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アミクとカンズのクラシック音楽の旅【10】〜其方にソナタを~

松田 亜有子「クラシック音楽全史ビジネスに効く世界の教養」を参考

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Q:Quinze(カンズ)さん

A:Amique(アミク)さん

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Quinze(カンズ)さんとAmique(アミク)さんは最近バーで知り合った友達。Amique(アミク)さんがクラシック音楽を教える大教授であることから、彼から色々クラシック音楽について教わるQuinze(カンズ)。今日もバーで出会う。

Q:やあ。アミク。今日も充実した1日だったかい?実はさ、聞いて聞いて、最近この曲、めっちゃハマってるんねん。

A:君のそのテンションで紹介されると、不思議な感覚になるのだが(笑)。これはベートーベンの作曲だね。かつ、数少ない、彼自身が標題を考えた曲でもあるんだ。

Q:え、彼はほとんど自分で曲の標題を考えなかったのかい?

A:そうだね。だいたい、彼の曲は他の人が、こういうイメージの曲だと考えて、命名したものが多く、しかし「悲愴」は彼自身がつけたんだ。あと、これは典型的な「ソナタ形式」の曲だね。

Q:そなた?「冬のソナタ」は知ってるで!あの、韓国ドラマ!

A:まあ。それは有名だね。でも、そなたはドラマの展開からもきているんだ。そなたっていうのは、2つの主題があって、その相互の関係が描かれているんだよ。それを、提示部、展開部、再現部、終結部とも呼ぶ。

Q:なんだか難しいな。

A:簡単に言えば、提示部では主人公Aが登場し、次に主人公Bが出てくる。中心は主人公Aで展開する。この二人が様々に変化し、今後どうなるの?と思わせるようにワクワクした展開になる。次に、提示部の二人が戻ってくる。なるほどそうだったのかと思う。最後に、クライマックスがくる。主人公Aの結末が提示される。そして終結。

Q:音楽って言葉はないけど、ストーリーをも表現できるんだね。

A:そうなのさ。ちなみにこの展開部の発展に貢献したのが、ベートーベンなんだ。彼まで、展開部はつなぎの役目しかなく、短かった。でも彼は大きなテーマの転換などを図り、提示部と同じ長さにした。ソナタをいくつか聞いてみようか。

A:それでね、モーツァルトの場合は、さらに想像力を駆使して、提示部で主人公Bを出すとき、主人公Aから発生するのではなく、全く違うメロディーを生み出したんだ。モーツアルトの展開部はハイドンと比べ短く、劇的なものだった。

Q:そういう風に、「変革」をしていくんだね。

A:そう。モーツァルトは明るいけれどほのかに悲しい陰りを作るために、半音階を好んで使っていたんだ。

A:例えば、「交響曲第38番プラハ 第二楽章」。ちなみにモーツァルトがこうした意外な展開を作ったのも、実は商人的センスがあって。こういうフォルテ(激しい、強い)音に、観客は拍手で応じるから、聴く人も増えるんだ。いくら音楽を追求する人でも、ビジネスセンスがないと食っていけないからね。

Q:今日はたくさん音楽を聴きたくなってきた。

A:次回は、革命家ベートーベンの話をしようか。

Q:お!

(続く)


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