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女海賊メアリ・リードとアン・ボニー:前編

はじめに

この文章は、『Captain William Kidd and Others of the Buccaneers』(1874)から女海賊メアリ・リード(第12章)とアン・ボニー(第13章)に関する部分を抜粋して翻訳したものである。『Captain William Kidd and Others of the Buccaneers』は、アメリカの歴史家ジョン・アボットによってわかりやすくまとめられた海賊の伝記である。

本文

チャールズ・ジョンソンの証言—メアリ・リードの母親の結婚—風変わりな冒険—娘を男に偽装する理由—男の子として訓練された幼年期のメアリ—軍艦に乗り込む—彼女の性格—軍に入隊—技術と勇気—フランドル人との恋—性別を明かす—結婚—幸福な日々—夫の死—逆境—男装を再開

キャプテン・キッドとその他の同時代の有名な海賊たちに関する解説を書くにあたって、我々は多くの昔の記録を照会する機会を得た。そうした調査の中で我々は、非常に面白い案件を数多く発見した。そうした中にメアリ・リードとアン・ボニーという二人の著名な女海賊がいる。 彼女たちの人生は、事実は小説よりも奇なりという一般的な意見を証明するものである。我々は、彼女たちの荒々しく躍動的な冒険についてキャプテン・チャールズ・ジョンソンの話を主に参考にしている。彼の非常に価値がある『海賊列伝』の第二版が今、ちょうど我々の前にある。それは1724年にロンドンで刊行された。その本の前文で著者は以下のように述べている。

二人の女海賊の人生に関して我々はまったく誇張しておらず、完全なる真実であると告げなければならない。彼女たちが海賊行為について公的に裁かれたせいで、我々が彼女たちに関して述べていることについて本当だと証明できる目撃者がまだ生きている。公に知られていない詳細について我々が語っていることは確かである。そうした理由で我々は、自分自身の個人的な好奇心を満たす目的以外を持たない人々よりも彼女たちの過去の人生の環境について深く言及している。たとえこの話に小説を思わせる展開があったとしても、それはそうした目的のために作り出されたものではない。そうした種類の読み物について著者はまったく関知していない。しかし、著者自身がそうした読み物から離れていても、それらを知らされれば著者は、同じような効果を読者に与えようと思うだろう。

約一七五年前、一人の少女がイングランドのある港で水夫と結婚した。結婚後、遠い船旅に出るために水夫が家を離れるまで数ヶ月もなかった。そして、水夫は二度と戻らなかった。彼女は、彼が自分のことを見捨てたのか、それともはるか遠くで彼が死んだのかわからなかった。彼が航海に出た時、彼女はもうすぐ自分が母親になると悟っていた。彼女は夫の親戚たちと共に住んでいた。それから臨月になって子供が生まれ、男の子であるとわかった。

母親は若く明るく軽薄でまずまずの評判の少女であったが、身持ちが悪く、まもなく再び母になることがわかった。それから数ヶ月経って、不品行を隠すために彼女は、田舎の遠い場所にある自分の友達の家に行くと言って夫の親戚の家に別れを告げた。一歳にもなっていなかった小さな男の子は彼女に連れて行かれた。

彼女が出発した直後、息子が死んでしまった。そして、まもなく彼女はもう一人の子供を出産した。その子供は女の子であった。母親は四年間、ずっと[夫の親戚の家から]離れていた。その間、彼女は夫の親戚たちとほとんど連絡を取らなかった。そして夫の親戚たちは、彼女の息子が死んだことも彼女が女の子を産んだこともまったく知らなかった。小さな女の子の母は、もし彼女がその子供を年老いた義母に男の子と偽って渡せば、子供はきっと愛されて何でも与えられるはずだと考えた。しかし、女の子を男の子に変えることは非常に難しいように思われた。しかしながら彼女は、子供が少年に見えるように服を着せ、夫の息子として義母に披露した。誰も偽装を疑わなかった。善良な老女は子供を温かく抱きしめて、養子として迎え入れて手厚く世話すると約束した。

しかし、狡猾な母親は、子供と別れることは非常に忍びないので、とても子供と別れることはできないと言った。そこで母親が子供と一緒に住んでいる間、祖母が生活費として一週間に一クラウンを与えるという条件で落ち着いた。結局、子供は少年として育てられた。母親は子供を注意深く見守り、できるだけ用心深く性別の秘密を隠すように教えた。

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