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『ロドモンテの死』(1572)解説

原題はLa Mort de Rodomont et Sa Descente aux Enfers。作者は16世紀から17世紀初頭にかけて活躍したフランスの詩人フィリップ・デポルトである。

前半部分は『狂えるオルランド』に倣ってルッジェーロとブラダマンテの結婚、そしてルッジェーロとロドモンテの決闘が語られている。後半部分はロドモンテの冥界行を扱っていて、アレティーノ『マルフィーザ』に大きな影響を受けている。

冥界に落ちたロドモンテは川の前に出た。その川には渡し守のカローンがいて渡し賃を取っていた。ロドモンテは渡し賃を払おうとしなかったばかりかカローンを脅迫した。

カローンの叫びに恐怖を感じた冥界の王プルートーンはどうすればよいか困惑するばかりであった。プルートーンの妻プロセルピナは冥界の亡霊たちに救いを求めた。呼び出しに応じた亡霊たちに対してプルートーンはもしロドモンテを撃退すれば永遠に罪を問わないことを約束する。グラダッソ、アグラマンテ、マンドリカルドの3人がそれぞれ自らの武勲を述べる。その結果、マンドリカルドが選ばれる。

マンドリカルドとロドモンテが戦う。戦いの後、渇きを覚えたロドモンテは川の水を飲む。実はそれは忘却の川の水であった。ロドモンテは冥界を支配するという目的をその場で忘れてしまう。ただ一つだけ忘れられないことがあった。イザベラへの愛である。あまりに強い感情だったせいで忘却の川の力が及ばなかった。

ロドモンテは地上に戻ってイザベラの墓を探し求める。そして、生者でもなく死者でもない存在としてイザベルの墓所に通じる橋のたもとを数百年も漂い続けることになった。

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