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ハンティントン伯ロバートの凋落―第一一幕

 【老人に扮したフィッツウォーターが登場】

 フィッツウォーター(老人):うまく書く者やよく知っている者によれば、この世の成功は災厄であり、最高の状態は長続きしないという。かつてフィッツウォーターは公正なイングランドの法廷で幸運であり幸福であった。屋敷では愉快な幸運の女神が娯楽に興じ、享楽は1刻なりとも悲しみを消してくれた。かつてフィッツウォーターは城、町、塔、美しい庭園、果樹園、そして魅力的な領地を持っていた。しかし、今となっては哀れなフィッツウォーターにとって庭園も果樹園も町も塔も力の及ぶところではない。世界の中で私に残されたのは四肢を伸ばせる場所だけだ。ただこわばった四肢のせいで私はほとんど歩けない。眠る時、輝かしい天蓋が私と隠れ家の上を覆う。不正なジョンであっても私からそれを奪えない。(私が生きている間)ジョンは私に天地を委ねておくしかない。哀れな男よ、おまえのような無慈悲な暴君はイングランドの天地から追放されるだろう。天地から去る前に私は美しいが不運な子であるマティルダに会うために全力を尽くそう。【幕が開く。ロビン・フッドが緑なす土手で眠っていて、マリアンはロビンの上に花をふり撒いている】。さてどこに私の大切な者がいるか確かめに行く良い頃合いだ。マリアンの隣には貶斥されたハンティントンがいる。花のようなマリアンが手に花を持ち、眠っているわが息子に馨しい花を落としているのを見よ。視力を失った者のように私は目を閉じよう。そうなると彼らの喜びの見納めだ。【杖で扉を叩きに行く】

 マリアン:ご老人、あなたは誰ですか。いったいどうしてこのような道もない森の中へはるばるやって来たのですか。

 フィッツウォーター(老人):未亡人であれ人妻であれ乙女であれ、私にあなたの手を貸してください。私には見えないものがあなたには見えるのですから。あなたに恩恵があらんことを。恩恵があなたに不足しているとは思えませんが。ああ、善良な娘さんよ、私は食べ物すら満足に手に入れられないのです。ロビン・フッドが親切であると私を安心させてもらえば、こうした気持ちも和らぐでしょう。娘さん、ロビン・フッドが何をしようともあなたはそれが何のためかわかっていますよね。私は貧しく年老いていて地上のすべての幸福を奪われています。そこで貧しい人たちの支援者であるロビン・フッドを頼ってこの森までよろよろと歩いて何とかたどり着きました。

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