966年(丙午)生まれの騎手

みんながうんうんと頷いた。

「話をGⅠの優勝ゼッケンに戻すと、NHKマイルカップでドンズバの15番ではないにしても、なんらかのかたちで『15』が表現されれば、皐月賞からの3戦で『未(ひつじ)』が形成されることになりますね」

みんなが頷いた。

「大阪杯からの3戦で『午(うま)』が、皐月賞からの3戦で『未(ひつじ)』が形成される。それを示唆するには、午年生まれの柴田善臣騎手は実に都合がいいわけです」

ひつじは?ひつじはどこにあるの?」

ギョニ子がそう尋ねると、マスターは待ってましたとばかりにニヤリと笑って言った。

「名前ですよ。の字をよく見てください。『』の字が入ってるでしょ?」

漢字の正しい書き順

みんながおおという声を挙げた。NHKマイルC一週前の日に今年2勝目を挙げて、JRA最年長勝利記録を更新した柴田善臣騎手。午であり未でもある彼が、鍵を握っているのであろうか。

うま屋ギガ盛り

このときの勝利ゼッケン『3』であれば、藤岡康太騎手のジョーカプチーノ。同馬の『3』と重なる。

「調教師はどうかしら?」

ギョニ子が言った。70歳が定年である調教師ならば、丙午生まれは騎手よりも多いのではないだろうかと言う。マスターがさっそく調べてみる。

「JRAには6人いますね」

1966(丙午)生まれ調教師 ※JRA>

大久保龍志
須貝尚介
岩戸孝樹
新開幸一
石橋 守
中尾秀正

名前の一覧をみて、麗子ママがあっと声を挙げた。

須貝尚介調教師もそうだったのね!ほら、アリエスステークスを勝ったのが須貝尚介厩舎の馬だったはずよ!」

3/31(日)中山1 0R 
アリエスステークス新設
※意味:牡羊座

8-16 ドライゼ 1着
(田辺裕信・須貝尚介・社台RH)

みんながおおという声を挙げた。タコ社長が言った。

ひつじを意味する新設アリエスステークスで、丙午生まれの須貝尚介が勝利。ますます午から未という流れが現実味を帯びてきたんじゃねえか?」

■ かしわ記念

かしわ記念の発走が近づいたので、中途半端になりそうな検討会はまた明日にしようということになった。

かしわ記念は、川須栄彦騎手騎乗の6番人気シャマルが、雨の船橋を鮮やかに逃げ切った。人馬ともにGⅠ初勝利だった。

「ウィリアムバローズが馬券にならず、ノーマークだったシャマルが優勝・・・完敗っつうこったな」

タコ社長が、悔しさたっぷりというよりはさばさばした表情で言った。マスターが頷いた。

「黒船賞1着からのローテは昨年と同じ。昨年は川田将雅騎手で1番人気4着。今年は6番人気1着・・・結果論ですが鞍上が川須栄彦騎手ということで、少し舐められたところはあったでしょうね」

みんながうんうんと頷いた。

「さあ!悪い流れにならないよう、NHKマイルカップはしっかりと当てましょうね!」

麗子ママの言葉に、みんなそうだそうだと同意した。

■ 谷啓

2024年5月2日(木)午後7時
-東京都某区 スナック忘れな草-

真一郎とギョニ子が揃って来店し、スナック忘れな草にはいつものメンバーが揃った。

昨日同様、ふたりが落ち着くまで待っているときに、テーブル席のほうからにぎやかな笑い声が聞こえてきた。ガチョーンガチョーンというおどけた声に、若い女性客が笑い転げている。

場を盛り上げているのは、週に一度ほどのペースで来店する、商店街でおもちゃ屋を経営する70代の男性だ。いつもガチョーンと言っているので、通称ガチョーンおじさんと呼ばれている。

「今日も絶好調だな、ガチョーンおじさん」

タコ社長が言った。

昭和生まれの世代には、谷啓のガチョーンはお馴染み、かつ懐かしいギャグだが、平成生まれの世代には語感が新鮮に感じられるのだろう。ガチョーンおじさんのとぼけた風貌と相まって、彼の周囲はいつも笑いであふれている。

「谷啓といやあ、クレイジーキャッツの共同作業者のひとり青島幸雄。昨日丙午の話が出たが、彼の小説に『人間万事塞翁が丙午』っつうのがあったよな?」

日本の古本屋

タコ社長がマスターだけを見て言った。真一郎やギョニ子には通じない話だと思ったのだろう。マスターが頷く。

「ああ、ありましたね。確か青島幸雄の母親が丙午というところからつけられたタイトルだったはず・・・もちろん元ネタは『人間万事塞翁が馬』・・・」

そこまで言って、マスターは話すのをピタリと止めた。パンと強く一回手を叩いたあと、急いでパソコンを操作し始めた。鬼気迫る雰囲気に誰も声を掛けられない。こういう様子のときのマスターは、何か大きなネタを掴んでいることが多い。

■ 青島幸雄

「ああ、やっぱりそうでした。社長さん、青島幸雄の『人間万事塞翁が丙午』は、直木賞受賞作ですよ!」

話の見えないタコ社長は、はあと応じるだけだった。

「春天の3枠、青島幸雄枠だったのです!」

天皇賞(春)
3-05 ブローザホーン 2着
3-06 ディープボンド 3着

「2着ブローザホーンの3枠5番は『三十五』。直木賞の正式名称は『直木三十五賞』。そして、3着ディープボンドの騎手はテン乗りの英明。青島雄の『』であるとともに、青島幸雄の娘、青島美幸みゆき)でもあります」

3-05(直木三十五賞) 2着
3-06(青島幸雄)3着

みんながなるほどと頷く。

「そして・・」

マスターはそこで数秒ためをつくった。

「ディープボンドの大久保龍志調教師!数少ない『丙午』生まれの調教師なのです!」

3-05(直木三十五賞)  2着
3-06(青島幸雄)(丙午)3着

↓ ↓ ↓

青島幸雄 直木三十五賞受賞作
『人間万事塞翁が丙午

みんながおおという歓声を挙げた。ガチョーンおじさんのいたグループ席の客までもが、説明を聞いて手を叩いたりガチョンガチョンと言ったりしている。

■ ジョーカプチーノ

「さあそこでです!」

マスターの声のボリュームが、ひとつまみ分あがった。

「春天の2着、3着枠だった3枠が、『丙午』を強調する予告サインであったならば、『丙午』生まれ、かつ名前に『』を持つ柴田善臣騎手にはなんらかの役割があるでしょうね」

みんながうんうんと頷いた。

「13番14番と来てるから、『未(ひつじ)』を作るベタな馬番なら15番だよな?」

タコ社長が言った。狙った瞬間梯子を外されそうなので、眉に唾を付けたいところだが、やはり気にしておくべきだろう。正15はもちろん、逆番にも注意が必要だ。

注目馬番①
正逆15

「それこそベタだけど、ジョーカプチーノの3番はどうかしら?柴田善臣騎手の直近勝利馬番でもあるんでしょう?」

ギョニ子が言った。

うま屋ギガ盛り

「それにほら、柴田善臣騎手の生まれ年である『丙午』。『』は昨日のタコ社長の話だと、甲乙だっけ?3番目にあたるのよね?」

みんながそう言えばそうだと声を挙げた。柴田善臣騎手の直近勝利3番は、彼の生まれ年である丙午の『』でもあったのだ。

「ああ!ちょっと待って!」

麗子ママが珍しくうわずった声を出した。

「丙午の午のほうは、十二支で言ったら子、丑、寅、卯、辰、巳、7番目にあたるじゃない?」

みんながうんうんと頷いた。

「柴田善臣騎手のNHKマイルカップ7番じゃなかったかしら?」

そう言いながら麗子ママはスマホを操作した。

「ほら!やっぱりそうよ。第1回のタイキフォーチュン!7番ゼッケンなのよ!」

南関魂

1996 
第1回 NHKマイルC
4-07 タイキフォーチュン 1着
柴田善臣

みんながおおという声を挙げた。

「なるほどなあ!ギョニ子にママさん、ナイスコンビネーションだ!つまり柴田善臣の生まれ年『丙午』は数字に変換すりゃあ3番と7番・・・んでもって柴田善臣の直近勝利が3番NHKマイルカップが7番ってわけだ!こりゃ偶然とは思えねえぜ!」

みんながうんうんと大きく頷いた。マスターがまとめる。

ジョーカプチーノの3番というだけではなく、柴田善臣の『』の3番。いいかもしれませんね!」

真一郎が続く。

「それによく考えたら、15時は午後3時だから、13、14のあとに3が来ても、13時から15時の『』ができることになりますよ!」

みんながうんうんと頷いた。

注目馬番①
正逆15

注目馬番②
正逆3

<大阪杯~皐月賞『午』>

大阪杯
11番 ベラジオオペラ

桜花賞
12番 ステレンボッシュ

皐月賞
13番 ジャスティンミラノ

11番→12番→13番11時から13時
→十二時辰(じゅうにじしん)の『午(うま)』の2時間

<皐月賞~NHKマイルC『未』>

皐月賞
13番 ジャスティンミラノ

天皇賞(春)
14番 テーオーロイヤル

NHKマイルC 3番1着?

13番→14番→3番13時から3時(15時)
→十二時辰(じゅうにじしん)の『未(ひつじ)』の2時間

■ クロフネ

10分ほど休憩を挟んだあと、ギョニ子が言った。

「ねえねえ、昨日のかしわ記念を勝ったシャマルだけど、黒船賞1着からの優勝だったわよね?」

みんながうんうんと頷いた。

「黒船賞とかしわ記念をざっと見直してみたんだけど、同じ年に両方制した馬って、2000年のビーマイナカヤマ以来みたいなの。あってるかしら?」

みんながスマホやパソコンを操作して確認したが、間違いはないようだった。

黒船賞・かしわ記念 同年制覇>

2000 ビーマイナカヤマ
(間に群馬記念1着を挟む)

2024 シャマル
黒船賞、かしわ記念連勝)

ギョニ子が言いたいことを理解したマスターが言った。

「黒船賞からの二刀流馬クロフネですね?初GⅠ制覇はNHKマイルカップでした」

2001
第6回 NHKマイルC
2-04(外)クロフネ(武豊)1着

「4番は18頭立ての逆15にもあたりますね。2枠が熱いんじゃないでしょうか?・・・ええとアリエスステークスの16番須貝尚介。18頭立てだと逆16番正3番です!」

NHKマイルC 18頭立て
2-03(丙・ジョーカプチーノの3番
善臣直近勝利の3番
須貝尚介の逆16番

2-04(逆15・クロフネの4番

皐月賞13番→春天14番→NHKマイルC(3番or逆15番)
13時14時15時or13時14時3時=15時
→十二支の『

みんながうんうんと頷き、注目ゲートは2枠の3番4番を重視することとなった。

スナック忘れな草
注目ゲート 2枠両頭

■ 大谷翔平

それにしてもなぜ『ひつじ』なのだろうという話になり、まずは麗子ママが大谷翔平説を提案した。

「大谷翔平じゃないかしら?翔平の『』には『』が入ってるわ」

みんながなるほどと声を挙げた。麗子ママが続ける。

「『』という字は『』に『』。『』は3歳ダート三冠、ひとつ目の田盃よね。そして大谷翔平のユニコーンステークスは、二冠目の東京ダービーのトライアルとなった。3歳ダート三冠開始年の2024年に、『』を刻みたいのかも・・・」

みんながうんうんと頷いた。マスターが別の見解を示す。

「善臣という名前に『』を持つ柴田善臣。今後も彼が勝つたびに、JRA最年長勝利記録は更新されていきます。もちろん彼が引退したあと、別の騎手に抜かれる可能性はあるわけですが・・・無事是名馬という言葉がありますが、『羊』の強調は無事是名騎手を示唆したいのかも・・・」

マスターの言葉に、みんなは胸を締めつけられる思いがした。今年、地方競馬と中央競馬において、若い騎手が相次いで亡くなっている-

■ ウマのそら

10分ほどの休憩を挟み、注目馬の再検討になった。今まで、勝浦正樹元騎手の900勝が示唆する2019年のアドマイヤマーズからは、戦歴が酷似しているジャンタルマンタルが、生年月日に『9.11』を含むという理由で、ボンドガールの名前が挙がっていた。

また、くろたん情報の藤岡康太騎手追悼馬券からは、NHKマイルC覇者で唯一のファルコンステークス優勝馬であるジョーカプチーノから、今年のファルコンステークス優勝馬ダノンマッキンリーが浮上する。

スナック忘れな草 
NHKマイルC 注目馬
ジャンタルマンタル
ボンドガール

くろたん 注目馬
ダノンマッキンリー

「くろたんからはこんなネタも挙がっていますよ」

マスターがスマホを見ながら言った。動画シリーズの『ウマのそら』で紹介された馬の産駒に乗る騎手が、皐月賞と春天で馬券になっているという。



くろたん X

「フェブラリーステークスはインティでしたが、同馬の産駒はまだデビューしてませんから対象外。皐月賞ドゥラメンテ、春天キタサンブラック。それらの産駒に当日騎乗した騎手が馬券になりました。NHKマイルカップはキングカメハメハなので、同馬に当日騎乗がある騎手が対象というわけです」

タコ社長が言った。

「うちらが挙げたゲートに入ったら熱いな?」

みんながうんうんと頷いた。

■ 短期労働者

もうそろそろお開きにしようというところで、真一郎が面白い情報を出してくれた。甲乙丙の『丙(へい)』、つまり『丙午』の『丙(ひのえ)』にあたる漢字のことだ。

「社長さんが甲や乙は書類で今でも使われているって言ってましたよね?『丙』の字についても調べてみたら、源泉徴収票で使われることがあるみたいです」

みんなが真一郎に注目した。

「源泉徴収票の丙欄は、日雇い労働者や短期アルバイトの方に支払われる給与に使うそうです」

松野宗弘税理士事務所

みんながうんうんと頷いた。

短期アルバイトに近い労働契約の騎手がいますよね?」

「おお!短期免許のモレイラだな?」

タコ社長が言った。真一郎が大きく頷き、他の3人もなるほどと相槌を打っている。

NHKマイルC
ゴンバデカーブース(Jモレイラ

「注目馬はこれくらいにして、明日の枠順発表を待ちましょう!」

マスターがそう締めると、みんながうんうんと頷いた。

スナック忘れな草 
NHKマイルC 注目馬
ジャンタルマンタル
ボンドガール
ゴンバデカーブース

くろたん 注目馬・注目騎手
ダノンマッキンリー
NHKマイルC当日 キンカメ産駒騎乗騎手


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