ドイツ移住のメリット・デメリット

こんばんは。
基本的に移住はあまりお勧めではないというスタンスで何本か記事を投稿していたのですが…
最近の日本のニュースを見ていて、移住を切望する人もこれから増えるのかな、その方がよい人生を送れる人もいるかもしれない、と思うようになりつつある今日このごろ。

ベルリンで経験した海外移住の長所と短所について僕の考えていることを、ざっくりと書いてみたいと思います。

今日の記事は無料公開します。
その分、普段よりちょっと雑な書き方をしています。
制度の細かいことも調べたり確認したりはしていません。
あくまで自己責任ということでご覧いただければと思います。

デメリットだと感じたこと

僕の場合はということで、感じ方は人それぞれだと思いますが、親戚もいない・友達を作っても数年で帰国してしまったりする…というような状況での生活がかなり大変でした。
言語の問題もありましたので、何かあれば誰かに助けを求めなければならないという状況でのことですから、出国前に覚悟していたとはいえ辛かったです。
また、コロナ禍もある中で、日本にいる家族や親せきや友人に何かあってもすぐ駆けつけられない距離にいるということもストレスになりましたが、これは実際渡航してみてはじめて身に染みたストレスで、とりわけ渡航制限の期間中は本当にしんどかったです。

何年も暮らしていると双方の国ののよいところも悪いところも見えてくるのはいいのですが、アイデンティティの維持が難しくなります。
これは気にしない人はしないと思いますし、現地に骨を埋める覚悟であれば問題にならないかもしれませんが、個人的にはきつかったです。

どういうことかと言いますと、まず、行事ごとを含めた文化は、やはり社会あってのものだと思い知りました。
ドイツで過ごす8月にお盆のような気持ちにはなれず、年末年始も花火の爆音の中で日本のような正月気分にはなれない…といったところで、日本の行事ごとを家庭の中で維持していくのは難しく、僕には不可能でした。
子供が学校で現地の文化を吸収して持ち帰ることもあり、4月から5月にかけてはイースターとその関連休暇の季節、12月はクリスマス、2月はカーニバルの時期だなという感覚にならざるを得ない。
そんな中で日本の行事を祝っても、「ごっこ」をしているような中途半端な気分になってしまうので、徐々にやめてしまう。
そうやって少しづつアイデンティティが削られていく感覚があって、長期的にはこれがボディーブローのように効いてきて、自分が何だか分からなくなってしまう。
子供の日本語もドイツ人の話す日本語のような感じになるし、日本でしか吸収できないような語彙や言い回しは当然できず、漢字も忘れ、全体的に国語力が怪しくなる。その中でドイツ語がドイツ人並かといえば、それも微妙で、とても中途半端な地に足のつかない感じ。
子ども本人は平気だったようですが、親としては微妙な気持ちでした。

食事面のストレスも大きかったです。
最初の年はドイツ文化に首まで浸かる気持ちで現地のものばかり食べ続けていたんですが、2年3年経つうちに耐えられなくなってくる。
特に、気力や体力が落ちている時なんかは、ドイツの食事は喉を通らない。
アジア系のスーパーもあるにはあるんですが、うちからは少し離れていたし、割高だし、買ってすぐ食べられるようなお弁当やお惣菜を売っているわけではないし…というような感じです。
年を取ったらどうなるんだろう、やっぱりきついだろうな…そんなことまで考えて、凹んだりしていましたね。

移住や海外生活はぱっと見輝いていても、水面下で必死に足をバタバタさせながら浮いている白鳥みたいな感じ。水は冷たいし、餌は違うし…。それに耐えられなくなれば帰国する。
そんなこんなで数年の内に帰国する人がほとんどなので、帰国後どうするかは考えておく必要もあるでしょう。
経済的に余裕があるかどうかに関わらず、一時帰国を頻繁にする人で永住権まで取得する方はかなり少ないです。

メリットは?

それでも移住する人がいるということは、当然メリットもあるからです。
日本で生まれ育っても日本の文化が合わないことは十分あると思いますし、地震が多かったり、子育ての経済的負担が大きかったり…そんな日本での生活に限界を感じてドイツに来たという人に何人も会いました。
ベルリンはおおらかな土地柄で細かいことは誰も気にしない、日本人も少ないので周りと比べられることもほとんどない、精神衛生的にはかなりいい環境だと思います。
地震もないですし、嵐の日が年に1回あるかどうかです。建物の構造がしっかりしていますし、湿度も低いため、思っているほど寒さも気になりません。
就労時間も短くて夕方3時くらいに帰宅できる職場も多く、まだ明るい時間に仕事を終えて子供を迎えに行き、一緒に公園で遊んでいるお父さん・お母さんをよく見かけます。
学校も、授業時間が短くて宿題も課題も少なくて…日本と比べると天国としか言いようがない。ベルリンで子供時代を過ごしたうちの子は、いつも帰りたがっています。
公立の学校は基本的に全て大学まで無料、外国人でもその恩恵を受けられます。塾も補習塾程度しかなく、行く子はあまりいません。だから教育費はほぼゼロです。
子供手当は就労しない限り25歳まで支給され、その金額も現在は月額250€あると聞きます。住民登録をして就労ビザを取得すれば、外国人にも支給されます。
法定健康保険に加入すれば、医療費の支払いもゼロ。
収入が基準の範囲内であれば住宅手当や市民手当を受給することもできて、これを受け取っている日本人もいます。
市民手当は生活保護に準ずるものなんですが、ドイツではそもそも生活保護も日本ほど基準が厳しくなくて、収入が一定未満でかつ預金が…ちょっとうろ覚えですが無料記事なので調べませんが、50000€くらいまで銀行にあっても受給できると聞いた覚えがあります。
また、日本で生活保護を受給すれば海外旅行はできませんが、ドイツでは年間一定日数までの海外旅行はバカンスの権利として保障されているとかで、市民手当を受給していても一時帰国は可能です。

だから結局、生きていくのが日本より楽です。

今は国籍取得も簡単になって、5年の滞在でドイツ国籍を取得できるようにもなっているとか。
普通のビザでも大半の恩恵を受けられるのでわざわざ国籍まで取得しないという人も多いですが、就労の機会だけはドイツ人と平等ではありません。
外国人の採用にあたっては、ドイツ人では代替できないとか人が集まらない場合に限るなどの制限がある程度存在しますし、それは永住権を持っていても変わらないので分が悪いのです。これは長く住んでいる人、社会的に活躍している人ほど気になるようです。
そうした理由で国籍取得に向けた市民化テストを受けてきた日本人の知り合いもいますが、何年か住んで、ある程度勉強していけば難しいものではなかったようです。

そんな状況ですので、日本で生きるのがきついと思っている人は、移住してみるのも悪くはないかもしれません。
実際大変なこともかなり多いので、誰にでもお勧めというわけではないですが、移住してよかったと思える可能性はあるでしょう。

以上、長所と短所についてざっくりとお話しました。
引き続き時間のある時に記事を出すことがあるかと思いますので、ご興味があればご覧いただけると幸いです。













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