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Filecoin仮想マシンの説明

2023年01月16日 14時00分

Web3 を初めてご利用になる方は、Filecoin や IPFS に関する情報に行き当たったことがあるかもしれません。この界隈では、Filecoin Virtual Machine (FVM)と、それがデータ関連のあらゆるもののためにアンロックする機能についての話題を頻繁に目にすることでしょう。それはいったい何を意味するのでしょうか。まず、その背景から説明しましょう。

ストレージの次に来るのは計算処理

Protocol Labs: Introduction to IPFS & Filecoin

Filecoinのストレージネットワークは、数年の歳月をかけ、15エクスビバイト(EiB)以上のストレージ容量をコミットしており、ざっと一千万年以上のビデオ通話に換算されることになります。

ファイルコインは、データの保管と受け取りというマーケットプレイス業務を円滑化するブロックチェーンプロトコルです。ストレージ取引は、クライアントと呼ばれるユーザーがデータの保存を依頼し、その提案をストレージプロバイダが受け入れ、データを保存することで成立します。

取引が行われると、クライアントのデータには特別なアドレスが与えられ、ストレージプロバイダはデータを保存します。ストレージプロバイダが、データが保存されたという検証可能な証明を何かしらの手段により提供すると、その保存取引はファイルコインのブロックチェーンに記録されます。

これらの構成要素はすべて、Filecoin Masterplanの最初のステップであるFilecoinストレージネットワークを構成しています。

  1. 世界最大級の分散型ストレージネットワークを構築します。

  2. 人類のデータを搭載し、保護できます。

  3. データに対する検索と計算の機能を導入し、スケーラブルなアプリケーションを構築します。

私たちは、意味のあるデータセットを搭載する第2ステップを順調に進めており、同時に、FVMが重要な役割を果たす、データに計算をもたらす第3および最終ステップに取り組んでいます。

FVMの紹介

FVMは、真に分散化されたインターネットを実現するというProtocol Labsの野心に応えるために生まれました。ウェブスケールのアプリケーションを可能にするためには、ストレージとプログラマビリティの両方が必要です。FVMは、Filecoinのストレージネットワークへ汎用的なプログラマビリティをもたらすために作成されました。

FVMは、スマートコントラクトと検証可能なストレージを繋ぐことができます。スマートコントラクトと同様に、FVMは、所定の条件を満たすと、特定の動作を自己実行する能力を持っています。他の多くのスマートコントラクトとは異なり、FVMは、仮想マシンのネイティブ環境内で、検証済みの保存データの証明にアクセスする追加機能を備えています。

FVMによって、Web3アプリケーションはWeb2アプリケーションと同様に機能し、アプリケーションはプロセスを自動化し、大量のデータを参照して最適な決定を下すことができるため、この機能は大きな潜在的影響力を秘めています。主な違いは、FVMは分散化された空間でそれを可能にすることで、一連の利点が付属していることです。

FVMを構築するために適用される技術的な厳密さは深く、我々はドキュメントでさらに詳しく説明することができます。しかし、強調すべき重要な明確化のポイントは、FVMの計算処理はデータではなく、状態に対して行われるということです。つまり、保存されたデータの検証済み証明にアクセスするときは、その保存されたデータ取引のメタデータを操作します。その取引に保存されているデータそのものを操作するわけではありません。

データの計算は、FVMがそれらの作業(ジョブ)を調整することで、オフチェーンで実現することができます。Protocol LabのCompute over Dataフレームワーク「Bacalhau」はその一例です。

FVMの活用事例を想定してみましょう―永久ストレージとデータDAO

FVMには、インフラからツール、フルソリューションまで、あらゆるユースケースが想定されます。

例えば、FVMアクターがFilecoinネットワーク上でストレージ取引のレプリケーションを自動化し、任意の時点で最小数のコピーがバックアップされることを保証できます。FVMアクターは、クライアントの好みに基づいて、ストレージ取引の更新を自動化することができます。これと保存データのレジリエンス向上が相まって、FVMによる永久保存が可能になります。これはあらゆるストレージ市場の基礎的なニーズです。

データDAOは、そのDAOのデータポートフォリオのために永久的なストレージを活用することができます。さらに、スケーラブルでクリーンなデータセットのために、特定の基準が満たされることを保証することによって、DAOへのデータのアップロードを調整し、管理するFVMアクターを持つことができます。

FVMアクターは、DAOの参加メンバーに対してトークンやNFTを鋳造し、参加に報い、理想的な行為を奨励するために利用することができます。

また、FVMのアクターは、メンバーに対して条件付きのアクセスコントロールを提供することもできます。例えば、参加することでアクセスの機会が増えるような場合に対応する例として、Protocol LabsがFVMで作っているMedusaというアクセスコントロールツール(開発中)があります。

データDAOの大きな関心領域は、分散化された計算で、巨大なデータセットのキュレーションを補完することです。ここで重要となる区別は、FVMはデータストレージの取引のメタデータを計算処理の対象としているのに対し、データの計算処理では取引内に保存されているデータを対象とした計算を意味するということです。FVMアクターは、与えられたデータに対して、計算プロバイダーの分散ネットワーク上で計算ジョブをオーケストレーションすることができます。データ計算の好例として、Protocol LabのBacalhauプロジェクトは分散処理フレームワークで、現在データ処理と分析のユースケースを中心にして、FVMを統合する作業を行っています。

FVMの可能性は無限であり、アイディア化と構築を行う開発者次第です。より多くのアイディアを出すために、スタートアップ向けの便利なリクエストガイドをご覧ください!

Introducing the Filecoin Virtual Machine

FVMロードマップ

FVMは開発途上であり、インクリメンタルに提供されます。現在、全ロードマップの3つのうちのマイルストーン2.1であり、コードネーム「FEVM」と呼ばれ、FVMとEthereum Virtual Machines(EVM)互換性にフォーカスしています。2023年2月までに、FEVMはFilecoinのメインネットワークで稼働を開始します。2023年半ばまでには、別のマイルストーンを完了し、完全にFVMの機能を持つことを目指しています。

FEVMにより、EVM開発者は使い慣れたEthereumツールをそのまま利用してFVMにスマートコントラクトインスタンスをデプロイすることができ、Solidityで書かれた多くのアプリケーションでFVMを簡単に利用することができます。クイックスタートはこちらからご覧ください。

FVMは仮想マシンの種類に依りません。このねらいは、ブロックチェーンとVM技術の広く急速に進化する地平を補完するという道を維持しながらFVMを構築することにあり、我々はエネルギッシュなFVMコミュニティと共に、その最適化を続けます!チームは、最初にWeb3の開発者に人気があるEVMの互換性を構築することに焦点を当てました。

スペース・ワーピングを次の段階へ

2023年3月のFEVMのメインネットワーク立ち上げに向け、ビルダーを活性化させ、勢いをつけるために、Space Warpを開催します!これは、FEVMでの開発者プロジェクトの成功を支援するためのプログラムで、アイデア出しからデプロイメント、資金調達まで、盛りだくさんの内容となっています。

Space Warpには、助成金、大規模なハッカソン、ビルダーのリーダーボードなどがあり、総額40万ドル以上のFILトークンとなっています。Space Warpハッカソンであなたのアイデアを構築し、FEVMで構築する最初の一人となる機会を見逃さないでください。15万ドル以上の賞金とメンターシップの機会があるSpace Warp Hackathonは、FEVMビルダーにとって最大のチャンスの1つです。2023年1月18日までにご応募ください!

Space Warpで今後予定されている報酬についてもっと知り、FVMで次のプロジェクトのためのインスピレーションを見つけドキュメントを通してFilecoinとFVMについてもっと学びましょう!

また、FVMの最新情報やイベント情報などは、Twitterで随時お知らせしていきますので、ぜひフォローしてください。