1.本書の目的 近年、現代思想における「新実在論」的動向はブームによって、飛躍的に認知されるようになった。これらの動向には、カンタン・メイヤスー「思弁的唯物論」、グレアム・ハーマン「オブジェクト指向実在論」、マルクス・ガブリエル「意味の場の実在論」などが挙げられる。 これら動向は、いずれもカントが言及する経験的実在論ではなく、意識から独立した実在を認めている。これは、戸田山和久『科学哲学の冒険ーーサイエンスの目的と方法をさぐる』によれば、独立性テーゼを認める立場である。