見出し画像

ビリー・ザ・キッドの生涯―第一〇章 無法者の生活

第一章から読む

リンカンのホテルを離れた後、キッドは馬に跨ってステイクド・プレインに向かった。そこにはジョン・チザム老の牧場があった。その時、チザムはそこにいた。ビリーは彼への奉仕に対して1,000ドルを要求した。

ジョン・チザム老のその他の悪徳に吝嗇が加わった。彼はささやかな額の支払いを断ったからである。

口喧嘩が起きてキッドは老いぼれの悪党の命を奪いかけたが、最後には半ば恐怖によって、半ば友人たちの説得によって牧場を離れた。

彼は当てもなく道に沿って馬を進めた。その時、彼は友人であり相棒であるトム・オフォラー[ド]に再会した。

トムは「よお、ビリー、どうしたんだい」と聞いた。

キッドは「チザムのおやじと俺は喧嘩したんだ」と答えた。

「おまえと彼は喧嘩別れしたのか」

「そうだ」

「いったいどうして」

「奴は俺に借りがあるのにきちんと支払わなかった」

「そいつはひでえな。支払いに見合うだけの牛をもらえばいいじゃないか」

それはこれまでキッドの頭に浮かばなかった考えであった。牛は資本だからそれで間に合わせればいい。

彼は「俺はそうするよ。昔の仲間たちをまた集めて奴の牛を奪おう。俺たちが一生懸命働いた後で老いぼれの悪党は、新しいお気に入りをそばに置くために俺たちを放り出しやがった」と言った。

「昔の仲間たちと古き良き時代よ。牧場へ押し寄せて再び夜襲しようぜ。愉快な昔の仲間たちに万歳だ」

2人はともに馬を進めた。

キッドは「仲間たちがどこに分散したのか知っているか」と聞いた。

「大半はリンカンとフォート・スタンレー周辺でぶらついているさ」

「俺はステイクド・プレインにいるからおまえがリンカンとフォート・スタンレーに向かってくれないか。それで仲間たちに集合地点を伝えてくれ。12人集まったらすぐに稼業を始めるぞ」

トムは指示された通りに出発した。その夜、キッドは地面の上で眠った。翌日、トムは古い仲間の10人の無法者たちを連れて帰ってきた。

挨拶は温かいものであった。彼らはすぐに新しい組織に忠誠を誓った。まさにその夜、彼らはチザムの牛の群れを襲撃して300頭の太った牛を奪った。その夜の半分を使って彼らは移動して時間を稼いだ。夜明けになって彼らが後ろを振り返ると、20人から30人の騎手が迫っていた。

キッドは戦いを挑む決意をして、1マイル[1.6km]から2マイル[3.2km]ほど急いだ。彼らは低地で停止した。

彼らは馬から下りると、馬を正面に置いた。そして、ライフル銃の撃鉄を起こすと、追跡者たちが接近するのを待った。

トムは「俺たちの友人だった奴らだぜ、ビリー」と言った。

キッドは「そんなことにかまっていられるか。奴らは全員悪党だから殺されても当然だ」と答えた。

追跡者たちは群れが前方にいるのを見て、全速力で雄叫びを上げながら迫ってきた。

キッドの一味は落ち着いて彼らの接近を待った。

ここから先は

2,287字

¥ 100

サポートありがとうございます!サポートはさらなる内容の充実によって読者に100パーセント還元されます。