スナック忘れな草～さよならゆずぴー・2023桑園特別～

■ 羽生結弦ロス

2023年8月4日（金）午後8時
－東京都某区　スナック忘れな草－

その夜、スナック忘れな草の近くを通りかかった近所の住人が言うには、スナック忘れな草の近辺だけしとしとと雨が降っていたという・・・

いつもの常連メンバーで、最後に登場したのはギョニ子だった。太陽のような明るさが魅力の彼女だが、今日は表情がどんよりと曇っている。いや、曇っているというより、雨空だろうか。目元には泣き腫らしたあとが残っていた。

黙ってマスターが生ビールを置くと、ギョニ子はそれを一気に半分ほど飲んでから話始めた。

「ゆずぴーとさよならしてきたの。写真集からなにから全部捨てたわ」

「ゆずぴーっていったらあれかい？あたしンちの男の子のほうだろ？」

タコ社長の軽いボケをギョニ子は、刺すような鋭い目線だけで突っ込んだ。そういうボケは今はやめろと言っている。

「ひいい！ごめんよ！」

タコ社長はそう言うとトイレへと逃げた。ギョニ子が本当に怒ったときは手が付けられないことを、タコ社長は知っている。

「羽生結弦さんが結婚の報告。辛かったわね、今日子ちゃん・・・」

麗子ママが眉根を寄せながら声を掛けた。ギョニ子が深くうなずく。

「いつかは来るとは思っていたし、一般人のあたしが結婚できるわけはないんだけど、やっぱショックだわあ。相手が公開されていないのもかえって気になるし・・・」

「今日子ちゃんの気持ちはわかりますが、難しいところですね。あれだけ女性ファンが多い人ですから、もし相手が公開されていたら、それが誰であれ誹謗中傷の対象になる可能性はあります」

「・・・そうね。マスターの言う通りだわ」

ギョニ子はそう言うと残りの生ビールを飲み干し、2杯目を頼んだ。

ギョニ子のそのような雰囲気もあり、競馬の話にはしばらくならなかったが、口火を切ったのは意外にもギョニ子だった。

「羽月友彦厩舎、怪しいわ」

JRAの騎手、調教師の中で羽生結弦の「羽」を持つ唯一の調教師、羽月友彦厩舎の土曜日の馬が、いずれも2枠2番だという。

8月5日（土）
札幌01R　未勝利
2－02　インペリオ（羽月友彦）

札幌10R　桑園特別
2－02　サヴァビアン（羽月友彦）

「これは面白そうだね」

真一郎が興味を示した。

「ゆずぴーは誕生日が12月7日。残念ながらJRAの現役騎手、現役調教師に同じ誕生日の人はなし。それなら羽月友彦厩舎がやってくれそうな気がするわ」

8/5（土）札幌10R　桑園特別
1－01　ファーストソリスト（バレエ用語）
2－02　サヴァビアン（羽月友彦）

「隣にはフィギュアスケートにお似合いのバレエ関連の馬がいるわ。前走穴をあけたサヴァビアンだけど、今回も人気にはならなさそう」

■ ギネス認定

「相手は8枠でどうでしょうか？」

マスターが口元に笑みを浮かべながら言った

8－13　オクトニオン
8－14　シンヨモ（ギネス）

「羽生結弦さんは確か、いくつかギネス記録を持っていたはずです」

レパードS
4－06　オメガ（ギネス）

「レパードSのオメガギネスも面白そうですが、羽生結弦馬券は土曜日のうちにやってしまいそうな気がします」

「マスター、乗ったわ！枠連2－8の1点で行く！ゆずぴーはねえ、今28歳なのよ！」

おおという歓声が店内に響きわたった。ギョニ子の表情には、泣き腫らしたあとはもうなかった。

スナック忘れな草
8/5（土）札幌10R　
桑園特別　勝負馬券
◎2番　サヴァビアン
枠連：2－8　
ワイド：2－13.14

画像引用サイト：日刊スポーツ
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