割とガンダムな『ガールガンレディ』

白石聖? あ、損保協会のポスターの美人さんだ。思ったよりお若いのね。
大原優乃、石田桃香? 日本五大グラビアアイドル(俺調べ)のうちの二人じゃないか。
何だこの俺ホイホイ。

プラモデルの銃で戦う? あれだ『プラモ狂四郎』だ。イマ風にいうなら『ガンダムビルドファイターズ』か。さすが〈原案・BANDAI SPIRITS〉だね。

ま、とにかく見てみるか。仕事もないから(放送開始当時)夜更かしは問題ないし。


1話を見た時点では、ハマるというほど〈刺さる〉ものはなかった。
ただ、何か〈響く〉ものはあった。

率直な疑問。
これは〈特撮〉なのか?
いきなり見る者に、ストーリー以前に「お前の〈特撮〉とは何ぞや」を問うてくるとは思わなかった。

俺にとって〈特撮〉のドラマとしての特徴は、
「まず世界観を提示するという手順を踏んでいるか」
その点でいえば、控えめにいって大失敗。何をやってるか理解できず、劇中の立花小春(白石)のように戸惑うばかり。

そこで気づく。
これは『ガンダム Gのレコンギスタ』と同じだ。
徹底的に主人公の目線で語られるはずだから、ひたすら小春を、小春が何を見て、考えて、行動するか、見ていけばいい、はずだ。

こういう「まず大小さまざまな謎が提示され、回を追うごとに解き明かされたり解き明かされなかったりする」作劇は、特撮というよりアニメに近い。もっとも有名な例だと『新世紀エヴァンゲリオン』。特撮でいうなら平成ライダーだろうけど、それは〈アニメ的作劇法を持ち込んだ〉わけで。


そして、回を追うごとにどんどんハマっていく俺。
主人公チーム〈アルファタンゴ〉と戦う〈ブラボータンゴ〉〈チャーリータンゴ〉〈デルタタンゴ〉の各キャラクターが類型的なこと、グラビアではあんなに魅力的な石田桃香が、目立たないどころか〈どれがそれだかわからない〉くらい輝いていないという欠点はあれど、その分アルファのメンバーは薄井夏菜(伊藤萌々香)稲田秋帆(出口夏希)とも非常に魅力的なキャラ造形がなされ、見る者(主に俺)はめでたく〈箱推し〉状態となる。思うツボってやつね。
また、尺もシリーズも短いからか「とにかく小春、アルファ中心。そこにライバル兼キーパーソンとして門脇松子(石井杏奈)が絡む」という方向に振り切った作りが功を奏し、小春が毎回何かしら〈覚悟〉を決め〈決意〉を固めていく展開には大いに引き付けられた。それは、大きな犠牲を経てついに引鉄を引く第7話で結実する。


小春のやっているのは、レジスタンスなんだよね。
ガールガンファイトに参加することに、人を撃つことに抵抗し、大切なものを守るためあえて渦中に飛び込みながら、一方で最後まで〈殺し合い〉には抵抗する。それは第8話において、「もっとも望まない形での勝利」という〈敗北〉に終わるわけだけど。余談ながら、あの小春の慟哭は『宇宙戦艦ヤマト』ガミラス星決戦の後の古代進を思わせた。
自分たちを押し流そうとする大きなものへの抵抗。なんだか『サイボーグ009』天使編みたいだけど、口はばったいが〈青春〉ってそういうものだよね。
こういう〈抵抗〉の物語で有名なのは、戦争という状況に〈生き延びる〉ことで抵抗する『機動戦士ガンダム』。いわゆる1stがもっとも顕著だけど、『Vガンダム』まで(逆シャア除く)の富野ガンダムはどれもそういう話といっていい。さすがバンダイ。


残り2話。どうやら生き残ったメンバーによる〈ガールガンファイト〉というシステムそのものへの〈抵抗〉が始まるようで、世界を変える、新しい世界を目指すというのはちょっと『Ζガンダム』に通じるものがある気がする。

やっぱりアニメ的なんだよね。特撮の場合も、世界征服とか人類滅亡とかを企む大きな力に抵抗するわけだけど、身も蓋もない表現をすると、ヒーローの勝利の後に訪れるのは「旧来のシステム、秩序」の回復でしかない。丸ごとひっくり返そうという発想は、どちらかといえばアニメに近いじゃないかな。


システムを作った黒幕の正体について、ネット上では色々予想されている。
ただ、実はそれってそれほど重要ではない、と俺は思う。
実はもう一人(というかオリジナルの)松子がいて……というのも面白いんだけど、ここまで少女の〈抵抗〉で物語を引っ張ってきたのだから、黒幕は〈大人〉であればそれでいいと思う。ただシステムを作った理由、背景はしっかりしたものにしてほしい。
むしろ、最後に小春がどんな覚悟を決め、決意して、何に向かって引鉄を引くのか。それが見たい。

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