スナック忘れな草～あしたはどっちだ・2024CBC賞・札幌記念・NST賞～
トップ画像引用：Buzzfeed News
■ CBC賞
2024年8月17日（土）午後6時
－東京都某区 スナック忘れな草－
今年のCBC賞はやはりミスターメロディの高松宮記念を使いそうだと言ったのは、真一郎だった。ショウナンハクラクの誕生日に秘密があるという。
「ショウナンハクラクの誕生日、2019年の2月2日なんです。その年の高松宮記念が、今週僕たちが注目したミスターメロディの年。2－2のゾロ目でした」
（2019）第49回 高松宮記念
1着：（2）－03 ミスターメロディ（正3）
2着：（2）－04 セイウンコウセイ（正4）
3着：4－07（ショウナン）アンセム（正7）
CBC賞
6－12 （逆7）
7－13（外）（ショウナン）ハクラク
（2019/2/2生まれ）
7－14 レッドヒルシューズ
7－15 （逆4）
8－16 （逆3）
みんながなるほどと声を挙げた。
2019年の高松宮記念は枠連の2－2ゾロ目で、正番では3番4番7番の決着。
今年のCBC賞は逆番の3番4番7番で7枠の13番14番を挟んでおり、挟まれたうちの一頭がショウナンアンセムと同じショウナンの馬。そして同馬の誕生日が2019年2月2日、すなわちミスターメロディの2019高松宮記念2－2を暗示。相互に補完し合っているといっていいだろう。
「実使用ゼッケン抽選会の話題があったけど・・」
ギョニ子が言った。
「インティの4番、シャフリヤールの10番、ヨカヨカの2番。4番、10番、2番は続けて読むと『４２（よん・じゅう・に）』。7枠3頭の13番、14番、15番を足すと、なんとこれが『４２』なのよ」
4番・10番・2番 → ４２
13＋14＋15 ＝ ４２
みんながおおという声を挙げた。なかなか気づきにくいところだ。
■ 赤坂サカス
「14番レッドヒルシューズだけど・・」
今度は麗子ママだ。
「馬名意味は『赤い坂＋靴』。CBCはTBS系列だから、赤坂はお似合いよね」
みんながなるほどと頷いた。
TBS放送センターがある建物は、港区赤坂、TBS主導の再開発地区である「赤坂サカス」内にあるビルのひとつで、その外観からビッグハットと呼ばれている。
ダメ押しのネタが出そろったところで、本命14番レッドヒルシューズ、対抗13番ショウナンハクラクは確実なものとなった。あとは馬券をどうするかだ。
■ あー夏休み
そのとき、店に入ってくる者がいた。くろたんだった。洗いざらしのブルージーンに白のTシャツというさわやかなスタイル。胸にはローマ字でNOBUとある。
席には着かずリモコンを手に取ると、TUBEの『あー夏休み』を入れた。
「湘南で見た～ 葦簀（よしず）の君は～ ♪
・・・・・
あ～ 夏休み～ ♪・・」
額を汗でにじませながら気持ちよさそうに歌いあげると、くろたんはタコ社長の右側に座った。満足そうな笑みを浮かべている。
「エヌ、オー、ビー、ユー・・・」
タコ社長が言った。
「イカ2貫でお馴染みのあの芸人だな？」
「それは千鳥のノブ！！」
くろたんが電光石火の速さで突っ込んだ。次はギョニ子だ。
「ぴんから兄弟のモノマネする人たちよね？」
「ノブアンドフッキー！！」
真一郎が右手を高々と上げながら言った。
「やる気！ 元気！ いわき！！」
「井脇ノブ子！！ 根性一代夢の花！！」
麗子ママが右手で何かを掴むような仕草をしながら言った。
「ドアを開けるときに回すところよね？」
「それはドアノブ！！ もはや人間ですらない！！」
「もうそれくらいにしてあげましょう！！」
マスターがピシャリと言った。みんなが静まり返る。マスターは、くろたんの耳元で声をひそめて言った。
「明智光秀には気をつけてください」
「織田信長！！ この恰好のどこに戦国武将感があるんじゃい！！」
くろたんはそう突っ込むと、目の前にある響のロックをひと舐めした。
「TUBEの前田亘輝ですよ。CBCの正式名称は中部日本放送株式会社。『TUBE』があるでしょうに」
みんながなるほどと頷いた。
「明日、前田亘輝の馬が一頭出ていますよ」
くろたんはそう言うと、ロックグラスの中身を胃の中に収め、店を出て行った。
「あら、ホントだわ！」
ギョニ子が言った。
「新潟の4レースに出てる。11番ノブアンドホワイト」
8/18（日）新潟4R
6－11 ノブアンドホワイト（前田亘輝）
CBC賞
（6－11）グレイトゲイナー
「おお！ このグレイトゲイナーも押さえたほうがいいんじゃねえか？」
タコ社長がそう言うと、みんなが同意した。マスターがまとめる。
「13番ショウナンハクラク、14番レッドヒルシューズ。まずはこの2頭の単複をしっかり押さえましょう。どちらかが来て当たり馬券がないんではシャレになりませんからね。この2頭に11番グレイトゲイナー、そして、7枠のメイショウソラフネも押さえましょう。JRA FUNのポストから、枠の7－7－7なんてとんでもない馬券があるかもしれません」
マスターがいうJRA FUNのポストとは、今週あった名馬3頭のメイクデビュー列伝のことだ。
メイクデビュー列伝🔥
— JRA FUN (@JRAFUN_Official) August 14, 2024
1993年8月3週目には、「シャドーロールの怪物」と呼ばれた三冠馬 #ナリタブライアン が函館でデビュー(2着)🥈
実は、シャドーロールを装着したのは6戦目だったよ💡#JRA #JRAFUN #南井克巳 pic.twitter.com/txTDBZkKaZ
メイクデビュー列伝🔥
— JRA FUN (@JRAFUN_Official) August 15, 2024
1998年8月3週目には、長らく獲得賞金の世界記録を保持していた #テイエムオペラオー が京都でデビュー(2着)🥈
引退まで #和田竜二 騎手が手綱を握り続けたよ💡#JRA #JRAFUN pic.twitter.com/psPQwv7vqu
メイクデビュー列伝🔥
— JRA FUN (@JRAFUN_Official) August 16, 2024
2010年8月3週目には、史上7頭目の三冠馬 #オルフェーヴル が新潟でデビュー(優勝)🥇
重馬場の中、上がり「33.4」の末脚でデビュー戦を飾ったよ✨#JRA #JRAFUN #池添謙一 pic.twitter.com/PdAvgUaEUY
「この3頭のデビューゼッケンがいずれも8番で888。7枠ではないかもしれませんが、同要素決着には要注意だと思います」
みんながなるほどと頷いて、スナック忘れな草の勝負馬券が決まった。
スナック忘れな草
CBC賞 勝負馬券
本命：14番レッドヒルシューズ（単複バトル）
対抗：13番ショウナンハクラク
単複：13番、14番
枠連：7－7
馬連・ワイド：11－13－14 BOX
3連複：（13.14）－（11.15）
■ 札幌記念
今週のもうひとつの重賞、スーパーＧⅡの札幌記念をみていくことになった。タコ社長は、連覇を狙うプログノーシスの相手探しでいいだろうという。
「プログノーシスはゴールドとノースでサンドされてらあ。北口榛花の金メダルってわけだ」
札幌記念
7－10（外）モズ（ゴールド）バレル
8－11 プログノーシス
8－12（ノース）ブリッジ
（北）口榛花
女子やり投げ（金）メダル
みんながなるほどと頷いた。実力的にも軸はこの馬で大丈夫だろう。だが、相手を絞るとなると、なかなかやっかいなメンバー構成だ。
■ ハシハーミット
「北口榛花馬券なら・・・」
マスターが言った。
「ハシハーミットの菊花賞なんてどうでしょう？ 榛花の榛。『ハシバミ』が入っています」
1979
第40回 菊花賞
5－（09）（ハシハーミ）ット
札幌記念
7－（09）ステラヴェローチェ
「これって『ハシバミ』って読むのね？」
ギョニ子の質問には、麗子ママが答えた。
「北口榛花選手のお父様が、旭川のホテルでパティシエをしてらっしゃるんですって。娘が生まれたら『はるか』にすることは決めていて、ヘーゼルナッツを意味する『榛（ハシバミ）』の漢字を入れたそうよ」
「へえー！そうなんですね！」
真一郎が感心して言った。
「ハシハーミットには確かに『ハシバミ』がありますね。それで同じ9番のステラヴェローチェだと？」
マスターが頷いた。
「同枠が紅一点のモズゴールドバレルというのもいいでしょうね。同馬の前走はオースミハルカが連覇したクイーンステークスですから、北口榛花選手にはお似合い。さらに、クイーンステークスの距離が1800というのもいいでしょう。前走が1800なのはこの馬だけです」
「前走が1800？ それがなぜいいんだい？」
タコ社長が訊いた。マスターが答える。
「『榛』の文字をみなさん書いてみてください。途中までは『棒』と同じですが、違うのは禾篇のような漢字の部分。『禾』は『千・八』と書きますよね？」
実際に指で空中やカウンターに書いてみたみんなが、次々におおという声を挙げた。『榛』の字の中には確かに『禾』、すなわち『千八』がある。紅一点で前走が『芝1800』のクイーンステークス。北口榛花選手を暗示しているといっていいだろう。
「馬連とほとんどオッズ差がないので、ここは枠連7－8の一本でいきましょう」
マスターの言葉にみんなが同意して、スナック忘れな草の勝負馬券が決まった。
スナック忘れな草
札幌記念 勝負馬券
枠連：7－8
■ NST賞
10分間の休憩後、残る一つのメイン、新潟のNST賞を予想することになった。ギョニ子がまず、森秀行厩舎の3頭並びに注目した。
NST賞
6－10（外）マニバドラ（森秀行）
（冨士井直哉・父Speightstown）
7－11（外）ピンシャン（森秀行）
（冨士井直哉・父Speightstown）
7－12（外）メタマックス（森秀行）
「10番から12番まで外国産馬の森秀行3頭並び。おまけに10番11番は種牡馬と馬主も一緒でしょ？」
みんながなるほどと頷いた。
「戦歴的にも、この3頭が全部コケるとは思えないわ」
「その3頭からなら・・」
マスターが言った。
「というより、このレース全馬の中からでも10番のマニバドラが堅軸だと思いますよ。馬名意味がインド関連ですから」
NST賞
6－10（外）マニバドラ（森秀行）
（馬名意味：インド神話の鬼神の名より）
■ 50キロ級
「インドがキーワードってか？ そのこころは？」
タコ社長の問いに、マスターは６番の斤量をみてくださいと言った。
4－06 ダノンミカエル（50キロ・岡田祥嗣）
「ベテランジョッキー岡田祥嗣が50キロの馬に騎乗。調べてみたらJRAでは初でした。もしかしたら、福山競馬場時代を通じても珍しいことかもしれません」
広島県出身である岡田祥嗣騎手のデビューは、出身県にあった福山競馬場、1991年のことだった。JRAへの編入試験に9度目で合格し、2013年3月1日付けでJRAの騎手となっている。
マスターが続ける。
「岡田祥嗣騎手のプロフィールを見ると、体重は50キロになっています。騎手は普通、斤量よりも3キロは体重を落とすと言われていますから、岡田祥嗣騎手も47キロ程度まで減量しての騎乗になるはずです。明日たった一鞍乗るためだけに、過酷な減量をしているわけです」
「過酷な減量・・・」
真一郎がポンと手を叩いて言った。
「女子レスリングで失格になったインドの選手ですね？」
マスターがニヤリと笑って言った。
「そうです、しんちゃん。彼女のクラスは50キロ級でした。岡田祥嗣騎手がJRA編入後初の50キロでの騎乗。インド馬名のマニバドラが来るなら、相手はこの4枠ではないでしょうか」
パリオリンピック
レスリング女子50キロ級
ビネシュ（インド）
体重超過で失格
NST賞
4－06 ダノンミカエル（50キロ・岡田祥嗣）
※岡田祥嗣騎手の50キロはJRA初
6－10（外）マニバドラ（インド関連馬名）
「なるほど、よくできてるわ！」
ギョニ子が感嘆の声を挙げた。
「騎手も減量で苦労する人は多いと聞くわ。インド馬名のマニバドラが、50キロの馬を連れてくる。ありそうね！」
みんながうんうんと頷き、マニバドラからダノンミカエルの4枠への馬券に決まりかけた。
■ あしたのジョー
10分間の休憩中、スマホで熱心に調べものをしていたのはタコ社長だった。みんなが定位置に戻ったのを確認して、自信たっぷりに語り出した。
「スポーツで減量と言えばボクシングもそうだな？ 極限まで水分を抜く過酷な減量が問題になっている。ときにはそれが原因で、試合中に命を落とすこともある」
みんながタコ社長に注目した。
「あしたのジョーの力石徹。矢吹丈の最大のライバルだった。体格のいい力石は、ジョーのクラスで戦うために過酷な減量をしたことがたたり、試合には勝ったが死んでしまう。ジョーもまた、減量で苦しみ最後は燃え尽きる・・・木曜日、燃え尽きて真っ白になったジョーが北海道にいたんだ」
8/15（木）門別11Ｒ
第28回 北海道スプリントC（JpnⅡ）
1着：7－10 チカッパ
2着：5－06 エートラックス
3着：3－03 ティントレット
6着：1－01（ジョー）ローリット
「なるほど！ 1枠1番ジョーローリット。真っ白になったジョーというわけですね？」
マスターの言葉に、タコ社長が満足そうに頷く。
「そういうこった。この決まり目6番10番。同じダート1200のNST賞でズバリってことがあるかもしれねえぜ！」
第28回
北海道スプリントC（JpnⅡ）ダ1200
1着：7－10 チカッパ
2着：5－06 エートラックス
NST賞 ダ1200
4－（06）ダノンミカエル
6－（10）（外）マニバドラ
みんながおおという声を挙げた。
減量苦を示唆するインド馬名のマニバドラと、初の50キロ岡田祥嗣騎手が乗るダノンミカエル。その6番10番は、今週すでに北海道の交流重賞で使われていたのだ。しかも1枠1番には、過酷な減量を示唆するジョーローリットという馬を置いて。
「ジョーローリットには岩田のパパが乗ってたんだが、岩田パパと岡田祥嗣は、地方競馬の競馬学校、地方競馬教養センターの第22期生、同期っつうおまけもあるぜ！ さらに言うと、ジョーローリットもダノンミカエルもダノンレジェンド産駒だ」
みんながなるほどと同意し、スナック忘れな草の勝負馬券が決まった。
スナック忘れな草
NST賞 勝負馬券
本命：6番 ダノンミカエル（単複バトル）
馬連・ワイド：6－10
■ ジョーカプチーノ
店内にシナモンの香りが広がった。麗子ママが、締めのカプチーノをみんなに配りだしたのだ。
「ジョーカプチーノ・・・ジョーローリットの上田江吏子氏のお母さん、上田けい子さんがオーナーでしたよね？」
真一郎が、カプチーノが入ったコーヒーカップを両手で包みながら言った。麗子ママが頷く。
「そうよ。藤岡康太騎手に、初のＧⅠ制覇をもたらした馬だったわよね」
「今年は何かにつけ思いだしちまうな」
タコ社長がしみじみと言った。
「ところでママさん、俺に砂糖をくれよ」
「あら社長さん。もう入ってるからそのまま飲んでみて」
タコ社長がカップに口をつけ、ゆっくりと一口すする。
「なるほど、ほんのりと甘みがあるなあ」
「微糖にしておいたわ。あしたのジョーには『びとう』がお似合いでしょ？」
麗子ママがそう言うと、みんながなるほどと言って笑った。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？