『ガールガンレディ』ゼータで終わるか逆シャアか

(BGM:ゼータの発動)
店長「私の知らない弾丸があるのか・・・・・・」
小春「わかるまい! 殺し合いを遊びにしている店長には、この、私の身体を通して出る力が!」
店長「身体を通して出る力・・・・・・そんなものが、システムを破壊できるものか!」
小春「なにィ!?」
松子「小春とアリスはその力を表現できる技を持っている」
アリス「いくよ小春・・・・・・プラモード」

あーウソウソ冗談冗談。


殺し合いなんか参加したくない、人を撃ちたくない、殺し合いを辞めたい、夏先輩を守りたい、・・・・・・『ガールガンレディ』の劇中に置いて、小春の願いはことごとく否定される。まるで事態が何一ついい方向に進まない『機動戦士Ζガンダム』(1985年名古屋テレビ)を見ているようだ。リアルタイムで頭を抱え、同じチャンネルで続けて放映された『電撃戦隊チェンジマン』(同、テレビ朝日)で溜飲を下げたあの頃を思い出す。

願いを叶えたければ、希望を通したければファイトを勝ち抜け。それは〈競争社会〉〈やり直しが難しい現代〉のメタファーであるのは明白。人間を大切にしないガールガンファイトというシステム・・・・・・そんなタイトルのベストセラーも昔あったよね。
絶望で心が折れてもしかたないところを、小春はよく耐えたと思う。ところがここへきて、最後の希望である「アリスを人間にする」ことも、「そのためには自分とチームの仲間を含めたプレイヤー、アリス以外のコマンダー全員を犠牲にしなければならない」という難題を突き付けられる。そして最後の殲滅戦で、敗退組のプレイヤーと、アリスを除くコマンダーは相討ちとなる。さらに松子が・・・・・・アリスに撃たれる。

アリスの行動については、次回予告で松子がピンピンしていることから考えて、

・殲滅戦で生き残りが出るというイレギュラーがあっては、人間化システムの起動(逆転のチャンス?)にフェーズが移行しない
・全員が倒れれば店長はモニターを切るので、陰で松子に動いてもらうため芝居を打った


こんなところだろう。松子を撃った銃が、殲滅戦でコマンダーたちが使ったチェンジガールガンでなくアタックガールガン(秋帆が夏先輩の銃を受け継いでいるので、チーム全体で4丁ある)を使ったのが気になったのだけど、「チェンジだと残りライフ(確か松子はラス2)を一気に消してしまう」という裏設定でもあって、アタックで一つ削ったというところかもしれない。
全10回と短いので、積極的に脳内補完したり「劇中で描いてないことは気にするな」のルウム戦役方式を援用したりしていかないといけない。これでますますついていけない人を増やすんだよなぁ。
もったいない。『模型情報』や『B-CLUB』が健在だった頃のBANDAIならそのへんのフォローを忘れなかっただろうし、見開き2ページの用語解説とか、スピンオフ含めた漫画や小説の連載だってやったかもしれない。一応『B-CLUB』の流れを汲んでいる電撃ホビーウェブも商品情報くらいだし、いったいBANDAI SPIRITSはこの企画にどれだけの熱意を持っているのだろう。実にもったいない。

1体のプラモを人間にする(そもそも、それって何の意味が?)ために、あと3体のプラモ、12人+補充分の人間、人数分+αの武器、記憶改竄システム、プラモ人間化装置、敗退コマンダー倉庫、・・・・・・etc.こんな効率の悪いシステムを、店長はどうして作ったのか。どんな理由であれ(ベタなところだと〈世界の支配者になるため〉とかそういう感じ?)、もしかしたら理由なんかなかったことも考えられるけど、なんであれ狂気を感じる。M太郎の作ったプラモがあったとはいえ、この科学力と歪んだ情熱。店長は宇宙猿人ゴリのような〈故郷の惑星を追放された天才マッドサイエンティスト〉かもしれない。

プラモを人間にできるなら、人間をプラモにすることも可能かもしれない。敗退したプレイヤーは後々プラモにされてコマンダー(ガールガンレディ)となり、人間に戻ることを目指すよう仕向けられるのかもしれない。小春の幼馴染の松子は一度ファイトで敗退し、コマンダーに転生したのち人間として戻ってきたのかも。
循環システムになっているのなら、それほど効率が悪いわけでもないけれど、やっぱり普通じゃないな。

守山先生は・・・・・・男は興味ないからいいや。だってM太郎かただのプラモ好き教師かどっちかしかないもの。
問題は星宮先生。宇宙人、あるいはそれに類する超文明の干渉がほのめかされた今となっては、その苗字がどうにも思わせぶりだ。プラモ星(仮)の王族とか、ファイトを10回勝ち抜いて殿堂入りとなった〈ガールガンクイーン〉くらいの正体が明かされたって、もう驚けない。実はこの人がM太郎でした、でもいいけど、店長がゴリならこの人がラーで、M太郎の存在を知って店長に教えたってこともありえなくはない。ただの生徒思いの先生であってほしいけど。


もはや俺の関心は物語の謎よりも、小春やアリス、松子、アルファの仲間たち、退場者も含めたプレイヤーたちがどういう帰結を迎えるかに向いている。
最終回のサブタイトルは、「終わらない明日へ」。
河田純子という俺の大好きな昔のアイドルの、ラストシングルのタイトルが「終わらない時間(とき)」だったな~・・・・・・なんて日本中で10人くらいにしか響かないことが脳裏をよぎったが、それはそれとして。

終わらないのはガールガンファイトなのか、小春たちの青春なのか。
システムへの、それを操り命を弄ぶ大人へのレジスタンスは成功するのか。どうやら松子は生還しそうに(予告では)見えるけど、後のメンバーはどうなるのか。小春の思いは最後に通じるのか。
当面の目的は果たせたものの自らを犠牲にしてしまうテレビ版Ζガンダムか。
ミニマムな幸せを抱きしめる劇場版Ζガンダムか。
人の心の光が奇跡を呼ぶ逆シャアか。
あるいは、主人公を脇においてヒロイン二人の話にしてしまうVガンダムか。
最終奥義で一気に世界を救うGガンダムもいいな。
ヒロインを救出するも、さらなる戦乱の幕開けを予感させて終わるF91ってことはないか。
みんなガンダムだな。
待てよ、小春はそもそも〈学校で居場所がない〉設定だから、突然「私はここにいていいんだ!」と立ち上がって、みんなが拍手して「おめでとう」「ありがとう」ってことは・・・・・・ないな。大穴で、主人公が闇堕ちして終わるアニメ版スカルマン。
特撮だとだいたいがハッピーエンドで、主役死亡エンドはジャイアントロボ、快傑ライオン丸、キョーダイン、大鉄人17、仮面ライダー龍騎あたりか(メタルダーは生死不明?)。守山先生と星宮先生の結婚式に向かう途中でひったくりを捕まえたまではよかったけど・・・・・・なんてこともあるあ・・・・・・ねーよ。
あまり悲しい終わり方はしてほしくないな。最後は報われて、みんな笑顔でプラモアラモードでも踊って終わってほしいよ。

期待と不安に震えながら、オンエアを待つ。

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