ビリー・ザ・キッドの生涯―第七章 ウォレス長官の恩赦
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マリオン・ターナーとダッドリー中佐は、逃亡したキッドと一味の残党を追跡しようとしなかった。6日間にわたる激しい戦いは、鉄のような男たちでさえもう十分だと思えるものだった。
男たちは疲弊していた。多くの男たちが負傷し、馬は疲れ切って、さしあたって男たちはキッドのことを気にかけている余裕がなかった。
ビリーとトムは町から駆け去って4マイル[6.4km]ほど進み、小さな谷で止まった。夜遅くのことだった。2人は弾薬と埃で汚れて疲れ切っていたが諦めていなかった。
トムは「この事態をどう思う、ビリー」と聞いた。
「どのような答えがいいか」
「わからないな」
「奴らは俺たちにいろいろ仕掛けてくるだろうな」
「きっとそうだと思う」
「名誉ある戦いだと思わないか、トム」
「きっとそうだな、ビリー。そんな戦いに首を突っ込む余裕がある奴がいればの話だがな。どうする、ビリー。この地方を離れるか」
「いいや」
「降伏するか」
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