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真実以上、幻想以下〜「北朝鮮外交の真実」原田武夫〜

「自宅で過ごす」GWの二日目。原田さんの本は、私にとって村上春樹さんの本の次にスラスラ読める本であった。全く違うジャンルの作家を比べてて混乱させてしまったかも思うが、心で書いている、そして心が共感をする、私の周波数とぴったり一致するんだと思う。書いている側のパッションが、私の読むパッションを引き出してくれる。

原田さんの本はこれで二冊目、一冊目は「仕掛け 壊し 奪い去るアメリカの論理~マネーの時代を生きる君たちへ~ 原田武夫の東大講義録」ここにはとてもわかりやすく、世界の仕組みが、日本がいかにアメリカfoolされてきたかが、明瞭に書かれていた。そして、「北朝鮮外交の真実」は、私からみて、たくさんの原田思想の源流が見えてくる本だった。

読み終わって、初めに思ったのは、何かを書いておきたい。伝えておきたい。この本は、このまま眠るものではない。そう思った。

「君たちには、天下を語ってほしい」

インテリジェンスの本質

著者は外務省の情報機関が米国依存ゆえに、世界秩序に「対策」するようなインテリジェンス機関がないことを問題視していた。日本には情報を「検証」する手段がない。誤った情報が入ってきたとしても、自ら検証できず、結局は米国の判断を無闇に信じる。そのレベルだと、国家戦略なんて語れない。

著者は本当に必要な「情報(インテリジェンス)」について、三つのポイントを提示している。
①「ありのままの事実」と「作り上げた事実」を識別すること
②「検証」する方法手段を直接・間接的に持っていること
③「操作」されている可能性を常に意識すること

そしてインテリジェンスの前提として、すでに世界の状態(まとまったもの)を知っていること。歴史的な分析を貫通していることが、極めて重要。それをもとに、国家戦略を立て、仕掛け、コントロールするのである。

その全体像が見えるようになる。
全ての市民がそれをできるようになるわけではない。でも、ある程度の前提が存在することさえ教えられない私たちは、未闇に「作られた現実」に生きているのである。

「政経合体戦略」
金銭感覚がある政治。
アメリカの高官たちはWall Streetから歩いてきた人たち、彼らはどこに「国益」があるか常に意識しているのだ。それは平和でも、安定でもない。そして彼らのアプローチは、エージェント・アプローチ。深く深く国の社会の世論、仕組みを操作する個人を、手先にして知らず知らずに国家戦略を動かすのである。

そして私たちは仕掛けられ、富を吸い取られてしまう。喜びながら。

今の「意識が高い」大学生は、外資に行きたがるが、それも仕掛けられているのではないか。最も優秀な学生たちが、almost自然に、そこに向いてしまう。グローバル化はそんなことだったのかもしれない。

この本は著者の思う真実そしてそこからの対策法を説いている。これは小さな問題解決ではない。小さな期待などではないのだ。

そして私は、考える。私たちが考えることはいかに小さなことだったのかと。私はこの本この著者に出会うまで、自分の進路にしか関心がなかった。こんなキャリアを歩もうか、法学部だから弁護士か、法律はそんなに嫌いじゃない、人を助けれるのはいいことじゃないか。国際機関に入って、難民たちを助けるのも素敵じゃないか。やりがいある仕事をしたい。でもこれらはすでに発生した問題を解決することしか私の視野には入っていなかった。

でも今はひょっとしたら、いい線に乗っているかもしれない。もっと自分を押したい。Comfort zoneはもう違うところにある。

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