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故翁長沖縄県知事の「うちなーんちゅ、うしぇーてーないびらんどー」解説#11


故翁長沖縄県知事が、2015年5月17日の沖縄県民大会にてあいさつをし最後に

「うちなーんちゅ、うしぇーてー、ないびらんどー(沖縄人をないがしろにしてはいけませんよ)。」

と述べ締めくくった言葉が今でもメディアなどで使われています。

上記表記は琉球新報デジタル版から引用しましたが、うちなーぐち表記も日本語訳も問題はありませんが、この言葉の背景や意味ではなく、単に使われているうちなーぐちを解説したいと思います。

まず超初心者のために

うちなー(おきなわ)
うちなーぐち(おきなわ語)
うちなーんちゅ(おきなわ人)

はおさえていて下さい。

まず「うちなーんちゅ、うしぇーてー、ないびらんどー(沖縄人をないがしろにしてはいけませんよ)」のうちなーぐちと日本語を分解して書きます。

① うちなーんちゅ
② うしぇーてー
③ ないびらんどー

A 沖縄人を
B ないがしろにしては
C いけませんよ

これで分かりやすくなると思いますが、うちなーぐちの①と、日本語のAが合致しないと思いませんか?

つまり「うちなーんちゅ」は「おきなわ人」ですよね?

それなのに日本語訳は「沖縄人を」となっていますよね?

実はうちなーぐちでの会話では日本語の助詞「を」はほぼ使われません。

例を挙げると、「それを取る」をうちなーぐちでは「うり取(とぅ)いん」といい、「コップを割る」は「コップ割いん」、「あいつを呼ぶ」は「あり呼(ゆ)ぶん」となります。

「それを取る」を「うりをぅ取いん」とは言いませんし、こう言う人は日本語しか話せないうちなーぐちを勉強する初心者だけでしょう。

話を戻すと「うちなーんちゅ」のみならば「おきなわ人」と訳しますが、「うちなーんちゅ、うしぇーてーないびらんどー」という時の頭にある「うちなーんちゅ」は「おきなわ人を」と訳せます。

はい、さらに次の「うしぇーてー」ですが、これは「うしぇーいん(ないがしろにする)」という語の活用である「うしぇーてぃ(ないがしろにして)」+「や(は)」が融合した形です。

うちなーぐちの助詞「や(は)」は、会話では省かれその前の単語と融合することが普通です。

「彼はいない」を「ありや居(をぅ)らん」とも言えますが、会話ではあまり使われず、普通は「あれー居(をぅ)らん」といいます。

「あれー」とは「あり」+「や」が融合した形です。

他にも「それはできない」を「うりやならん」とも言えますが、普通は「うれーならん」といいます。

「うれー」も「うり」+「や」が融合した形です。

つまり翁長さんが述べた「うしぇーてー」は「うしぇーてぃ」+「や」が融合した形なのです。

たまに「うしぇーてぃないびらんどー」という表記を見かけますが、「うしぇーてぃ」のみだと「ないがしろにして」という意味なので、そのあとに続く「ないびらんどー(いけませんよ)」と繋げると「ないがしろにしていけませんよ」となります。

「ないがしろにして」+「は」+「いけませんよ」を丁寧な言い方だと「うしぇーてぃ」+「や」+「ないびらんどー」となりますが、普通は「うしぇーてぃ」+「や」が融合した形の「うしぇーてー」を使い「うしぇーてーないびらんどー」と言うのです。

「うちなーんちゅ、うしぇーてー、ないびらんどー(沖縄人をないがしろにしてはいけませんよ)。」

はかなり複雑な言葉が入り混じっているのでこう解説しないと若いうちなーんちゅは表記も意味も分からないと思い解説してみました。

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