アミクとカンズのクラシック音楽の旅【4】〜イタリアとクラシック音楽の不思議な歴史~
松田 亜有子「クラシック音楽全史ビジネスに効く世界の教養」を参考にしております。
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Q:Quinze(カンズ)さん
A:Amique(アミク)さん
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Quinze(カンズ)さんとAmique(アミク)さんは最近バーで知り合った友達。Amique(アミク)さんがクラシック音楽を教える大教授であることから、彼から色々クラシック音楽について教わるQuinze(カンズ)。今日はアミクさん、若干疲れているような…
Q:アミク、今日もいるのは意外だな。毎週水曜日は必ず見当たらないのに。
A:あはは、よく知っているね。
Q:毎日来てるからさ。
A:実は今日は少し気晴らしがしたくてね。大学の授業で学生に聞かれたんだよ「僕のお父さんの会社が突然倒れて、バイトをしないと経済的に難しくなってしまいました」と、音楽では食っていけないから、他の学科に変えたいと。ちょっとショックでね。僕はとても恵まれた家庭で育って、好きなことを職にして生きてきているけれど、世の中には好きなことができない人もたくさんいるんだと、こんなに身近にいるけれど、助けてあげれないんだと思ってね。
Q:なるほどね。金融リテラシーがない奴は、大変だ。
A:彼らはカンズみたいに勇敢な性格ではないからね…投資を若い頃から始めて成功しているんでしょ。誰もがそんな成功できるわけでもないし、リスク体質であるわけでもないからね。
Q:まあな。でも、音楽って本当に食えないのかな。
A:音楽の先生とか、そういう職ではなく、音楽家になりたかったら、長い期間は練習づくしにならないといけないからね。
Q:なるほどな。
A:まあ、さてさてと。今日はね、イタリアの話をしようと思っているんだ。オペラって知っているよね。
Q:すごく高い声を出すやつだろ。
A:オペラは、1600年頃のフィレンツェで生まれたんだ。きっかけは、ギリシア悲劇の模倣をバルディ伯宮廷に集まった文化人たちが図ったこと。オペラが生まれる以前から、絶大な財力を持って芸術を愛した家族ーーメディチ家が、ミケランジュロやレオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロを支えたんだ。その時代では、テーブルマナーや料理、バレエなど様々な文化が発明された。
Q:なんか、お金持ちの趣味っていう感じだね。どれだけ暇だったんやろ。
A:まあ、そうだね。百姓の生活はこんなもんじゃないさ。ところでね、東方貿易でヴェネツィアが大儲けしたんだ。それで、1637年に最初のオペラ劇場ができ、そこからオペラは花開いた。もっとも、当時一般庶民は劇場には入れず、外交官や貴族、ビジネスマンがそのロビーで交渉するような感じだった。
Q:現代もそういう感じな気がするな。庶民が入れるようになったけど。
A:そうだね。
Q:ところで、オペラっていうのをもっと詳しく知りたいね。
A:クラウディオ・モンテヴェルディはご存知かな?”オペラの祖”とも言われているけれど、彼はドラマチックな表現性を追求し、プラトンらの哲学書を読み、歌手が歌う言葉の持つ力を、どのような音、どのような演奏を通じて、より強く、訴えることができるか、実験を重ねて重ねて作品を作ったんだ。
Q:なかなかの発明家やな。
A:そうだね。ルネサンス時代には様々な音楽が作られて、とても豊かな作品が残っているんだ。印刷技術の向上もそこで重要な役割を果たした。
Q:なるほどね。ごめんよ、もう11時だ。今日は用があってね。
A:(こんな夜中に何の用だろう…)そうか。じゃあ、また。次は、フランスについて話すよ!
Q:おう!じゃあな。
(続く)
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