話が通じない相手 2

先日、このやり取り

を見ていて、刑事訴訟と民事訴訟の違いみたいなものを感じました。

刑事訴訟においては立証する責任は検察側にあり、被告人と弁護人は検察側の主張の穴を指摘するだけでよく、被告人と弁護人には何ら立証責任は課されていません(その代わり検察・警察には証拠隠滅防止のための身柄拘束やガサ入れという強力な証拠収集権限が与えられている)。

それに対して民事訴訟の場合は、主張したい側が立証しなければならず「穴を指摘できたら勝ち」というような一方に不利なルールにはなっていません。


上記の小山氏と水元氏の議論ですが、8月29日正午の時点では水元氏側からは水元氏の主張を裏付ける資料の提出はありません。
水元氏は小山氏が提示したデータについて、統計の取り方や抽出された数値に疑義を唱えているのみです。
これでは、水元氏に賛同する方は「穴を突いた」と喜ぶでしょうが、どちらの見方でもない人や小山氏に好意的な人は「裏付けのない水元氏よりも裏付けを一応提示した小山氏のほうが暫定勝者である。」と考えるでしょう。


ネットでレスバをするのが疲れることに気付いたので、レスバをする気はないのですが、他人のレスバを見ていると「相手の論の穴を突いただけで自分は何ら証拠を示していないのに勝った気になる」人が多いと感じます。
自分が刑事訴訟における被告人の立場であると誤解して、相手の論を崩せば勝ちだと考える方が多いと思います。
そういう人たちに対して延々と証拠(統計データ等)を突き付けていく人は自分自身が刑事訴訟における検察側か、民事訴訟における当事者と同じように「自ら証拠を提示していく」という立場をとっています。


自分は証拠を示さずに相手の論の穴を突くだけでよいと考える自分に甘い人と、自ら証拠付きで論を展開していく自分に厳しい人。
話が通じないのは当たり前ではないでしょうか?