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投高打低は本当に起こっているのか

お久しぶりです。やすです。前回の小笠原選手について書いたnoteが自分の予想より伸びて驚いています。いいね、拡散して下さった皆様、読んでくださった皆様のおかげです。本当にありがとうございます。

さて今回は、近年野球界を賑している投高打低についていくつかのデータを交え、何故起こっているのかを自分の主観も含めて書いていこうと思います。


そもそも本当に投高打低は起こっているの?

ほとんどの人は、「今年は投高打低だった」と思っているでしょう。佐々木朗希選手の完全試合に始まり、東浜選手、ポンセ選手に今永選手とノーヒットノーランが多発した年でした。自分が覚えている範囲ですが椋木選手に大野雄選手のノーノ―、完全試合未遂もありましたからね。ただノーヒットノーランだけが基準ではないので、12球団の球場の規格が今と同じになった(違ったらごめんなさい)2019年から今年までの成績を比べていきましょう。
まずはTwitterをやってるような人たちの中ではかなり浸透してきたOPS(出塁率+長打率)をみてみましょう。

2019 セリーグ .716  2019 パリーグ .717
2020 セリーグ .714  2020 パリーグ .703
2021 セリーグ .698  2021 パリーグ .683
2022 セリーグ .678  2022 パリーグ .668

正直計算するまではここまで露骨に下がるとは思いませんでしたね。セは .038、パは .049 4年間で下がっています。これを見ると投高打低は起こってるように見えますね。ただ、OPSを構成する「打率」「長打」「出塁」のどれがどのくらい下がっているのかも気になっていると思うので調べていきましょう。また、長打と出塁の観点は打率の影響を防ぐためにIsoP(長打率-打率、純粋な長打力を表す)、IsoD(出塁率-打率、純粋な四球奪取能力を示す)を利用します。

打率
2019 セリーグ .253  2019 パリーグ .252
2020 セリーグ .254  2020 パリーグ .246
2021 セリーグ .251  2021 パリーグ .241
2022 セリーグ .248  2022 パリーグ .240

IsoP
2019 セリーグ .140  2019 パリーグ .140
2020 セリーグ .137  2020 パリーグ .131
2021 セリーグ .133  2021 パリーグ .126
2022 セリーグ .122  2022 パリーグ .118

IsoD
2019 セリーグ .070  2019 パリーグ .074
2020 セリーグ .070  2020 パリーグ .080
2021 セリーグ .064  2021 パリーグ .074
2022 セリーグ .060  2022 パリーグ .069

全ての指標において落ち幅や落ち方に差はあれど、2019年と比較すると低くなっていることがわかると思います。このことからも、投高打低は起こっていると言っていいでしょう。

何故投高打低になったのか

ここからは、何故投高打低になったのかということについて考えていきたいと思います。
まず候補として上がるのは、2011年に話題になった、反発係数が低くなっていた通称「加藤球」のようなものを使っているのではないかとの声もありました。ただ、これに関しては井原敦事務局長が「規定値から外れたボールは使用できません」と語っていたこともあり可能性は低いでしょう。
自分は、この投高打低は、野球というスポーツの構造上起こりうることであったと考えます。
何故かというと、野球というスポーツは「投手が投げた球を打者が打つ」という構成になっているからです。そのため、新しい技術などが発達するのは投手が先の場合がほとんどであり、野手は受け身で対策を講じなければならないので、ワンテンポ遅れる場合がほとんどだと思います。
そのため、今後150km/hを超える直球への効率的なアプローチなどが開拓されれば多少は収まると思いますが、まだ投高打低が続く可能性は低くはないでしょう。また、パリーグのほうがセリーグよりOPSの減少が顕著な理由は、DH制の存在により、バントなどの打撃練習の時間を投球練習に使うことができたり、OBの権限が強くないので、データにのっとった効率の良いトレーニングができることも要因にあると思いました。

選手への評価はどうあるべきか

以上のことから、既にOPS.700が並みという時代ではなくなり、また、打低という状況は野手への過小評価に繋がっています。自分が一番見ている中日ドラゴンズで言えば、ビシエド選手が過小評価によくあっているなと思います。
例としてあげたビシエド選手ですが、2016年のOPSが .838 で、2022年のOPSが .792 と、これだけ見ると2016年のほうが打撃で貢献してると思う人が多いでしょうが、wRC+ (打席あたりの得点創出の多さを、平均的な打者を100とした場合の%で表したもの)という指標を使うと、2016年が 136 で、2022年は 138 と、わずかですが2022年のほうが相対的に見て得点を伸ばしていることになります。野球は相手より多く点を取ることで勝利するスポーツなので、相対的にどれくらい打てているかを重要視すべきだと思います。
また、ドラゴンズには2020年ぶりに、ソイロ・アルモンテ選手が帰ってきます。アルモンテ選手はNPB3年間通算でOPS .859 をマークしている強打者で、自分を含め打撃に期待しているファンは多いと思いますが、その時と同じような成績を計算するのは確率が低いかなと思います。アルモンテ選手の最終年度のwRC+は 136 で今年のビシエド選手とそこまで変わらず、本人の年齢による劣化や、球速の上昇へ慣れる期間を考えると、またOPS .8 を超えるような成績への期待をするのは少し酷かなと思います。

まとめ

近年の投高打低はかなり進んでおり、選手に対する評価も変化するときが来ていると感じます。ただ、相対的な指標を使うことで野手に対する過小評価は減らすことができるのではないかと感じます。この先、調べて出てきたOPS等を見て「物足りないな」と思うときはあると思いますが、一旦振り返って相対評価の指標を見て判別することが当たり前になったらいいなと思いました。最後にこのnoteでも何回もお世話になった、無料でFIP-やwRC+を見ることができるサイトのURLを張って終わりとしたいと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました。

参考サイト
NPB2022シーズン - 日本プロ野球RCAA&PitchingRunまとめblog (fc2.com)
(wRC+)
NPB.jp 日本野球機構
(シーズン成績)

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