見出し画像

耳をうずめて

トライアル購読を申し込んでいたSTANDARTの冊子とコーヒーがようやく届く。すぐに届かないのがよい、とか言いそうになってしまった。冊子の方は他の号を以前読んだことがあったのだけれど、期待通りの濃密な内容であった。写真がどれも美しい。ゆっくり読み進めていきたい。コーヒーは福岡のBASKING COFFEEのイエメン。昨日までのLIGHT UP COFFEEと比べるとそこまで浅煎りに振り切れておらず、絶妙に中煎り寄りなところが個人的に好みだった。もう少しコーヒーを飲みたかったので、昨夜自分で焙煎したグアテマラを抽出。ミルで挽いた時点でかなり香ばしく、粉の香りを吸い込みすぎて粉を鼻から吸ってしまう。肝心のコーヒーもうまく好みの味で淹れられて満足した。まだたくさん生豆が残っているので色々な煎り具合を試してみたいけれど、昨日の中煎りやや手前くらいのポイントは一つの目安なると感じた。

***

上手くできているか不安だ、もうお終いかもしれない、早く手に職をつけなければ、あばば。と数日前からビクビクと胸を苦しめていた仕事について、意外なことに今日上司に文章を褒められてしまい、自分の価値観が逆に分からなくなりました。一つだけ言えるのは、自分は他人よりも少しだけ文章を丁寧に紡いでいるのかもしれない、と思えたこと。主語と述語がきちんと噛み合っているか、修飾語は過剰でないか、嘘はないか、似たようなことを連続して言ってないか、読み上げた時のリズムは、句点読点のポジションは適切か、などなど。自分はきっと無意識的にも文章を色々な面から磨き上げるのが好きなのかもしれない。この辺はすきな作家の文体とか、あるいは翻訳について考えることがすきなのも影響しているのかもしれません。なんというか、仕事でのそういう作業は楽しんでやっているわけではないけれど、たとえば部屋にごみが落ちていると落ち着かないからさっさと拾って捨ててしまおう、その際には適切に分別しよう、みたいな感覚が強い気もします。

夜は初期のキリンジの音楽をたくさん聴きました。ファーストは言うまでもなく大好きなのだけれど、セカンドに収録されている「耳をうずめて」を久しぶりに聴いた気がします。出だしの歌詞で胸が締め付けられる思いでした。キリンジの音楽も歌詞も、時に残酷すぎるほど完璧で、それでもその甘い響きにまぶされた表層の下では、ほんとうに必要な言葉がさらっと紡がれていたりするのです。
「憂鬱はまさにそう 凪いだ情熱だ」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?