素直
例えば寂しいときに、恋人に「寂しいから電話したい」と言えればいいのだけれど、僕はまだ、一度もそう伝えられたことがない。
それよりはバーみたいなところに行って、知らない人たちと話して、知らない人と絡んだりして、代替物で埋めて、後日、余計に寂しい気分になる。そういう習性がある。
noteも似たような動機で書いている。僕はここに書いてきたようなみみっちいことを、リアルでは誰にも言えたことがない。もちろん、恋人にも。
ここに、何か大きな問題があることは分かっている。でも、まだ治せていない。外から見ると、とても簡単なことなのに、どうしてできないんだろう? とイライラすると思う。僕も少し離れた位置から自分を見ることに成功した時、同じことを思う。
死にたくなった時、やっぱり僕は、誰にも何も言えないまま死ぬと思う。むしろ、どうしてそんなことを身近な人に言えるのか、僕にはよく分からない。その言葉を口にしようとする時、僕の呼吸器官は剥製になる。
悩みとか、弱みとか、そういうのを自然に話せたらいいのに、と僕は思う。できたことがない。ただ、僕にできるのは、自分の抱える痛みと同じような痛みを抱えている人に近づいて、相手がして欲しいと思っているであろうことの中から、自分にできることを探して実行する。それだけ。それで、僕は少しだけ、自分が救われたような気分になることができる。それだけ。
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