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ハンティントン伯ロバートの凋落―第八幕

【ジョン王子と貴族たちが兵士たちとともに登場】

 ジョン王子:さてこの彗星[イーリーの司祭のこと]は海中にもぐっているのか、それとも陰鬱な地の上の泥濘のように這いつくばっているのか。奴は死んでしまったのか。さもなければ我々は奴の消息を聞かなければな。

 ソールズベリー:いったいどうするべきかわかりません、わが主君。

 フィッツウォーター:イーリーの司祭は私が思っているような男ではありません。奴よりも我々のほうが出遅れているのではないかと私は恐れています。

 ジョン王子:善良なるフィッツウォーターよ、なぜそのように恐れるのだ。

 フィッツウォーター:我々は奴の高慢さをきちんと抑止しなければなりません。しかし、絶えず上を目指す高慢な者は今にも高みに登ろうとしています。

 ソールズベリー:わかりやすく言ってくれ、フィッツウォーター。おまえは何を知っているのだ。

 ジョン王子:フィッツウォーターは特に何も言っているつもりはないと私はわかっている。もしフィッツウォーターが何か知っているなら、舌は心の中を教えてくれるだろう[フィッツウォーターが嘘をつけないということ]。

 フィッツウォーター:わが主君、私の心の中での自由な議論を世間に示しましょう。私は学校で誠意を持って人と接するように教えられました。行動と発言はきちんと一致しなければなりません。我々は発言して行動しました。そう言っただけでは意味はありません。それに次のような突然出てきた申し立てには根拠がありません。すなわち『私の愛を受け入れてくれてください。私に命令してください。私を使ってください。ずっと続く私の愛を無視するのはあなたが悪いのです、愛しい人よ』。突風、稲妻の閃き、水流の上の泡が長らえないことを神が教える場合、それは約束の目的が来たるべき時を待っているということです。この不穏で狂った卑しく偽善的でごまかしに満ちた時代に恥があらんことを。ああ、ああ、神はこうした罪を助長する者たちをこの大地から追放するでしょう。私は心の中に恐れを抱いています。邪悪だが体裁が良いように見える罪は、大きな犠牲を払うことになるのではないかと。

 ソールズベリー:フィッツウォーターは神の啓示を受けたのだ。

 ジョン王子:悪魔に魅入られたのか、愚かな年寄りが耄碌したのか。

 【王太后、チェスター、ケントの代官、兵士たちが登場】

 王太后:我々は憎らしい坊主を探していましたが無駄足になったようです。

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