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トゥレット症候群とは?

トゥレット症候群は、チック症の病型の1つで、日本では発達障害に含まれる精神神経疾患です。

チック症は、運動性チックと音声性チックという2種類の症状がありますが、トゥレット症候群は、運動性チックと音声性チックの両方が同時に出現することが特徴です。

本人の意図しない運動や音声が、急に、繰り返し出現するため、仕事や日常生活にも支障をきたします。また、その症状の特徴から周囲の方から誤解を受けることも多くあります。

この記事ではトゥレット症候群の症状や原因、治療法についてご説明し、トゥレット症候群の方が受けられる支援、就職に際し受けられる就労移行支援について詳しくご紹介します。


■トゥレット症候群について

トゥレット症候群は、本人の意図しない運動や音声などの複数のチックが繰り返し起きる疾患で、日本においては発達障害に含まれます。トゥレット症候群という呼び方以外に、トゥレット症、ジル・ド・ラ・トゥレット症候群と呼ばれることもあります。

トゥレット症候群はチック症の病型のひとつで、このチックとは、勝手に動いてしまう不随意運動のことを指す脳神経科学の用語です。トゥレット症候群で生じるチックの症状の種類は複数存在し、現れる症状は人によって異なります。

チック症については過去にもお話ししてますのでこちらを参考にしていただくと幸いです。

▽チック症・トゥレット症候群の発症時期

トゥレット症候群の症状の出現は、初期のうちは、瞬き(まばたき)などの単純性の運動性チックが一箇所で見られます。次第に運動性チックが身体全体に広がり、ジャンプしたり、自分を叩く、物をやたら触る、蹴る動作など複雑性の運動性チックの症状が複数現れ始めます。

その後、「アッ」「ンッ」と声を発する単純性の音声性チックの出現、他人の言ったことを繰り返したりその場にそぐわない汚い言葉などが出る複雑性の音声性チックの出現というように症状が進行していきます。

本来、チック症・トゥレット症候群で出現するチックの症状は本人の意思に反して、突然、繰り返し出現するので、自分の意志では止められない不随意運動です。しかし、周囲におかしいと思われたくない、迷惑をかけたくないという本人の多大な努力によって、ある程度はチック症状を抑えることができる場合があります。

しかしながら、チック症状が出現するに先立って、ムズムズする感覚やチックを出さずにいられないという前駆衝動が高い頻度で生じます。こうした前駆衝動は、チックを出すとすっきりする感覚があり、逆にチックを止めようと長時間無理を続けると、さらに前駆衝動が強くなってしまうことがあります。

前述しましたが、チック症・トゥレット症候群は、大きく分けて「運動性チック」と「音声性チック」に分類することができ、さらにそれぞれ、単純性のものと複雑性のものとがあります。

トゥレット症候群の特徴は、「複雑」で「症状の数が多く」、「持続時間が長い」、というように、チック症の中でも特に重症なタイプの病型です。現在、トゥレット症候群の発症率は10,000人に5~10人程度とされており、神経系疾患の難病として認定されています。

【病型】トゥレット症候群
【症状】運動チックと音声チックの両方が1年以上みられる場合

【病型】暫定的チック症
【症状】運動チックor音声チックがみられるが、持続期間が1年以内の場合

【病型】持続性(慢性)運動または音声チック症
【症状】運動チックor音声チックの一方だけが1年以上みられる場合

■トゥレット症候群の原因

チック症・トゥレット症候群の原因はまだ詳しく解明されていませんが、家庭内において多発する傾向があることがわかっています。そのため、遺伝的要因がチック症・トゥレット症候群の発症に関与していると考えられています。

ただし、チック症・トゥレット症候群は必ずしも遺伝的要因のみが原因であるわけではなく、環境要因や気質要因が作用することによって現れるとされています。

現在、チック症・トゥレット症候群の原因として、具体的には大脳基底核という運動の調整に関わる部位を含めた脳内回路の異常が考えられています。さらに、ド-パミン系やセロトニン系などの神経伝達物質の異常が関係していると言われています。

▽遺伝要因と生理学的要因

遺伝要因と環境要因はチック症・トゥレット症候群の出現と重症度に影響するとされ、トゥレット症候群の重要なリスク対立遺伝子と、チック症のある人の家族にみられる遺伝子変異は同じものです。

また、出産の際に生じた合併症、父親の高年齢、低出生体重、妊娠中の母親の喫煙が、チックの重症度の悪化に関連しているとされています。

▽環境要因

チック症・トゥレット症候群の症状として相手の身振りや音声を意図せず真似する場合があります。権威のある立場の人(例:教師、上司、警察官)とかかわる際には、問題になる場合もあります。

▽気質要因

チック症・トゥレット症候群は、強いストレスや疲労、不安や興奮によって悪化し、落ち着いて集中しているときは改善します。そのため、学校のテストや仕事に追われているときなどには、しばしば悪化することがあります。

なお、チックは、コカインやアンフェタミンなどの特定の薬剤の使用によって生じることもありますが、他の病気や薬剤によって引き起こされたチックは、チック症とはみなされません。

また、チックが始まった小児期にレンサ球菌(溶連菌)感染症にかかっていた場合、小児自己免疫性溶連菌感染関連性精神神経障害と呼ばれ、レンサ球菌を排除するための抗体がチックの発生や悪化の原因になっていると考えられることもあります。

しかし、現在のところ、まだ多くの研究者がこの関係を証明する証拠はないと考えており、未だ解明されていません。

■トゥレット症候群の方が受けられる支援

チック症・トゥレット症候群は、日本の行政においては発達障害の定義に含まれています。そのため、軽度の瞬き(まばたき)、咳払い等の一般的なチックではなく、重症な多発性チックを伴うトゥレット症候群の場合、障害者手帳を取得し福祉サービスを利用できるケースもあります。

手帳を持つとさまざまな福祉サービスが受けられるようになる以外に、仕事を探す際、就労移行支援を利用することができたり、障害者雇用枠の応募が可能になります。

▽医療支援

チック症・トゥレット症候群の方は「自立支援医療」を受けることができるほか、精神障害保健福祉手帳の発行も可能です。

【受けられる支援】
・自立支援医療(精神病院)
【内容】
通院治療にかかる治療費や薬代の負担が原則1割となる。

【受けられる支援】
・精神障害者保健福祉手帳
【内容】
税金の控除や公共料金の免除、福祉サービスが受けられる。

市区町村の役場に申請書、意見書,所得確認書類等を提出する必要がありますが、医療費の負担の軽減や、各種サービスを受けることができます。

詳しくは、各自治体の窓口(障害福祉課など)や通院している病院・診療所に問い合わせてみてください。

▽就労支援

チック症・トゥレット症候群は、発達障害に含まれるので、就職の際には就労移行支援を受けることができます。

就労移行支援は、障害者手帳をお持ちか、もしくは医師による障がいの診断のある~65歳までの就労意欲のある方が利用することができます。就労支援サービスは各市区町村の障害福祉窓口をはじめ、各事業所のWEBサイトからも申し込むことが可能です。

就労移行支援を受けると、まずは面談を行ったうえで事業所へ通い、職業訓練やインターンシップを通して就職活動ができる状態までサポートを受けることができます。また、就職が決まったあともサポートは続き、きちんと職場に定着できるまで支援をしてくれます。

住民登録をしている市区町村でなくても利用できるため、訓練プログラムの内容や事業所の雰囲気を比較して、自分に合う事業所を探しましょう。

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