2学期の授業中間考察

スペイン旅行から帰ってきて、再び学業と向き合っている今日この頃。

学期の終わりまであと1ヶ月ほど(衝撃すぎ)ともなると授業内容も煮詰まってきて、考えたことも少し溜まった。

特にプレゼンテーションやエッセイの準備をしていくなかで各授業での学びが有機的に繋がるようになって、それが何よりも面白い。この前そのマインドマップを描いてみたから、それをここにも書いておくことにする。

Public Policy Failure of the British Government

■ Poll Tax (presentation)
サッチャーを辞任に追い込むきっかけにもなった、悪名高きイギリスの人頭税政策。ここではA) 財源の問題や税政策がどのようにして社会を形づくっていくのかということを勉強しつつ、B) 1つの政策が採用・実現されていく過程に政治家・行政官・利害関係者・その国の政治システムがどう関係しているのかを考察したい。
■ Comprehensive Education (final paper)
イギリスの教育改革とそれを巡る論争。包括的な教育とメリトクラシー、社会的な不平等と教育システムの問題が提起される良い例になっていて関心のど真ん中なので、ペーパーを書く過程でしっかりと学んできたい。今はShirley Williamsのmemoirを読んでいるのだがこれがなかなかに面白い。

—— ↓ イギリスの教育システムについて勉強したことを活かして——

Sociologie Politique des Élites

■ L'anti-élitism en Royaume-Unis (group presentation)
イギリスにおける近年のアンチ・エリーティズムの分析。授業で習ってきたエリートの政治社会学の理論的枠組みを踏まえた上で、アンチ・エリーティズムの台頭をどのように説明づけるのかが問われる。
■ L'anti-élitism en France (final paper)
今度はフランスにおけるアンチ・エリーティズム。ペーパーの執筆を通してSciences Poで1年間勉強したからには是非とも知っておきたいテーマに沢山触れることができるのではないかという期待。特に、Suleimanによるフランス社会のエリート考察はとても興味深くて刺激を受けた。エリート生産機関としてのgrandes écoles(Sciences Poを含む)やgrand corpsが政治社会学的/教育社会学的に分析されているのに痺れた、まさに勉強したかったこと(※)。これを踏まえて、そういったエリートたちに対するアンチテーゼを含んだ社会運動はどのような形を取っているのか、その示唆は何かについて考える。

※ でも、Suleiman(1979)でフランスのエリートが自らの利害しか頭にない超極悪人みたいな書かれ方をしていることが引っかからんでもなかった。確かにその人が占めるエリートというポジションがそういう思考傾向に持っていくことが多いというのは政治的・経済的エリートの双方に対して言えることだとは思うのだけれど、私はむしろそういったエリートの社会貢献的な志向とその影響力を信じてきたからこそよりミクロな彼ら・彼女らの社会意識の方に興味を持っていた(いる?)のだろうなということが自分の中で再確認された。

Comparative Social Policy

■ Ageing Society, New Social Risks and the Welfare State (mid-term paper)
高齢化社会において社会保障関係費をどのように確保していくのか、世代間・世代内の公正をどのように保証するのか。New Social Risksに最も晒されている人たちをカバーするような社会保障政策が実現するのはどのようなシナリオにおいてなのか、どことどこの利害を一致させれば政治が動くのかについて、学術論文の批判と要約を通じて学ぶ。

—— ↓ それを今度は実際に自分でやってみる——

Policy Studies

■ 岸田政権によるこども政策実現過程の分析 (final paper)
少子化という現象に押されて構想・実現された岸田政権による一連のこども政策。その一部には高等教育費の改革などの教育関係政策が含まれる。どのようなアクターのどのような利害一致によって教育に関わる政策が岸田政権によるパッケージの中に組み込まれていったのか。文教族、子育て家庭の声、理工系人材需要など、あらゆるアクターの利害を踏まえて考察する。これはpress kitと言う少々変わった形のレポートで、生徒が選んだある特定の4ヶ月スパンで出版された40本〜60本の新聞記事を探し集めてそれを読んで考察を書くというもの。ジャーナリズムに基づいたアカデミックな分析って有って良いのだっけ?って困惑しているところはあるが、それだけ大量の新聞記事をあらゆるmedia outletsから読み漁る機会もなかなか無いので結果的には楽しめている気がする。(→加筆: これ、なんでジャーナリズムに基づいて書けって言われてるのかが何十本も記事読んでるうちにわかってきた。政策の形成過程ってほんとに1ヶ月とかでガラって変わったりして、それにアカデミアの出版物は追いつかないけどジャーナリズムはリアルタイムで着いていけてるからだ。何月何日にこの人がこう言って政策がこの方向に動いたとかそういうのをスピーディーにキャッチできるのがジャーナリズムだからだ。)

マインドマップはこんな感じかなあ。
あとは期末の限られた期間でこれだけのworkloadをどのように自分が満足できるクオリティで成敗していくかというのが勝負ですね。

学業以外で言うと、そうだなあchoirでは相変わらずドイツ語の歌詞を適当に発音して歌ってる。choirの手続き系担当さん(エドワードっていう優しそうで歌の上手な男の人)多分事務作業が苦手で、メールでの連絡がいつもすごいlast minuteなことを毎週指揮者の女の先生に怖めにリマインドされてアセアセしているんだけど、やっと送ってきてくれる時にタイトルで”hooray! finally sending this as I promised…!”とか喜んでるの可愛すぎて推せる。

家ではご飯食べながらドラマを見たり(最近Gilmore Girlsにめっちゃハマってる。昨日はRoryが別れちゃったから一緒にボロボロ泣いてた)Podcastを聴いたりといつも通りのんびり丁寧に暮らせている。スペインで買ってきたオリーブオイルとお塩のおかげで料理もより一層楽しくなった。

それと、朝起きた時にもう外が明るくなり始めているのがとっても嬉しい。春っぽくなってきた天気や気温がパリにやって来た夏のことを思い出させて、留学生活も四季が一通り巡ろうとしているなあなんて感傷的な気分になっている。ここから4月末までは専ら図書館に籠ることになりそうではあるけれど、合間を見つけて春のパリの顔をしっかり満喫したいな。

プレゼンのために借りたサッチャーの自伝想像以上に太くてわろた(800ページ)
ひょっこりエッフェル塔 in 夕暮れのパリ
春のチュイルリー庭園

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