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執筆の独り言

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取材や原稿執筆などなど、仕事にまつわるできごとで感じたことあれこれの覚え書き
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#東日本大震災

1995年と重なる落ち着かない日々[2024年1月6日]

発生から6日経ち、被害の大きさが徐々にわかってきた能登半島地震。ジャーナリストの津田大介さんのポリタスTV動画レポを見て、予想した通り、建物の崩壊と津波が重なり、阪神淡路大震災と東日本大震災が同時に起きたような被害状況になっているのだと感じた。 阪神淡路大震災、東日本大震災共に私は仕事での関わりがあり、現地取材をしたときのことをどうしても思い出してしまう。あの時も発生直後から時間の経過とともに、被害が甚大であることがわかるような状態だった。どちらの震災のときも、私が現地に入

言葉を聞いて書く仕事の意味と残酷さ

 朝日新聞出版のnoteで『お空から、ちゃんと見ててね。〜作文集・東日本大震災遺児たちの10年』(あしなが育英会編著)に収録されている一遍が公開されていたので、シェアします。震災でお父様を亡くした女性に、今の気持ちを書いてもらった文章です。  この本のなかで私は当時、小学生だった方たちに取材したのですが、時間が経ったことによる取材の難しさを思い知らされました。以前から信頼関係を築いてきたわけでもなく、ポッと行って聞くということは、ここ1カ月ほどの間、大量に出回っている記事の

震災の「語られない言葉」とは何か。金菱清先生と藤田直哉さんの対談から考える

東日本大震災の「震災の記録プロジェクト」を続けている関西学院大学教授・金菱清先生と、震災文芸誌『ららほら』を発行している文芸評論家・藤田直哉さんの対談が、Yahoo!ニュースに掲載されました。 「言葉にできない思いを抱えている人がいる」――遺族と向き合った研究者が語る、震災から10年 #あれから私は    東日本大震災から10年ということもあり、今年は例年以上に震災のニュースが多いように感じます。ですが、私は、いつも今の時期になると思い出してしまいます。『私の夢まで、会い

あしなが育英会が編著の東日本大震災遺児作文集が出版されます

 今年は東日本大震災から10年ということもあり、震災をテーマにした仕事が例年以上に多いです。ですが、取材すればするほど、10年という月日が節目ではなく、これからもずっと続いく「震災後の日々」なのだと思い知らされます。  2月19日に発売予定の『お空から、ちゃんと見ててね。——作文集・東日本大震災遺児たちの10年』(あしなが育英会・編/朝日新聞出版)は、震災で家族を亡くした子どもたちの作文集です。  あしなが育英会は、遺児たちの学費支援だけでなく、心のケアにも力を入れて

『私の夢まで、会いに来てくれた』と『津波の霊たち』の不思議なご縁

 東日本大震災に関係する本は、震災直後から3年くらいまでの間にはかなりの冊数が出たけれど、その後はポチポチ。被災地以外の人々の興味が他に移るにつれて、新刊は復興やグリーフケアなどに関する専門書が中心になっていった。  そんななか、毎年、フィールドワークのレポートを書籍化していた金菱清先生から相談があり、縁あって私も関わりながら制作したのが、『私の夢まで、会いに来てくれた』だ。震災から時間が経ち、よりいっそう、被災した人たちへの心の寄り添い方がクローズアップされるようになって

『私の夢まで、会いに来てくれた』文庫判が2月5日に発売になります

 2018年に発行された『私の夢まで、会いに来てくれた 3.11 亡き人とのそれから』(金菱清ゼミナール編 東北学院大学震災の記録プロジェクト)が、震災から10年になる今年、文庫化されます。  発売日は2月5日。現在、予約受付中です。  この本の編者は、宮城県仙台市にある東北学院大学の金菱ゼミの学生さんたちです。災害社会学をテーマにする金菱清先生のもとで学ぶ、3年生のゼミ生と2年生が、東日本大震災で家族や友人を亡くした方たちに、どのような夢を見ているのか、聞き取り調査