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アーサー・コナン・ドイル北極日記5月8日

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5月8日土曜日

北西に向けて汽走。ヴィクター号が同じ方角に向かっているのが見えた。ライオンの後ろに続くジャッカルのように ヴィクター号は我々に追随した。すべての氷にアザラシが点々といた。快晴。夜、煙草と砂糖を配給。水夫によるオークションを楽しむ。シェトランド人のマンソン・ターヴィル[訳注1]がオークションを取り仕切って、擦り切れてみすぼらしい彼の古い外套を厄介払いしようとまくしたてた。「煙草5本でどうだ。煙草5本。誰かもっと高値をつけないか。[華氏]マイナス190度[訳注2]まで耐えられると保障する。煙草5本以上出す者はいるか。さあ諸君。さあ諸君。煙草5本半。ありがとう。煙草5本半でいいか。裏地の片側にビーバーの絵があるぞ。もう片側にはガラガラヘビだ。叩き売りだよ。さあ今度だけだぞ。諸君、今こそ取り引きの絶好の機会だぞ。おしまいか」。私はヘンリー・ポルソン[訳注3]からアザラシ皮のズボンを一揃い買った。

訳注

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