『Comme des Macarons』徒然諸々
あとがきを書くつもりだったのですが、あとがきっぽくない内容が大半になりました。制作経緯以外はプレイ後に読むことをお勧めします。
本編はこちら
制作経緯
昔々、祖父母の家に、『いたずらまじょ子とおかしのおうち』という本がありました。
お菓子が大好きな主人公の女の子がまじょ子さんと出会い、様々な体験をする短編集なのですが、その中にコアラのお菓子が出て来る話がありました。
コアラのお菓子はお姫様の落とし物で、「お姫様の可愛いお口に食べられたいんだ!」と主張します。コアラは主人公とまじょ子さんの手助けで、とお姫様は無事再会できました。コアラが喜びで涙し、喋らないただのお菓子に戻ると、お姫様はパクっと一口で食べてしまいましたとさ。というのがその話の概要です。(その後の展開や他の話も面白いので、気になった方はぜひ。)
当時の私にとって、そのあっけない終わり方はかなり衝撃的でした。『Comme des Macarons』を制作するにあたって、ふと思い出した作品です。
それと、『ミノタウロスの皿』。こちらは有名なのであらすじは記しませんが、人間の少女が喜んで食べられていく様は大人にも強烈な一作です。
さて、そんな話を読んでいるせいもあってか、食べ物の擬人化キャラを見る度に、「この子、食べられるんだよな」という思いがありました。しかし、当たり前ながら、擬人化美少女を頭からムシャムシャ食べる、なんて展開はなかなか無く。「本当に食べられたら面白いんじゃないの?」という発想から生まれたのが、『Comme des Macarons』です。
一見ホラーに見えないホラーゲームを作るのも夢だったので、サムネイルはとにかく可愛くしました。ホラーゲームのサムネは暗い色がオーソドックスなので、目立てるかなーと思ったのですが……
意外と明るいサムネ多い!!!
ホラーゲーム、奥が深いと感じた次第であります。
ちなみに、自作含め、こちらの三作は「ティラノゲームフェス2021」の参加作品です。気になった作品はぜひ遊んでみてください!
以下、本編プレイ後推奨です。
キャラクターデザイン
【マカロンちゃん】
原案を描いた当初は「いつか作れたらイイナー」程度の感覚だったのですが、まさか『稲荷様の子』完成の一ヶ月後にはリリースしてるとは思わなんだ。見た目はこの時からほぼ変更なし。
ただ、性格は元々は転校してきた頃のおとなしいままになるはずでした。現在の性格にするかはかなり悩んだのですが、台詞の書きやすさからあんなことに。
帽子、髪飾り、袖、スカートはマカロン風になっています。胸元や手首の白い飾りは生クリームです。
服や部屋にある苺は木苺です。フランス語だと、フランボワーズですね。
でも、シャンデリアやキャビネットの苺は普通の苺だったり……。
【琳花】
琳花もあまり原案と変更ないのですが、ここに至るまでに紆余曲折がありました。
『Comme des Macarons』の前に「幽霊の少女らが心霊スポットをバズらせる話」(画像)や「メルヘンな部屋でホラー現象が起きる話」などを考えていたのですが、当時ボーイッシュ女子を出したくて、琳花のもとのようなキャラがいくつか描いていました。
先にマカロンちゃんが描かれ、そのあとに相方として描いたのが琳花です。
日本人なのでモチーフは和菓子にしたいと思い、「栗ようかん」にしました。「くりようかん」のアナグラムで「くよう りんか」、「九曜 琳花」となりました。苗字も出したかったのですが、本編では出し所がありませんでした……。全体の色は羊羹っぽく、ピアスは栗っぽいイメージです。
ちなみに、モチーフを「かりんとうだと思った」と言われたことがあるのですが、確かに、りんか、かりん、でかりんとうっぽいかも?
没エンド
実は、泣く泣く没にしたエンドが二つありました。
【一つ目】
マカロンちゃんを食べきったあと、ラウンジで美咲たちと会う琳花。
美咲「おっはよー!」
琳花「はよっすー!」
美咲「おおっ。なんか今日テンション高くない?」
琳花「そうかなぁ?いつもワタシは元気いっぱいだよっ!」
美咲には一瞬、琳花の目が碧く見えた気がした。
これでワタシは、琳花と正真正銘の、一心同体になれた。正確には二心同体、かな?
ワタシの中で「出して」って言ってる琳花は、とっても可愛い。
琳花の体も心も、ぜーんぶワタシのもの。
待っててね。学校が終わったら、沢山お喋りしようね。
ずっと、ずーっと、一緒だよ。
好感度が高い場合は現在のEND3、低い場合はこのエンドになる予定だったのですが、好感度が低いわりには琳花のこと大好きすぎるのでやむなく没に。逆にしても乗っ取りヤンデレ化はちょっと突然すぎるかと思ったので無しになりました。
しかし、一番ホラー感があって、今でもかなり好きなエンドです。
目の色差分まで作ったのになぁ……。
【二つ目】
マカロンちゃんを毎日5回以上触るとなる隠しエンド。
触られまくったマカロンちゃんが顔真っ赤にして「こんなの琳花じゃない!!バカー!!」と走って出て行ってしまうというものでした。
没理由は一つ。「ただでさえ薄いホラー感が更に薄まるから」。
これはなくても良かったと思ってます(笑)
最後に
主人公は元々、男にする案もありました。
主人公はマカロンのことが好きで、でも他の男子に告白されている所を見てしまい……という流れも案ではありました。
でも、恋愛として好きだったから食べてほしい、という風にはしたくありませんでした。そのため公式見解としては、本作は百合ではありません。
忘れ去られることへの抗いと、取り返しのつかない罪の話です。
END4の中で、マカロンは一言も「許す」とは言っていません。琳花の罪はもう二度と、生涯許されることはありません。生きなければならないという罰の間、血と肉として、マカロンは琳花の中に残り続けるのです。
ではまた、次の機会に。
最後までお読みいただきありがとうございました。