🪷:Givernyとその後
先週、念願だったモネの家へ行ってきた。
彼の家とお庭は、フランス北部ノルマンディー地方のGivernyという小さな町にある。フランスの田舎の町が持つ雰囲気は揃って温かくて、美しくて、こじんまりとしていて可愛らしい。Givernyもそんな場所で、小鳥のさえずり以外は他に何も聞こえないくらい静かだった。
ぴったりチューリップが満開の時期に行くことができたので彼のお庭は見渡す限り色とりどりのお花が広がっていて、まさに楽園のようだった。そして、私は正直お花がここまで心を癒す力を持っているだなんて知らなかった。「何色」とは正確に表せないようなニュアンスだったりグラデーションをそれぞれが持っていて、形も大きさも皆んな違って、だけど1つ1つ本当に綺麗で。すごい当たり前の事かもしれないけれど、あ、そうだよなってすごく勇気づけられた感じがした。それでいいんだった。そうだったって。
一緒に行った友達とお花1つ1つについてああだこうだ言いながら(個性的なお花を見ては"We appreciate that, you live the way you want! Go girlllll"と謎に応援したり、嬉しそうな蜂を見かけては"That's one happy bee… go make some good honey pls"と話しかけたり)何時間もかけてお庭と睡蓮の池を歩き回っていくうちに、心が文字通りに浄化されていく感じがした。
癒されるし、インスパイアされるし、穏やかな気持ちになるし、どんなセラピーよりも効くんじゃないかっていう話になった笑
友達がこのお花好きだなって言ったお花はその子の雰囲気をすごく良く表していて、私がこれ好きって言ったお花にはその子が"I can see a lot of you in those flowers"って言ってて、それがなんだかとっても嬉しかった。
私が好きなものに私がいるって言われて嬉しかったのは良く考えてみると大きな発見で、それならば私は自分が好きなものに向き合ってそれを大事にすることでもしかしたら自分を大事にすることもできるのかもしれないと思えた。
モネの家の中身は衝撃的なほど日本画だらけで、葛飾北斎だの歌川広重だの喜多川歌麿だの、小学生の時に中学受験のためにひたすら覚えた名前たちの作品が部屋中に飾ってあって面食らった。モネが日本画に影響を受けているのは知っていたけれど、こんなに幾部屋も階段や廊下も日本画で埋め尽くすほどだったのかってなった。モネの画風と180度異なるように見えるこの細い線で描かれたほぼ白黒の日本の版画たちが彼をどうして惹きつけたのだろうということがかなり不思議に思えた。
それから、町にある印象派の美術館では"L'impressionism et la mer"(印象派と海)というタイトルの展示がやっていて、これもまたものすごく癒しの力がある絵画が並んでいる空間だった。特に好きだったのはEugène Boudinの« Le Bassin de l'Eure au Hauvre »という絵画で、色合いから雰囲気からタッチから、全てが好きだった。あまりに好きすぎて、展示を一周した後にまた前に戻ってきて吸い込まれるように見つめたまま冗談抜きで30分以上は立ち尽くしていた。
帰ってきた後に、自分が好きなものを集めて大事にしたいということを早速実現していこうと思って、これまでヨーロッパで訪れてきた美術館で気に入った絵・画家たちのことをもっと知ろうと調べ始めた。私が好きな色には何色っていう名前があるんだろう、私が惹かれるお花たちにはどんな花言葉があるんだろうと、そういうことも気になって調べては書き留めるようになった。自分の世界をこうやって守っていくことはすごく大事なことだと思う。パリの美術館もいくつかもう一度訪れつつ、書き留めたことが溜まったらnoteにも出してみようかな。
とにかく心の栄養補給になった旅だったのでした。
一緒に行った子とイギリスの教育システムやメリトクラシーについて、その時書いてたレポの内容を踏まえながらあれこれ議論できたのもとても楽しかったな。
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