君たちはどう生きるか

見ました。初日に。
ちゃんと感想を書きたい気分になったので、ここに書く。

一人の少年のための物語だなと感じた。とても、わかりやすく、母親を亡くして、新しい環境に馴染めない眞人が冒険を通してそれを受け入れる物語。王道の児童文学。
これを、もしかしたら監督最後かもしれないこのタイミングで打ち出されることに、愛情みたいなものを感じていた。巨匠が自由に作った物語が、少年の成長譚。子供のための物語になる、ということが、社会への愛みたいだなと。でも、思えばジブリ作品ってそうだったな…とも。大人も楽しめるけれど、子供も楽しめるものだったな…とトトロや魔女宅急便にあやされて育った私は思い出した。

見終えて、あの世界がスタジオジブリの隠喩という感想を見て、なるほど…!!!と唸ったのだが、それでもやはり集大成をまとめるとこういう優しい形になるのは、面白いスタジオだなぁ…と思っている。

展開が突飛だなぁと思う部分はあったが、それも含めて児童文学ファンタジーのようだなと感じた。逆に、ジブリ作品にはそれを受け入れる土壌があって、自由に展開していることが心地よくすらあった。
私は多分、ジブリ作品の重たいテーマにそれほど興味がなかったんだな…子供の冒険の話が好き。だから風立ちぬがそんなに刺さらなかったのだろう。視聴したのが若い時ということもあるけれど。才能ある人のある種の身勝手さが気になってしまう時期だった 笑

ずっと、画面が美しいな…と感じていた。登場人物の表情、動きが豊かで、異世界の描写がずっと鮮やか。
海に雲間から光が差し込む描写、
紙が舞う産屋、
最初に現れた夏子の目をひく所作(ひきの画面なのにずっと見てしまう…)
正門から入った、高い屋敷の大きな石段、異質さ
全部印象に残っていて全然飽きなかった。
人の動きも独特で、ひきの画面なのに愛らしい。これがジブリアニメでしょうと言われればそうなのかもしれない…けど再確認した。そもそも、劇場で見るジブリ映画は久しぶりなので、昔の映画もスクリーンで見ると同じように感激するのかも。

最近のエンタメを浴びながら、こういうキャラデザがウケる、とか、展開がウケる、とかそういうものがぼんやりと頭にあるから、その、どれもない、シンプルなのにアニメーションの出来が良くて目を惹く、愛されて生まれてきたキャラクターだと感じてしまったのも印象的だった。当たり前なのだけど。

アニメーションが魅力的に見えるのは技術で、愛と変換して理解するのは間違っている、とわかっているけど、愛らしい、愛されて動かされている、と感じてしまった。

ストーリー面では、ひみの炎は怖くない、と眞人のこの傷は僕の悪意です、で泣いてしまった。あと、押し寄せてくるペリカンがこわいけどかわいい。グッズにしてほしい。

満喫した。

きっと、いろんな引用や、メタ的な読み方はもっと賢い人がやってくれるのを期待して、私はこのようにふわふわとした自分の感覚にしばらく浸っている。


元々は、友人と少し遅れて一緒に行こうね、という話をしていたのだけど、これは自分でゆっくり咀嚼したい映画な気がする…と思い急遽予定を変更した。見終わって、今こうしてnoteを書いているあたり、正解だった。

おわり。

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