君の夢を見た〜ROENTGEN 2021を振り返って

千秋楽から2週間経ちました。おかげさまで元気に過ごしています。

生涯を通じて、多分この先も、一等大好きで大切で他に変えられないアルバムROENTGENの20年越しのツアー。
素晴らしい時間をいただきました。すべての時間一秒たりとも一瞬たりとも忘れたくない。

最初の中野2days。
‘いま’のはいどさんの発声にぴたっと合った新曲たちの素晴らしさと威力に圧倒され、ROENTGENの数々の名曲がかすんでしまうほど。今振り返って思い出してみれば全然歌い慣れてないのにね。でもROENTGENの曲たちも+1キーが全然馴染んでなくて違和感が残っていました。
久しぶりにど真ん中の2列目なんという唾かぶり席を恵んでいただきましたが、マイクon/off関わらず、常に何かしら歌ってる姿が目に焼き付いています。金管ソロにあわせて、ドラムのリズムにあわせて、ピアノにあわせて。こんなに歌ってたのか!とびっくりするくらいに。

シフトパターンが変わって急遽あいた7/1に弾丸で突っ込んだ大阪。
Smilingのセイレーン感が強かったような記憶が(もうあやふやw)
スタンディングオベーション後のご挨拶で、気持ちよく歌えました、と言っていたのがずっと心に残っています。このツアー、この‘気持ちよく’っていうのがとてもミソだった気がする。

3週間あいて札幌。
ソールドアウトの御礼に、の叙情詩にすべてを持っていかれてしまった。
何がいっかな〜ってけっこう考えてたのに、あ!これだ!ってご自分の中で決まった瞬間から曲にすっと入るスイッチの切り替えを目の当たりにしてしまった。
アカペラなのに、マイクonとほとんど遜色ない声の響き。全部がフルスロットル発声じゃないのに、ちゃんと聴こえる声の強さ。色を変えて、の‘変えて’の力の抜け方大好きでした!!!!そして巡ろうとも、でぐっと深く沈む語尾。感情が入り過ぎると語尾を投げちゃうことが多かった叙情詩ですけど、なんと丁寧な歌い方。夢なら夢のままで、このまま永遠に続いてほしい時間でした。1分あるかないかくらいだったのに。長いような短いような。現実じゃないみたいな。
まあるい天井が迫ってくるような作りのhitaruはとても音が綺麗に響いて気持ちいい。この中でこのアカペラを聴けたのは一生の思い出です。
HONEYの抜け感がいちばん好きだったのが札幌。

結局これがベストアクトだったような静岡。
ポンチョ可愛かったのにここだけでしたね〜もったいない。可愛かったよ?お似合いでしたよ?
Red Swanのど迫力。椅子の背もたれに叩きつけられるような音圧。このリミッター外したら壊れちゃうんじゃないかを易々とはずして、何の障害物もない爆発するような強い声。いちばん後ろに近いくらいの席でしたのに、こんなに強く感じたのはここだけでした。
曲にのめり込む集中力がすごくて、逆にMCになるとぱたっと人が変わるようにふにゃふにゃに笑 素のたからいさんが垣間見えたように思います。こう感じたのは黑ミサ和歌山以来でした。

隣県とは言え静岡より遠い気がする千葉笑
情緒不安定の極みみたいな日。
それがいい意味で曲に影響して、SmilingやA DROP OF COLOUR優勝🏅
この辺からかなり世間の風向きが悪くなってきて、最後のご挨拶がどんどん辛そうになってくるのちょっとしんどかった。

千葉から2日でなんでこんなにつよつよになれるのか謎すぎる最強仙台。
キャラ変したのかってくらいたくましいことこの上なかったです笑
お歌もさることながら、とにかく身体が歌う!全身で、歌う!
歌う身体から繰り出されるTHE ABYSS優勝。奈落の底みたいな作りの会場に感謝。

大遅刻川口。
ここまで来たら1本行けないのが悔しくて、仕事なのに追加したんですが、SHALLOW SLEEPからしか聴けず。
イマイチ集中もできなかったのでこういうことはやるもんじゃないなと思いました。
Angel's Taleの深みというか、ビブラートがすごく良かった川口。何重もの音をひとりの声から出してるみたいですてきだった。
あとTHE CAPE OF STORMSもすごくすごくすごく良かったですね!!!!!

パシフィコ横浜2days。
いちばん大きい会場でしたけど、いちばん傾斜がゆるくて、いちばん前の座席との距離が詰まってて、ちょっと見にくかったですね。
初日のevergreenの2サビの語りかけるような歌い方が大好きでした。なんかね、もう目の覚めない人に向かって話しかけるようだったの。小さく、柔らかく、優しい声。
この声を聴きながら死にたい。
2日目はTHE CAPE OF STORMSのつよつよ発声が最高にカッコ良かったので円盤になるの嬉しい!!!(なりますよね?)

福岡、名古屋はお留守番。

千秋楽広島。
NOSTALGICなシャツで登場してくれた時点で今日来て良かったと思いました。
どんな状況でも集中力を切らさないはいどさんとオーケストラのみなさま素晴らしい。
追加の前2公演がどんな様子だったのか観てないからわからないけど、すごく、遠くを見ているような、目は開いてるのにその瞳に何も映してないような目をして歌っているように見えて。ROENTGEN曲は特に。どこか冷めたように俯瞰で、だれかに聞いた話を歌う平家物語の琵琶法師のようだった。
Smilingの触れたらぱきんと割れてしまいそうな繊細な細い声なのに、まったく震えないのがすごい。Smilingだけじゃないんだけど、声細くするとどうしても震えたりボリュームが安定しなかったりするのに、芯は揺るがないの。ぴんとはった絹糸みたい。
THE CAPE OF STORMSやNOSTALGICのサビが幅広の天鵞絨のリボンなら、SmilingやNOSTALGICのトンネル抜けるところは細く丁寧に撚られた絹糸。
最後のご挨拶に、次会える時まで、元気でいてくださいと言ってくれたはいどさん。はいどさんも、どうか、お元気で。

ROENTGENというアルバムが、このツアーで見た、聴いた表現によってさらに大好きなものになりました。
すべてを導くUNEXPECTED、真夏に雪景色を広げてくれるWHITE SONG、わたしが死ぬ時はこの声聴きながら死にたいevergreen、毎回鬼カッコよくて蠱惑的な誘うOASIS、金管入ってやっと完成形を聴けたA DROP OF COLOUR、色んな夢の話をしてくれたSHALLOW SLEEP、ツアー後半になるにつれ強さが増して魔王のようなNEW DAYS DAWN、Angel's Taleのきらきらした世界、声の深みと張りが光るTHE CAPE OF STORMS、日によって主人公にも語り部にもどっちにもなるSECRET LETTERS。
全曲聴けることがもうないなんて嘘だ!まだまだ続いてほしいよ。

季節が夏らしくなるにつれ、どんどんどんどん世間の状況が悪くなっていくなか、唯一の栄養剤のようなツアーでした。わたしたちの心の健康を守ってくれてありがとうございます。でもぎゃくに、この状況でなければ今年このツアーはなかったと思うと、不条理で先が見えない世界もほんの少しだけ好きに思える。
はいどさんと対峙しているその時間だけは、ファンタジーで、世間から隔離された、綺麗な世界でした。

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