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マイケル・ボンド作 R.W.アリー絵『クマのパディントン』木坂涼訳 理論社 2012.9  マイケル・ボンド作 フレッド・バンベリー絵『くまのパディントン 改訂版 パディントン絵本 1』中村妙子訳 偕成社 1987.6  小野二郎 『紅茶を受皿で イギリス民衆芸術覚書』晶文社 1981.2


マイケル・ボンド作 R.W.アリー絵
『クマのパディントン』
木坂涼訳 理論社 2012年9月刊 30ページ
2017年11月18日読了
https://www.amazon.co.jp/dp/4652041233

「クマのパディントンはとおいペルーからやってきました。ひょんなことからブラウンさん一家と暮らすことに。好きなたべものはマーマレード。とってもまじめででもどこかおっちょこちょい。世界中で愛されているクマです。

ボンド, マイケル
1926年イギリス生まれ。テレビカメラマンやラジオドラマの脚本家などを経て作家に
アリー, R.W.
多くの絵本のイラストを手掛けている。アメリカ、ロード・アイランド在住」

「遠いペルーからやってきたクマのパディントンを、駅で出会ったブラウンさん一家がうちに連れて帰ることに。途中のお店では体じゅうをクリームでベトベトにし、お風呂ではおぼれかけ、いつもお騒がせなパディントン。でも、この愛すべきクマは、いつのまにか家族の一員です。」

https://ameblo.jp/ikymrs/entry-11697746837.html
絵本とお茶のある風景 2013-11-16 22:17:39
クマのパディントン

マイケル・ボンド(Michael Bond 1926.1.13-2017.6.27)が1958年に発表した童話 A Bear Called Paddington をもとにした絵本 Paddington (2007) の翻訳。

ペルーから来たマーマレードが大好きな可愛い子熊パディントンの楽しい物語です。

https://ja.wikipedia.org/wiki/くまのパディントン
によれば、原作が十冊、福音館書店から松岡享子訳で出版されていますけど、この絵本のシリーズは何冊出ているのかなぁ?

「「わたしたちはブラウン、よろしくね」
「ぼくの名前は……、えーっと、ペルー語でいっても、わからないとおもうんです」
それをきいておくさんは、ぐるっとあたりをみまわしていいました。
「パディントンというなまえはどう? この駅でであった記念に」

「パディントン!」くまはじぶんでいってみました。なんだかりっぱなひびきです。いい名前です。
「それではパディントンくん、お茶をのみにいこうかね」

パディントンはおどろきました。ブラウンさんがクリームのいっぱいのったケーキやサンドイッチを、どっさりたのんでくれたからです。どれからたべていいのか、まよってしまうぐらいに。

でも、おなかはぺこぺこ、のどはからから。パディントンは、あれもこれもとむちゅうでたべはじめて、いつのまにかすっかりテーブルのうえにのっていました。

それでもブラウンさんは、「いつでもこんなふうに、クマのともだちとすごしてるんですよ」といった顔で、すましてお茶をのんでいました。」

マイケル・ボンド作 フレッド・バンベリー絵
『くまのパディントン 改訂版 パディントン絵本 1』
中村妙子訳 偕成社 1987年6月刊
2017年12月14日読了
https://www.amazon.co.jp/dp/4032410100

「駅のホームでブラウンさんにであったパディントンは、人間の家庭の中に夢中でとけこんでいきます。すこしとぼけていて、そそっかしやのパディントン。ゆかいな失敗をくりかえす、そのほほえましい姿に、おもわず笑いがこみあげます。」

1973年11月初版を右開き縦組みにし大判化。

マイケル・ボンド(Michael Bond、1926.1.13-2017.6.27)が1958年に発表した童話 A Bear Called Paddington をもとにした絵本 Paddington Bear (1972) の翻訳。

先月、R.W.アリー絵 木坂涼訳『くまのパディントン』理論社 2012.9 を読んだので、フレッド・バンベリーによる絵本も手にしてみたら、絵が違うだけでなく、物語の細部も違っていて、楽しめました。

「「とおいペルーのやまおくから。ぼく、ママレードをなめながら、ふなぞこにかくれてきたんです。」

くまのくびには、こんなにふだがさがっていました。
「このくまのめんどうをみてやってください。どうかよろしく。ルーシーおば」」p.10

p.14でパディントンが紅茶をカップから受皿に移して飲んでいる絵を見て、

小野二郎『紅茶を受皿で イギリス民衆芸術覚書』晶文社 1981.2
を思い出しました。

紅茶をカップから受皿にあけて飲むのは、英国労働者階級の風習で、
D.H.ロレンスの『息子と恋人』1913 にも出てきますけど、
この場面では、パディントンが猫舌なのを表現しているのかなぁ?


読書メーター マイケル・ボンドの本棚(登録冊数20冊)
アマゾンに書影が無い本が7冊も。
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11196594

小野二郎 『紅茶を受皿で イギリス民衆芸術覚書』晶文社 1981年2月刊
http://www.amazon.co.jp/dp/4794959796

小野二郎(1929.8.18-1982.4.26)
https://ja.wikipedia.org/wiki/小野二郎

私の明治大学文学部クラス担任・卒論指導担当教員(1974-78)です。
1982年に52歳で亡くなりました。

今の自分の年齢が、死んでしまった小野先生の年齢より上になってしまったことに、驚ぎます。

紅茶をカップから受皿にあけて飲むのは、英国労働者階級の風習で、D.H.ロレンスの『息子と恋人』にも出てきますが、小野先生は何故こんなに驚いたのか?
興味のある方は、図書館で小野二郎の著書をぜひご覧ください。

「W.B.イエイツの故郷スライゴーでも私は相変らずスーパーマーケットをうろついた。これはどの土地へ行ってもいつも私のやることではあるが、この時はどうやら前日に食べた豚のすねの皮つきローストと関係あるらしい。

その日人並みにイエイツゆかりのギル湖、それに浮かぶ小島イニスフリーを見たり、イエイツの墓に詣でたりしたのだが、その夜さらに思いがけない幸福にめぐりあえたというわけだ。

すねの皮のこんがり焼けた香ばしさとゼラチンと脂肪の溶け合った甘さとの組み合わせに、ほとんどまあ陶酔したのである。」
p.13「紅茶を受皿で」

http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2020/04/post-3f06db.html
「目次は、巻末の初出一覧と組み合わせてみた。2020.4.5」
I
紅茶を受皿で 〈展望〉 1975年2月
ビートン夫人の料理術 〈現代思想〉 1976年9月
オーウェル「イギリス料理の擁護」の擁護 筑摩書房〈世界文学大系〉第87巻付録 1975年8月
パイとプディングとパイのパイ 〈現代思想〉 1976年8月
バーミンガムのワイン・バー 〈現代思想〉 1977年2月
蜂蜜酒の故郷――リンディスファーン・ミード 〈翻訳人〉 1977年7月20日
注ぐ 〈手〉2号 1978年8月
スタッフォードシャ陶器人形 〈グラフィケーション〉 1980年10月
II
ブロードサイド物語――イギリスの「瓦版」 〈グラフィケーション〉 1980年7月
チャップ・ブックの伝統――イギリスの「立川文庫」 〈グラフィケーション〉 1980年8月
トイ・ブックスの周辺――絵本の源流 〈グラフィケーション」 1980年1月)
十九世紀の版画工房――W・J・リントンのことなど 〈グラフィケーション〉 1980年2月
ウォルター・クレインの絵本 〈グラフィケーション〉 1980年3月
ヴィクトリア朝絵本を見る視点 〈ほるぷ図書新聞〉 1980年4月5日
端物印刷物の世界――ビラ・チラシ・切符など 〈グラフィケーション〉 1980年9月
III
イングリッシュ・チンツのデザイン 〈Color Design〉 1979年6、8、9月
 1 最初期の木版プリント
 2 銅版プリントの導入
 3 木版プリント――一七七〇年代以降
 4 ローラー・プリンティングの導入
 5 染料・染色法の変化
 6 ローラー・プリンティングのデザイン――一八二〇~五〇年代
 7 ウッド・ブロック・プリンティングのデザイン――一八二〇~五〇年代
 8 モリス以前のイギリス・チンツ・デザインの特徴
 9 モリス登場前夜のデザイン状況
 10 一八〇〇年から一八三〇年のウッド=ブロック・プリント
 11 ウィリアム・モリス
 12 モリスの後継者たち
 13 リバティ=ファブリックス
壁紙の歴史 〈in〉 1号~4号 1980年1月~9月
 1 壁紙の前史
 2 壁紙の揺籃期
 3 壁紙の発展
 4 第一回万国博前後
 5 モリス前夜
 6 A・W・N・ピュージンとオーウェン・ジョーンズ
 7 モリス・ペイパー
 8 最初期のモリス・ペイパー
 9 最盛期のモリス・ペイパー
 10 モリス以後
 11 ウォルター・クレイン
 12 C・F・A・ヴォイジイ
アール・ヌーヴォーのプロデューサー―『リバティ百貨店』 〈翻訳の世界〉 1979年7月
IV
ミュージック・ホール 〈グラフィケーション〉 1980年4、5、6月
 1 始めに
 2 イン・タヴァーン・パブ
 3 遊園地とサルーンズ
 4 ソング・アンド・サパー・ルームズ
 5 「カンタベリー・ミュージック・ホール」とサム・コウエル
 6 「ライオン・コミックス」
 7 ミュージック・ホールの天才マリー・ロイド
V
自然・風景・ピクチュアレスク
 1 ザ・ランドスケイプ・ガーデン 〈カイエ〉 1979年9月
 2 コンスタブル 美術出版社 世界の巨匠シリーズ〈コンスタブル〉 1979年9月
イギリスのオークについて 〈現代思想〉 77年11月~12月
イギリスの雑木林(コピス) 集英社 〈吉田健一著作集〉 第25巻月報 1980年10月
コッツウォルド・ストーン 〈グラフィケーション〉 1980年11月
VI
ウィリアム・モリスと古代北欧文学 〈ユリイカ〉 1980年3月
ウィリアム・モリス『世界のかなたの森』 晶文社 〈世界のかなたの森〉あとがき 1979年10月
C・S・ルイス『別世界にて』 〈翻訳の世界〉 1975年5月
D・G・ロセッティとジェイン・モリスの往復書簡 中央公論社〈新版・世界の名著〉第52巻〈ラスキン・モリス〉月報 1979年11月
あとがき
参考文献
初出一覧

読書メーター 小野二郎の本棚(登録冊数21冊)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091265
アマゾンに書影がない本(5冊)が残念です。



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