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狩猟日記 猟期開始 2020.11.15

狩猟解禁日。

今年は日曜日からの解禁だ。初日から猟場を廻れるという気持ちと、ほかの人も同じ気持ちなのだろうと少しの憂鬱から始まる。

当日7時半に出発。一人ででる。

少し肌寒いと感じるが、車の窓を開けて走ってその程度なのだから去年と同じかそれ以上に暖かい。

初日は他のハンターも出回るし、獲物の期待はしないで軽く流す気持ちで回ろう。車から流れる景色を眺めながら今までの猟期の感覚を思い出す。

最初に着いたのは鴨が異様につく池。銃禁ではないが、全面が柵に覆われそのうえコンクリートの歩道で囲まれている調整池だ。銃を撃てるような場所ではない。それでもその池に一番最初に足を運んだわけは先に書いた通り「鴨が異様につく池」なのだ。数も多いのだが、なぜかその池には色とりどりの鴨がつく。普段猟場で見ることのない種類の鴨がなぜか多く所せましと泳いだり岸で羽を休めたりしている。バードウォッチングするに面白い場所だ。夏場にはちゃんとカルガモ一色になるのでわたってきている種類や数の目安になるだろうと見に来たのだ。

池に着いて池端に車を停める。するとカルガモが一斉に飛び立った。

そこの池、人間が近づいても何もされないということを知ってるので猟期中ですら飛ばないのだけれども、初日の朝から痛い目にあったのかもしれない。

池の中をざっと確認。カルガモ、コガモ、キンクロハジロ、オオバン・・・。かなりの数がいる。もっとじっくり見れば青首やほかの鴨もいるだろうけど、今日は確認だけ。いつもの猟場でメインでとれるコガモが多くわたってきていることが確認できたので出発する。

近くの河川敷を目指す。河川敷に入る手前の道路でハンターっぽい車を発見。その車は入口の道路でストップ私も同じところで止まって川全体の様子を見てから河川敷に入るので同じ行動だなぁと思ったら運転手が降りて何やら近づいてきた仲間と話し始める。車が入り口を塞ぐ形になり河川敷に入れないので仕方がない。引き返す。

ハシブトガラスが畑で植えられている野菜をねじ切っているのを見つける。畑の脇に停めても飛ばない。まだ人間に警戒していないようだ。

川沿いの細い道に入り、発砲注意の看板の前で車を止める。「発砲注意」どういう基準で掲示されているかは知らないが、人通りが比較的多い場所にあるかもしれない。あと獲物が多い場所。車を進めようとすると、もうすでに1台入り込んでいる車を発見。バックで戻る。

行き止まりだったり、すれ違えなかったりでよくバックする。これから日常茶飯事になることを思い出す。

道を変えて進む。藪で川の中が見えない場所で鴨の鳴き声が聞こえた。でも民家が近いのでスルー。畑にプリッとデブとした頭が緑色の鳥を見つける。一瞬キジかと思ったが、ドバトだった。この辺ではキジバトがほとんどなので珍しい。

10時すぎ、二人になり猟場をめぐる。

自分には撃つチャンスがなかったが、相方は青首を飛ばしたらしい。そんな情報交換をしつつ池を廻る。

同じ池を廻るのだけれど池の攻め方は人によって違いが出てくるのだなあと思い出す。自分は車から降りるのが面倒ということもあるが、経験上車をおりて単身で池のそばに行こうとすると飛ばれやすい。鴨には丸見えになってしまうが、車ごと池に近づく。車の中にいれば警戒しにくいようで様子をみに出てくるが飛ばない。もちろん飛ぶこともあるのでどちらでもいいのだけど。

池には鴨はおらず。高い木の上のにちらっと動く影を見つけ双眼鏡を向けるとそこにはカケスがいた。きれいな青い羽根がちらりと見える。鴨ではなかったが鳥を見つけるための目になっていることがわかってうれしい。鳥らしいものに強く反応する頭になっている。

狩猟を始めた最初の年。実はカケスをスコープにとらえたことがある。それは柿木に群がるように降りてくるヒヨドリを狙っての待ち撃ちをしていた時のことだ。柿をつつくヒヨドリを確認し銃を向けた。スコープにとらえ、あとは引き金を引くだけとしたところでスコープ内に何かが飛び込む。それはヒヨドリがつついていた柿を横取りしようと飛んできたカケスだった。その時からカケスの姿と名前が一致した。それ以降カケスのことを思い出すときはいつもスコープ越しのあのカケスが頭に思い浮かぶのだ。

ある池でコガモの群れを発見。対コガモ戦の開始。

自分は空気銃で狙い、相方は飛んできたのを散弾で狙うシンプルな作戦。銃を取り出しいざというときに近づいてくるおじさんを発見。気を付けて撃ちなよ~とのこと。OKまだコガモは飛んでいない。距離は80m近くある。正直遠いが隠れる場所がほかにないのでこれで挑戦。まず岸に近いコガモの雄に狙いをつけ一発。ちょい手前に着弾。びっくりして池の中ほどに泳ぎだすも飛ばない。動いているが動きに合わせて狙い1発。右手前に着弾。コガモが飛び去る。相方とは別方向へ飛んでいく。

しかしコガモはまだ残っている。飛び立ったのは半分ほど。引き続き残りを狙う。位置を少し移動。コガモからは丸見えになってしまうが、道からは完全に見えない隙間へ滑り込む。直前に話しかけられたのもあって少し焦っていたのもあった。コガモが飛んでいないことを確かめ一呼吸おいてから構える。一番近そうなコガモ。しかし、動いている。先ほど外したことが頭をよぎり数メートル離れた動いていないコガモの雄に狙いを変える。

ああ、コガモの雄だ。倍率最大、日陰に入っているがよく見える。少し上を狙ってと一発。コガモの頭が大きく振れバタバタとはばたいた後動かなくなった。当たった。残りのコガモは明後日の方向へ飛んでいき池は撃たれた1羽をのこして静かになる。

今季初の獲物はコガモの雄。

回収に向かう。流れのない池に血が広がっていた。首を撃ってもここまで血が出るのは初めて見た。おそらく首の付け根あたりから心臓の近くを打ち抜いたのだろう。相方が釣竿を用意してくれていたのでスムーズに回収した。

その後川でカルガモを見つけるも見失う。

自分が勝手にコガモの楽園と呼んでいる池でコガモを7羽ほど発見。チャレンジするも二人でそれぞれの位置につこうとするとさすがに警戒されてしまい飛ばれる。一人だともしかしたら狙えたかもしれない。

猟友会ベストをきたおじさんと話し夕方鴨が下りてくる池を教えてもらう。鳥撃ちはやっていないとのことだが、一応見回りをしているらしい。ほかのハンターに注意を呼び掛けるのに猟友会ベスト姿というのはいいのかもしれない。移動中にベストを着るべきではないとの意見もあるが、あれ着ていないで近づくと一般人だと思って逃げ出すハンター多い。あくまで自分の経験上なのだけど。

そんなこんなで自分はコガモ1羽。相方はボウズで初日を終了した。

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