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アミクとカンズのクラシック音楽の旅【5】〜太陽王の「魔術」~

松田 亜有子「クラシック音楽全史ビジネスに効く世界の教養」を参考にしております。

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Q:Quinze(カンズ)さん

A:Amique(アミク)さん

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Quinze(カンズ)さんとAmique(アミク)さんは最近バーで知り合った友達。Amique(アミク)さんがクラシック音楽を教える大教授であることから、彼から色々クラシック音楽について教わるQuinze(カンズ)。今日は二人、ばったり公園で出会う。

Q:やあ!こんなところにいるんだね。

A:カンズさん!なんと。いつも夜にしかお見えにならないから、びっくりだよ。

Q:ナイトパーソンだと思ってるでしょ笑

A:お時間の具合はどうだい?

Q:まあ、今日は午前はゆっくりするつもりなんだ。最近、従業員がどいつもこいつも仕事しなくてねえ…困ったもんだよ。気晴らし、気晴らし!

A:会社を仕切るって非常に大変そうだね。教授は呑気なもんだ。

Q:税金で食っているんだからねえ。こっちは一円から稼がなああかんで!

A:尊敬するよ。さてさて、今まだ10時のことだし、あそこのベンチで少しフランスのクラシック音楽の歴史についてお話ししないかい?今日のような良い日差しの下で話すのには、ぴったりな気がするよ。

Q:おー、まさかあのフランス王、ルイ…14世だったけな。

A:太陽王ね(笑)。そう。彼があんなにも権威を集めたのは、もちろん芸術の力を肩につけたからさ。彼はフランスで独自のスタイルを創り上げたんだ。

Q:贅沢な宮殿を作った奴だよね。自分を神様なんだかと思って。

A:ヴェルサイユ宮殿は確かにとても豪華なもので、百姓の税金を使って建てたと考えると、少し位までは考えられないような時代だったね。でも、芸術の歴史から見たらとても素晴らしいものがその時代で生まれたのも事実だ。

Q:まあな。今の政府があんなことしたら、民衆が許してやんないな…でも確かに下からの芸術は、少し「雅」が足りん感じはあるなあ。

A:1つ信じがたいエピソードは、太陽王ルイ14世は音楽を愛していて、目覚めた時から就寝するまで常に音楽に伴うようにと、宮廷には150名以上の公式音楽家を抱えていたんだ!

Q:思ったよりすげー奴だな。そりゃあ音楽をずっと考えらせたら、いやでもいろんなものを生み出すなあ。

A:そうだね。いろんな場面に分かれて、楽団を作ったんだ。宮廷バレエの儀式とか、外交、または私的な娯楽とかね!

Q:なんだか素敵だなあ。女を持ち歩く男ではなく、音楽を持ち歩く男かあ。かっけえ!

A:ここで話さなければならないのが、リュリという人物だ。彼は、国王の豪華な祝宴に、音量が大きく華やかな響きを作るために最適な楽器を模索していた。そこで、オーボエに目をつけ、それを改造して、「管弦楽」に大きな発展を見せたんだ!彼は「美しいフランス音楽の父」と言われていて、ヨーロッパでは知名度が非常に高いんだ。

Q:やっぱ、人は「追い込まれる」と、創造力や行動力が増すな。俺の生き方は間違っていなかったようだ。

A:(なんかズレてるが、さすが要領がいいな)リュリは本当に厳しい指導者でもあってねえ。基準を満たさない音楽家には、ヴァイオリンを背中から打って壊したエピソードもあるのだとか。太陽王からの「圧力」があったのだとも思うけど、彼も才能あり理想ある、作家であり政治家だったようだね。こんな評価があるが、かなり美しいように聞こえるんじゃないかな:

「彼は政治家以上に抜け目がなく、その分野での彼の能力は天才的であった。従って、リュリのオペラは、すべて、十七世紀のフランスが作り出した唯一の叙事詩であり、〈太陽王〉に捧げられた唯一のものである。それらは、ほとんど変更されずに、ルイの治世の歴史をすべて含んでいるのである。その証拠は、耳を傾け得るだけで十分だろう」(フィリップ・ボーサン「ヴェルサイユの詩学ーーバロックとは何か」)

Q:なるほど。俺も、リュリのような従業員が欲しい(泣)

A:「太陽王」になりきったら、いつか出会いがあるんじゃないかな。いつの時代でも、素晴らしい「ヴィジョン」があれば、素晴らしい「フォロワー」がもきっと出てくるさ。

Q:ありがとう。非常にいい気晴らしになったよ。さて、オフィスに戻るか!

(続く)

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