身だしなみを阻害する概念「コスパ」の考え方

前回のエントリでは、「身だしなみの闇」として経済事情との密接な関係について書き、この闇を脱するには経済観念を変えるしかないということで結びました。そこで今回は、その方法論についてです。


オタクのファッション自由度を縛る概念「コスパ」

そうは言っても、大抵の場合オタクには服に金をかける余裕もなければ理由もありません。これは昨今ネットでよく見かける「コスパ」の意味の捉え方によります。
つまりコストあたりのパフォーマンスをどこに求めるかが、オタクの場合は一般人との違いが顕著に現れるのです。

食べ物で考えてみましょう。
まとめブログでよくコスパ最強の食べ物として筆頭に上がるものの一つがラーメン二郎ですね。この場合のコスパは価格対物量に比重が置かれています。一人暮らしの食事に関するまとめではもやし・パスタ・業務スーパー等がよく出てきます。これも量に比重が置かれていて、栄養価などは軽視される傾向があります。
ですが普通のブログ記事などに絞って見てみると、コスパの良い食べ物でよく挙がっているのは卵・豆腐・冷凍食品など。この場合は主に栄養価と手間いらずな点に比重が置かれています。
両者を客観的に比較した場合、前者には致命的な欠陥があります。それは後者が持続可能であるのに対し、前者は一時的な満足であり持続不可能であることです。続ければ生活を破壊するものであり、パフォーマンスを損ねるものです。長い目で見てそのようなものは選ばないほうが賢明ですね。

食べ物の例では一般人とオタクの立て分けはしませんでしたが、これが「ファッション」と「オタクのマストアイテム」になるとどうでしょう。オタクの多くはファッションに興味がないので、金をかけないようにオールインワンを選ぶ傾向が強くなります。いかなる場面においても着られることが最重要となります。一方でマストアイテムに関しては機動性の高いハイスペックなノートパソコンだったりカメラだったりを使うことも多く、やはりオールインワンを選ぶ傾向が出ることから、それを愛機にする傾向があるように思います。
一般人の場合、ファッションはコーディネートという言葉の意味にあるように、組み合わせに重点が置かれます。一方オタクのマストアイテムには興味がないので、パソコンでもスマホでも自分に必要な機能さえあれば良いのですから、重要視されるのは見た目になることが多いように思います。

コスパの考え方はあくまでそれぞれの主観ですが、両者の傾向を一言でまとめると
・一般人の「コスパ」は使い分けられることが基準
・オタクの「コスパ」は使い倒せることが
基準
となります。使い分ければ持続して使えますが、使い倒せば短命です。
その結果が多くのオタクが持っているチェックシャツや登山リュックであり、ジサオタ(自作PCオタク)のハイスペックマシンであり、鉄オタの一眼レフなのです。


コスパと断捨離の考え方は似ている

一般人にとってのコスパは使い分けられることだと書きました。これは昨今ネットでよく見かける「断捨離」の考え方と似ています。

断捨離とは

断=入ってくる要らない物を断つ
捨=家にずっとある要らない物を捨てる
離=物への執着から離れる

とWikipediaにあります。

使い分けるということは、場合に応じて不要なものを取り除き必要なものだけに絞ることです。小さい鞄に変えることで出先でいらないものを入ってくることを防げます。
また、そうすることによって取捨選択がしやすくなります。
そして何よりオールインワンが不要になれば機能も絞れ、あったら便利なもの(別になくても困らないもの)が選択肢から外れていきますね。たとえばEOS7Dmk2なんてかさばるからどうでもよくなってSONYのレンズだけカメラが欲しい…物への執着から離れるとはこういうことなのでしょう。

僕の実践例です。

VISAデビットカードを持ったことによって現金がいらなくなりました。それに加えてモバイルSuicaも日常的に使っていますから、そうなれば長財布のお札スペースは不用で、小銭入れで事足りてしまうわけです。そういうわけでDAKSの小銭入れを使うに至ったのです。
各種ポイントカードや診察券などは普段使わないので、別のケースにでもしまっておけばいいでしょう。こちらはあまり日の目を見ないのでブランドにこだわることもないかと。

このようにすれば、ひとつひとつの物は長く使えるので良コスパになります。

また、余談ですが
コスパの良い服をファッション初心者が見つけられない理由では

長年の疑問だった”何故こういったコスパの良いブランドが存在するのか?”ということもに聞いてみました。そしたら、「プレス代が掛かっていないから」という答え。要するに、服に広告代が掛かっていない(又は安く済ませている)おかげで安く買えているとのこと。このブランドもプレス代を掛けると他のブランドのように値段が上がってしまいますよーと。

とのことです。服を着るときには広告宣伝に金をかけているかどうかは身だしなみと関係ありませんから、ブランディングを断捨離して良コスパを実現している、と言えますね。

コスパとは断捨離である、ということがよくわかります。


コスパの断捨離とは何か

先に述べたように、使い分けることを前提とした物の選び方が身だしなみにおけるコスパの考え方のカギです。ということは、何が不要なものかを見極めることが重要になります。
身だしなみにおける不要なもの…それは「あると便利なもの」です。
あると便利ということは、裏を返せばなくても困らないものです。身だしなみはそもそもその場面に合った格好をすることですから、なくても困らないものがあればあるだけその場にそぐわなくなることになります。

ここまで来たら、あとはどこに価値観を見出だすかの問題ですね。あると便利な要素を排除したものに価値観を見いだせれば、それがコスパの断捨離になります。
「あったら便利」をコスパの考え方から排除するのです。
僕の経験上ではありますが、そうすると自然と荷物が減っていきます。


「コスパ」は便利なワードです。しかし捉え方が違うと、第一印象から変わってしまうという諸刃の剣であることがわかります。
身だしなみは貧乏人にとって不条理な人生の闇であり、また第一印象はその人のイメージを一瞬で決定づける理不尽極まりない概念です。この世界を生き抜くためには、この真実を知り、理性を持つ人類がこの本能的な概念に完全敗北し続けている屈辱的な現実を受け入れなければなりません。
そのための有効な手段の一つが「コスパ」の考え方を変えることだと思うのです。

大事なことなのでもう一度書きます。身だしなみは人類の敗北です。だからこそこのように真実を受け止め、お金の考え方を変えることが重要なのです。

あえて屈辱を受け入れることも、時には必要なのかもしれませんね。

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