ホームズ以外にもカルデアを裏切る可能性のある人物についての考察
アトランティスで謎のアーチャーが語っていた状況の違和感の話を覚えているだろうか。
まず結論として、自分はこの状況の違和感と不審な人物の正体がホームズだとは考えていない。
この違和感がホームズを指していたにしては、謎のアーチャーの切迫した想いは些か過剰すぎるし、これがホームズを指していたにしては迂闊すぎるのだ。
言うまでもないがホームズは名探偵である。
彼に対する秘密や不信には意味がない。そんなものは当然、看破されるからだ。
だからこそ、幕間でのモリアーティやトラオムでのカドックはぐだの記憶を封印している。
もし謎のアーチャーの正体がモリアーティで、その相手がホームズであったのなら、秘密にするだけなんていうことは絶対にしないと断言できる。
それにホームズ自身はカルデアに敵対的な行動を取っていない上に、自己暗示で記憶を封じていたため、言動等に違和感は存在しなかった。ある一点において能力を発揮しないことは、トラオムのようにその時になってみないと判明しない事だ。
少なくとも、第五異聞帯時点でぐだ達にそれを見抜けというのには無理がある、そうであるなら新茶の幕間の時のように素直に伝えてしまえばよかったのだ。
トラオムでカドックが再度、持ち出してきた裏切り者と状況の違和感。これに対して、マシュは自身の推理を述べている。
マシュはまずカルデアスタッフ、ネモ、ロリンチ、ホームズには動機がないと推理した。
同時にぐだ、カドックも同様にホワイダニットが存在しないと。しかしシオンだけは完全には否定できていないのである。
しかしシオンは異星の神によるブラックホールからカルデアを守っている。これは紛れもない事実であり、逆に言えばこの行動にシオンが裏切る可能性(ホワイダニット)が存在した事を証明できさえすればいいわけだ。
そしてカドックは彼らの行動には一貫性が存在すると考えていた。それはホームズを含め、彼らは白紙化事件を解決するために行動をしているのだと。
ならカルデアに存在した違和感とは、この攻略手順(一貫性)を指しているのではないだろうか。
そうであれば、やはりカルデアで怪しい人物としてシオン・エルトナム・ソカリスが該当する。
シオンはツングースカではカルデアの全滅を予想しておきながら、それでもツングースカの攻略を進言していた。一方でその後の異星の神の襲撃ではカルデアを命懸けで守っているのだ
カルデアにおいてシオンの行動だけが一貫性に欠けているのである。
彼女はカルデアの作戦内容には意見しないが、攻略手順には強く意見している。
さすがにシオンが現在進行形で裏切っているとは考え難いため、まずはこの彼女だけが予想している不安要素こそがカルデアに存在する違和感ではないかと自分は考えた。
シオンはホームズの不安要素は一つであるという推理に対して、否定も肯定もしていない。
「『異星の神』との対決の前に整理しておきたい要素は、あと一つ」だと答えている。これはつまり異星の神との対決の後にシオンにとっての不安要素が存在する可能性を彼女は否定していないのだ。
そして、その不安要素は異星の神の正体でも、特性でもないとシオンは語っている。
ぐだの直感を信じて、これまでの彼女の誘導を整理してみたい。
まず第一異聞帯、第二異聞帯の攻略に関しては彼女は関与していない。第三異聞帯ではコヤンスカヤに盛られた毒を解毒する治療法の獲得であったため、これも違う。
第四異聞帯はノーチラス号の強化にあて、第五異聞帯の攻略は異星の神の降臨が間近というギリギリのタイミングになり、結果としてストームボーダーを手に入れた。
そして第六異聞帯でシオンは神造兵装の獲得と資格(聖剣の概念)を求め、結果としてストームボーダーへの武装が可能になった。
一方で第五異聞帯、および非霊長生存圏ツングースカ・サンクチュアリでは意図的に不利な状況での攻略になるようカルデアを誘導したようにも受け取れる。
第五異聞帯はキリシュタリアの本丸でもある。
この異聞帯はカルデアに取って最優先ともいえる攻略対象だ。同時に抑止力による強力なサーヴァントが多数召喚されていたが、結果的に有力なサーヴァントはほとんど全滅かあるいは無力化された後に突入している。
ツングースカ・サンクチュアリにおいては特に顕著で、コヤンスカヤはカルデアに対して敵対的な行動を取っていない。
彼女は自衛のために応戦したにすぎず、あの段階での攻略は本来なら必要がないのである。
相手が領域ごと消滅する用意があると分かっているのであれば、レイシフト、もしくは虚数潜航が敢行可能な状態を待ってから挑むべきである。
これらの事実からシオンの目的はおのずと絞られてくる。まず一つ目の目的、これは自身の戦力強化だろう。
ノーチラス号からストームボーダーへ。
そして聖剣のエッセンスの入手。これらの要素はカルデアではなく、シオン陣営の戦力強化にあたる。
ロリンチとしてはストーム・ボーダーと英霊システム、それにブラックバレルがあれば異星の神の無力化は可能だと考えていた。
彼女が整えておきたかったのは、カルデアの英霊とマシュの切り札というカルデア側の戦力を用いない異星の神の攻略手段だったと考えられる。
二つ目はカルデアの戦力の弱体化だ。
これに関しては根拠がシオンがカルデアの襲撃を見逃したことと、第五異聞帯とツングースカのみとなるため、説得力に欠けてはいるが第五異聞帯の攻略の遅さとツングースカで犠牲を許容したこと。
一方でシオンはカルデアを異星の神の襲撃から救っているのもまた確かだ。
この一貫性に欠けた行動の理由を絞り込むには、まだ考察に必要な要素が足りないと言わざるを得ない。
ツングースカではストームボーダーによる突入は出来なかったため、シャドウボーダーによる攻略となっている。
なら異星の神の襲撃時に守ったのはカルデアではなくストームボーダー(搭載された神造兵装)とカドックだったという可能性。
シオンは真っ当な人間でないことが濃厚なため、彼女自身には聖剣を使用する資格が存在しないのではないだろうか?
ツングースカで例えカルデアが全滅していたとしても、カドックさえ生存していれば資格は喪失することはない。
一方で異星の神の襲撃は彷徨海を直接爆破する攻撃だったため、カドックを含めたカルデアの人員が全滅する可能性があった。ゆえにシオンは第六異聞帯で手に入れた聖剣のエッセンスと資格を守るためにカルデアを命懸けで守ったという寸法。
最後に『異星の神にカルデアを潰させたくなかった可能性』。コレに関してはほぼ直感のため根拠を提示しにくいが、異星の神は過去、地球にあったものだけを利用するといった特性が存在する。
カルデアが消滅した場合、十中八九奪われるのは虚数観測機ペーパームーンだろう。北欧異聞帯のスルトや中国異聞帯の始皇帝が求めた通り、ペーパームーンがあれば、汎人類史と同程度の存在強度を有していれば異聞帯(嵐の壁)を突破する事が可能になる。
一方でツングースカはコヤンスカヤの固有結界じみた領域として存在するため、その内部でカルデアが全滅した場合、異星の神がカルデアを利用できないために全滅を許容したのではないか?という可能性だ。
そして彼女だけが持つ不安材料ということ、彼女の行動は自身の戦力強化およびカルデアの弱体化だったことからシオンの懸念、それはシオンが裏切る…のではなく、
"カルデアが裏切る"可能性をシオンは懸念しているのではないか?と考えている。
二部にはロマニ(仮)やU-オルガマリーといった、ぐだやマシュがかつて失った大切な仲間が登場している。
仮にこの二人を異星の神が救えるというのであれば、カルデアがシオンを裏切る可能性は決して否定できない。
そして自分はビーストⅦの本質は『虚構』だと考えていて、白紙化事件は『入れ子構造』だと考えている。もしこの仮説が正しいのであればU-オルガマリーを倒すことに意味はない。
おそらく次の作戦実行体が選ばれるだけなのである。その場合、カルデアが結果として裏切る場合もあるのかもしれない。これに関しては異星の神との決着でしか分からないことではあるが…
今回の考察の結論。
カルデアの者と謎のアーチャーが指摘した『状況の違和感』および『信用ならん者』の正体はホームズではなくシオン。
そしてシオンはカルデアが裏切る可能性を懸念していた。今回は以上になります。
一応、補足として謎のアーチャーはほぼほぼモリアーティだと結論付けている。幕間での台詞や一人称の変更。それと2部と1.5部ではホームズとモリアーティの立ち位置だけが入れ替わっていたり…この辺は蛇足になるんで今回は控えます。
ありゃりゃしたー。