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原因不明に体が炎のようにほてって眠れない(若年性更年期か?と思って調べたら、生理中に体温が上がる期間はそういうことがあるらしい)ので、ここまでパリで過ごした始めの1週間ちょっとを振り返っていこうと思う。
着いてから数日は、正直言ってはじめての一人暮らしにとても孤独を感じた。特に朝起きた時、自分以外この家に誰もいないのだということを自覚して言われようのない大きな不安のような恐怖のようなものが心に押し寄せてきて、最初は少しどうしようかと思った。
けれども、1週間と少し経った今では全くそのようなことはなくなり、つくづく人間の一番の武器であり同時に弱点でもあるのは「慣れ」なのではないかと改めて感じる今日この頃。
何をしていたかをざっくり説明すると、とにかく夏のパリの街を歩きに歩きに歩き、大大大好きなパン(時々スイーツも)を堪能し、スーパーでフランス語を必死に吸収しながら料理修行の道へと1歩を踏み出し、Sciences Po Early Birdsたちと交流し、そして友達の誕生日を祝った。
思えば、こんなにも何にも縛られない期間はなかなか無いもので、しかもそれをパリで過ごせるなんて、どれほどの幸運なんだろう。とにかく1日1日を噛み締めながら、めいいっぱい観光している。夕暮れから夜にかけてエッフェル塔を眺めながらおしゃべりしてワインを飲んだり(オランダの選挙が今超絶熱いのだとか、日本語と韓国語の構造がいかにゲルマン系やラテン系の言語のそれと違うのかについて説明を試みるとか、そんなのが話題だった)、モンマルトルの丘に行ってあまりの日差しの強さに気が狂いそうになりながらレバノン式ジェラートを食べたり、凱旋門のてっぺんからパリを眺めてみたり(やはりものすごい計画都市だった)、ギャラリーラファイエットの装飾に息を呑んだりとそんな感じ、順番はバラバラ。
それから、一人暮らしのスキルも少しずつ向上している。初めて作ったパスタのあの不味さには本当に鳥肌が立ったし自分に絶望したけれど、徐々に美味しいトマトソースパスタや野菜の甘味が引き立つオムレツを作れるようになった。これはひとえに兄が電話でパスタのいろはを叩き込んでくれたおかげ。それから、スーパーごとに食材の値段を比べながら上手に買い出ししたり、天気予報を確認して晴れの日に洗濯をしたりと、ごくごく当たり前のことかもしれないけどそんなことができるようになって快適に暮らしている。
今日友達の家からの帰りに見た、紺色とピンクのグラデーションの空を背にオレンジ色の街灯が反射するセーヌ川と、それを通る船が水面を揺らす景色には、美しさのあまりに胸がいっぱいになった。
夕暮れの街に面したレストランのテラスでガヤガヤと食事を楽しむたっくさんの人々を見て、トレーを回す芸をしてみせるウエイターを見て、
"Paris, YOU ARE BEAUTIFUL."
と、傍から見たら馬鹿みたいにクサい言葉を本気で呟きたくなった。
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