跳躍する推理、あるいは完全な人間についての考察の考察
この考察は、FGO第2部6.5章特異点トラオムにおける異星の神と若森の狙いとホームズの見落としに関するモノとなります。
ありえないことを排除したあとに残ったものは、それがどれだけありそうにないことでも、真実である。
完全な人間に見落とし(ミス)はない。
もし見落としがあったのなら、それはミスではなく完全な人間であるために必要な選択だった。
ホームズの持論とロリンチの完全な人間についての考察。
要約するとこう。
ホームズに見落としは存在せず、彼は必ず真相に辿り着ける人間である。
もし仮に見落としがあったのなら、それはソレによって明かされる真相が存在するということ。
よって、その見落とし(ミス)は見落とし(ミス)ではなくなる。
そしてホームズに存在した見落としは一つ。
それは自身のマスター、異星の神についての真相。
この見落としによって得られる証明とは何だろうか?そんなものは一つしか考えられない。
ホームズは異星の神の真相に辿り着けない。
であれば『ホームズが辿り着いた真相は異星の神とは無関係である。』ということだ。
そして、ここに一つの謎がある。
異星の神はどうしてホームズを始末するために若モリアーティを召喚したのか?
特異点トラオムのマスターである被検体:Eが異星の神の真相であるのなら、異星の神の考察を行えないホームズは決してその真相に辿り着けないということになる。
であるなら、モリアーティというデコイはホームズにとって本来、必要のない存在であるはず。
もしデコイが必要だったのであれば、それはトラオムのマスターと異星の神が無関係であるということになる。
そうであればモリアーティがホームズの前に現れ、さも自分とトラオムのマスターに関係があるかのように振る舞ったことにも説明がつく。
つまり「トラオムのマスターから目を逸らさせるために異星の神という属性を利用して、適当につじつまを合わさせた」ということ。
異星の神から目を逸らしたいホームズは、それに関係がありそうなトラオムのマスターからも目を逸らす。そして、そのために界域戦争という材料を利用してつじつまを合わせた。特異点の消滅に界域戦争は関係がないにも関わらず。
ホームズは異星の神の真相に辿り着けない。これまで、そのために辻褄を合わせてきた。
これは真相を「ありえないモノとして排除してきた」ということだ。
そして、これまでと同様に辻褄を合わせた結果、ホームズはトラオムのマスターである被検体:E(ブルーブック)のいるエリア51に辿り着けなくなってしまった。
ホームズの持論である、
ありえないものを排除したあとに残ったものは、どうあれ真実。
という「材料を積み上げる推理」では決して真相に辿り着けない。
なぜならホームズは真相を「あり得ないモノ」として、すでに排除してしまっていたから。
モリアーティという存在ですら、ありえないモノとして排除してしまっていた。だから単純明快なはずの「ホームズはモリアーティに勝つ」という真実にすら辿り着けなくなってしまったのだ。
モリアーティの「跳躍する推理」とは、
「あり得ないと排除したものから真相に辿り着け」という意味。
ここまでくれば異星の神がモリアーティを召喚した理由は明白である。
トラオムのマスターである被検体:Eは白紙化の真相ではあっても、異星の神とは何の関係もない存在だった。だからこそ異星の神は白紙化の真相であるブルーブックと関係があるフリをしたのだ。
だがそれをホームズが暴いてしまう可能性があった。
ホームズがトラオムからエリア51 に辿り着ければ、それは白紙化と異星の神に関係がないということの証明となってしまう。
異星の神はホームズがエリア51 に辿り着いてしまわない様にモリアーティを召喚した。
異星の神によって召喚されたモリアーティがいれば、ホームズは真相を見失う。
そうなればカルデアは特異点を消す事が不可能となる。張角が界域戦争を起こし続ける限りこの謎は迷宮入りという寸法だ。
誤算があるとすれば、それはモリアーティが裏切ったこと。
モリアーティはホームズと決着を付けたかった。だからカドックに協力して、クリームヒルトの弱点であるジークフリートを合流させ界域戦争を終わらせた。
界域戦争が終われば、
この特異点の消滅に界域戦争が関係のないことが露呈してしまう。いずれは張角を辿ってエリア51にホームズが辿り着く可能性が生まれる。
そうなればモリアーティが直接ホームズを打倒するという動機が発生する訳だ。
ライヘンバッハの滝での戦闘がソレ。
しかしカルデアはホームズ抜きでエリア51 に辿り着いたため結果として異星の神の目論見通りとなった。
結論。
地球白紙化現象に異星の神は関与していない。
だからこそ異星の神は「関係があるフリ」をする必要があった。ホームズはそれを暴く存在だったというわけだ。
カドックのこの考察は異星の神が白紙化を行ったことを前提に考察されている。
しかし異星の神が白紙化と無関係だった場合、異星の神は自身が存在した地球(剪定事象)の過去にあったものを使用しただけということになる。
剪定事象からただ一つ観測し、利用できたモノ……。